キャリアコンサルタントという仕事をしていると、
「何をすればいいか教えてくれる人?」
「正解を教えてくれる人?」
と思われることがあります。
でも、僕が大切にしているのは、少し違います。
答えを渡すことではなく、
その人自身の中にある答えに、一緒に気づいていくこと。
話を聴く。
問いを返す。
ときには一緒に立ち止まる。
それだけで、人の見ている景色が少し変わることがあります。
僕自身が、それを経験した一人です。
自分を見失っていた頃、僕を救ってくれたのは、誰かの立派なアドバイスではありませんでした。
ただ話を聴いてもらったこと。
そして、
「そのままでいい」
と受け止めてもらったことでした。
それだけなのに、不思議なくらい心が軽くなりました。
「人は、話を聴いてもらうだけでも、もう一度前を向けることがある」
それを、自分自身で知りました。
だから今度は、自分が「あの時間」を届ける側になりたいと思うようになりました。
そして活動を続けていると、対話の力は、その場ですぐに答えが出ることだけではないと感じる出来事があります。
数年前、僕たちが中学生と1対1で対話したプログラムがありました。
その生徒はその後大学生になり、進路について迷ったとき、中学生の頃にキャリアコンサルタントと話した時間をふと思い出したそうです。
その話を先生から聞いたとき、すごくうれしかった。
対話したその日に人生が変わらなくてもいい。
その時に交わした言葉が、何年か後に、
「自分はどうしたいんだろう」
「もう一度やってみようかな」
と考えるきっかけになることがある。
だから僕は、対話を信じています。
人を変えるのではなく、
人が自分で変わっていけるきっかけをつくる。
正解を教えるのではなく、
その人自身が自分の可能性に気づける時間をつくる。
企業人事でも、学校でも、NPOでも。
僕がやっていることの真ん中には、いつも「対話」があります。
【キャリアコンサルタントって何をする人?】
▶ キャリアコンサルタントって何者?
【僕自身が対話に救われた話】
▶ 第7話|「あの時間」を、誰かに届けたいと思った
【対話が何年後かに届いた話】
▶ 人は変われる。そのきっかけは、ずっと後からやってくる