セネガルとマダガスカルでのユーザーテスト
プロジェクト概要Microcred - モバイルバンキングプラットフォーム開発プロジェクト
プロジェクト概要
Microcredは、顧客が個人のスマートフォンを通じてサービスにアクセスできるセルフサービス型バンキングプラットフォームの構築に取り組んでいます。このモバイルアプリは、アフリカと中国のすべての子会社市場で展開される予定でした。
リリースに先立ち、私たちはInvisionを使用してプロトタイプを構築し、2016年7月にダカール(セネガル)で5名の顧客、2016年9月にアンタナナリボ(マダガスカル)で6名の顧客との1対1のユーザーテストセッションを実施しました。
プロジェクトの背景と目的
このプロジェクトの主要な目的は、顧客のニーズとデジタルサービスに対する期待をより深く理解することでした。テスト参加者は全員、中小企業の経営者であり、オンラインバンキングや決済サービスにすでに慣れ親しんでいる方々でした。
デジタル化が進む金融サービス業界において、特にアフリカ市場では、モバイルファーストのアプローチが不可欠となっていました。私たちは、従来の店舗型サービスの制約を克服し、顧客により便利で効率的な金融体験を提供することを目指していました。
テストタスク設計
顧客に以下のタスクを実行してもらいました:
- 初回アプリ起動と言語選択
アプリの第一印象と直感的な操作性を確認 - パスワード作成
セキュリティプロセスの理解度と使いやすさを評価 - 現在のローン返済スケジュールの確認
重要な財務情報へのアクセシビリティをテスト - ローン更新の申請
複雑な金融手続きのデジタル化効果を検証 - 家族への送金
日常的な金融取引の利便性を確認
観察・分析手法
私たちは顧客のプロトタイプとのインタラクションを詳細に観察し、各ステップでのコメントを求め、体験に対する感情や印象を表現してもらいました。この定性的なアプローチにより、数値では測れないユーザーの真のニーズと課題を発見することができました。
主要な発見とインサイト
成功要因
このユーザーテストセッションは非常に成功を収め、顧客から貴重なフィードバックを得ることができました。モバイルアプリの体験は顧客のニーズに応え、時間節約という高い価値を提供することが認識されました。
顧客の声:
「もう行列に並ぶ必要がない」
この一言は、私たちのソリューションが顧客の日常的な課題を解決していることを明確に示していました。
改善領域の特定
一方で、コンテンツとワーディングにはまだ改善の余地があることも判明しました。特に:
文化的な表現の適応:現地の言語習慣や文化的なニュアンスへの配慮
金融用語の簡素化:専門用語をより理解しやすい表現に変更
インストラクションの明確化:操作手順の説明をより直感的に
プロジェクトの影響と学び
このユーザーテストを通じて、デジタル金融サービスの設計において、技術的な機能性だけでなく、文化的な適応性と言語的な配慮が極めて重要であることを学びました。特にアフリカ市場のような多様な文化的背景を持つ地域では、ローカライゼーションが成功の鍵となることが明らかになりました。
また、このプロジェクトは、プロトタイピングとユーザーテストの組み合わせが、開発コストを抑制しながら高品質なユーザーエクスペリエンスを実現するための効果的なアプローチであることを実証しました。