断酒から学んだ、経営を止める“惰性の習慣”
なぜ、捨てることができないのか?
5月16日のCOO代行養成講座5期の懇親会を最後に、私は長年親しんできたお酒を断ちました。
実は私にとって、お酒は大好きな存在であり、飲み会の場も心から楽しんでいました。
それでも「お酒を辞める」という意思決定をした理由は、大きく2つあります。
1つは、私が人生のロールモデルとするB’zの稲葉さんが一切お酒を飲んでいないこと。
憧れの存在がそうしているのなら、自分もそうありたい――そんな単純な動機です。
もう1つは、冷静に天秤にかけたときに「飲まないことのメリット」の方が圧倒的に大きいと気付いたからです。
思い込みを手放す
これまで「お酒にはメリットがある」と信じていました。
心理的距離が縮まりやすい、信頼関係が深まりやすい、コミュニケーションが活発になる、相手の人柄が分かる、などなど。
しかし、冷静に考えるとこれらはすべて「お酒そのものの効用」ではありませんでした。
- 心理的距離が縮まるのは、お酒ではなく“場の設計”
- 信頼関係を深めるのは、お酒の有無ではなく“共通体験”
- 人柄を知るのは、お酒の力ではなく“会話の質”
むしろ酔った判断によって誤解や失敗につながるリスクすらあります。
辞めてみて初めてわかったこと
断酒を始めて3ヶ月。
気付いたのは「やめても何も困らない」ということでした。
- 飲み会自体は変わらず楽しい
- 翌日の目覚めが格段に良い
- 仕事のパフォーマンスが安定する
- 飲み会の後にジムに行ける余裕まで生まれる
“失うもの”よりも“得られるもの”の方が圧倒的に大きかったのです。
惰性の習慣は会社にもある
これはお酒に限った話ではありません。
ビジネスの場にも、惰性で続いている「捨てられない習慣」が数多く存在します。
- 意味のない定例会議
- 誰も見ない報告書作り
- 前任者の設定をそのまま引き継ぎ続ける運用
- 属人化した“暗黙知”
- 成果ではなく手順遵守を重視する文化
これらは「やめたいけどやめられない」「変えたいけど変えられない」といった形で組織に根付きます。
放置すれば経営資源を奪い、意思決定を鈍らせ、組織全体のスピードを落としてしまいます。
COO代行としての使命
だからこそ、外部でありながら内部で一緒に事業を動かす存在として、私は冷静な視点でそれらを見極め、捨てるべきものを提案し、推進してきました。
10年以上、COOとして管理部門を改善し続けた経験から、形骸化した慣習を変えてきた事例は数え切れません。
意思決定とは、やることを決めるだけでなく、やめることを決めることでもあります。
最後に
なぜ捨てられないのか。
なぜ変えられないのか。
なぜ進まないのか。
今回の断酒を通じて、私は改めて「意思決定の本質」を体感しました。
経営においても同じです。
あなたの会社にとって、今すぐ捨てるべきものは何でしょうか?
守るより先に、捨てる勇気を持てていますか?