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私がシルクスクリーンを始めるまで

大学生になってアルバイトを始めた。好きな音楽に浸れることは嬉しかったが、頼まれた仕事ばかりやってお金をいただくことに違和感を感じ自分で稼げるビジネスをやってみたいと思うようになった。

ちょうどそのタイミングで古着と出会った。これまでデザインがかっこいいとかブランドでしかTシャツを買ってこなかった私が、店員さんからデザインの歴史やボディ、インクは何を使っているかTシャツを多面的にみる方法を教えてもらううちに古着最高!!となった。何より制作者が込めた思いが何十年後にまで受け継がれるなんて自分もいまの人だけでなく未来の人のためにTシャツを通じて人々を支えようと決意した。

どうやらシルクスクリーンという方法なら自分で簡単にできるらしい。興味があることはすぐにやってみることを大事にしているので、ネットや実際にシルクスクリーンをやっている人のところに押しかけほぼ独学で学び、大学2年生の初め、ついにネット販売を始めた。モデルを雇って写真撮影を行い、インスタ等でしっかり宣伝を行った。しかし売れない。。。結局売れたのは15枚程度だった。

しかしここで諦める自分ではない。なぜ今古着は人気で、人々はTシャツに何を求めているのか、徹底的に調べた。その上で

①モノの価値を高める

ユニクロが低価格高品質なものを作ってしまっている今、自分が負けないように行えるのは高品質化しかない。しかし自分一人でやれることには限界があると感じたので、国内が問わず様々なアーティストとコラボしアートワークを作成、また地元が繊維の街だったので企業と一緒に何十年も着られるボディ製作にも注力した。

②新しい価値体験を与える

「古着ってやっぱりオリジナリティがあるのがいいよね」そんな声をよく聞いた。そこでこれまでネットや店頭でただ売っていたTシャツをインクの色やプリントする位置をその場で決めてその場でプリントまで行えるワークショップを開催する方式に販売方法を変えた。なんとなくTシャツを購入するという体験が一瞬で華やかな体験へと変わった。

そうして今では新作を出すたびに100枚以上売れるまでに成長し、服の面白さに気づいて古着屋で働く子やシルクスクリーンを始める子まで出てきた。

自分が作ったものが他人の生活を豊かにできたことは何よりも嬉しかったし、その幅を広げたいと現在はZINEなど本の制作にも挑戦している。

将来、仕事をするにあたって自分が携わったもので人々の生活や挑戦を支えたいと思う。