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ABOUT
|1|INTRODUCTION|
駆け抜ける反骨の美学。 誰に頼まれたわけでもない。 日本のどこかで、電飾をまとったトラックが、誰よりも早く被災地に駆けつけ、支援物資を届け、炊き出しをしている。その事実を知って、私たちは心を動かされました。 平均化されてゆく社会の中で、デコトラは昭和の「義理と人情」と「かぶく精神」を今も灯す、世界に類のない“走るアート”です。 このプロジェクトは、GrandDesignが自主的に立ち上げた、日本の埋もれた文化を未来に遺すための試みです。 反骨と情熱に満ちたこの美しいトラックたちを、デジタルとリアル、表現の美と生き様の美、昭和と令和の橋渡しとして、世界へ、次の世代へとつなぎたいと、私たちは思っています。
|2|なぜ、いま、デコトラなのか?
インバウンドが加速した時代、東京・京都・大阪に観光客が集中し、“観られる日本”と“見過ごされる日本”の差は広がっていました。私たちGrandDesignは、「WOW PROJECT」と題し、日本人さえ知らない地方の魅力を再発見し、世界に伝えることにチャレンジしてみようと思ったのがきっかけでした。そのなかで出会ったのが、デコトラでした。
1970年代に誕生し、独自の美意識とともに全国に広がったデコトラ。
電飾とメッキと絵画で飾られたその車体は、まるで“走るアート”のように調和の一時代を風靡しました。
けれど私たちが心を奪われたのは、その豪華絢爛な佇まいと懐かしさだけではありません。
東日本大震災、台風19号、能登半島地震。多くの災害現場で、誰よりも早く支援物資を届け、炊き出しに参加する姿を、私たちは知りました。
褒められないままで構わない。ただ、誰かの助けになればそれでいい。その無名の覚悟に、アートを超える力を見ました。
これは「仕事」ではありません。私たちが勝手に惹かれて、彼らのように勝手に始めた、GrandDesignの自主企画です。
でもその情熱が、少しでも多くの共感を生み、文化として遺せるきっかけになればと願っています。
|3|文化は、見つけて、記録して、遺すもの。
私たちが大切にしたのは、この稀有なカルチャーを「この時代」で終わらせないこと。
デコトラは単なる乗り物や趣味の延長ではありません。
独自の美意識、職人技、地域ごとの装飾様式、そして共同体との関わり方に至るまで、それは“美”と“精神”と“行動”が結びついた、日本独自の文化です。
私たちはこのプロジェクトを、民衆が築いた未整理の文化資産を、記録し、継承し、未来に遺す取り組みだと考えています。
目に見える“デコトラの美”と、目に見えない“行動の美学”の両方を、3つの柱で未来へと継承していきます。
|DOCUMENTARY|〜“埋もれたWOW”を追って、日本全国へ。
日本初のデコトラ団体「全国哥麿会」とともに、全国各地のデコトライベントに参加し、映像・写真による記録を始めています。
災害支援の現場や炊き出しの活動を取材することはできないものの、慰霊祭などへの参加の記録は残していきたいと考えています。
|DIGITAL ARCHIVE|〜NFT & DIGITAL PRESERVATION。アートとして、デジタルで残すという挑戦。
今にも消えそうな文化を、形として遺すにはどうすればいいか?私たちはNFT化を進めています。
- MOVIE(2022年春)
- PHOTO(2022年夏)
- 3D MODEL(2023年以降)
特に3Dデコトラは、将来的にメタバース上の“走るアート”として機会を伺っています。
国内外での展示(渋谷、和歌山、京都、NY、メキシコ、パリなど)も実現し、NFTによる収益はすべて哥麿会を通じて被災地支援に活用されています。
|EXHIBITION|〜世界初の実物展示
2025年7月、大谷資料館の協力のもと、現物のデコトラを展示する世界初の「デコトラ展」を開催します。
ただ美しいから見てほしいのではありません。義理と人情と反骨と美学。
この国のどこかに確かに存在した“昭和の魂”を、トラックに託して未来へ残す、文化保存の試みです。
|4|SPIRIT & PHILOSOPHY 〜それは、アートよりもアートな生き方。
「俺らが好き勝手でやってることだからよ、言う必要はないんだよ。」 全国哥麿会 会長・田島順市さんのこの言葉に、私たちは“黙って走る美学”を見ました。 褒められなくても構わない。頼まれてなくても向かう。 そんな美学が、いまの時代にどれだけ残っているでしょうか。
■ 義理と人情を、コスパで測らない人たち デコトラのオーナーたちは、企業のトラックドライバーでもなければ、補助金をもらって支援に行っているわけでもありません。 すべて自腹で、飾りも、燃料も、炊き出しの食材も揃えます。 それでも彼らが走るのは、その先に「ありがとう」と涙を流す人がいるからです。
■ “昭和”を続ける、数少ない存在 排ガス規制、EV化、コンプライアンス…。社会は効率や安全性を重んじて進化しています。 けれどその中で、“異物”のように走り続けるデコトラには、かつてこの国にあった、人間の温度が宿っています。 昭和の美学は、不適切かもしれない。でも、すべてが正しい今が、本当に温かいとも限らない。
■ かぶくことの尊さ 織田信長の時代から続く「かぶき者」の精神。 社会の均質化が進む現代において、異質であること、嫌われることを恐れずに、自分を貫くその姿こそ、本来の“アーティスト”だと私たちは考えます。 デコトラは、走るアートである前に、生き方がアートなのです。
|5|WHAT'S NEXT? 〜走り続けるアートを、未来へ。
デコトラという存在に、どこか抗いがたく惹かれる理由を、私たちはまだうまく言葉にできません。 ただ確かに言えるのは、そこには“整えられた美”ではなく、“反骨の美学”があるということ。
■ 語らずとも、伝わるものがある。 炊き出しを終えて黙って帰っていくデコトラの背中に、誰もが言葉にしがたいものを感じていたように、 このプロジェクトもまた、言葉で人を動かすものではありません。 共鳴する人と、ゆるやかに紡いでいく。そんな気配で、続けていけたらと思っています。
■ ご縁があれば、ぜひお声がけください。 もし、この文化に何かしらの価値を感じ、「一緒に何かをやってみたい」と思ってくださる方がいれば、 ぜひ、静かにでもお声がけください。 次の展開は、決まっていません。でも、出会いの中にこそ、問いが生まれ、道が開けると信じています。
About
Location:
Japan
Information
Grand design:
Creative Director
-Katsunori Nishi
Creative Director
-Jun Fujiwara
Designer/Photographer
-Junpei Kudo
Designer
-Chiaki Fukushima
Designer/3D
-Yuro Kosaka
-Shota Watanabe
Production Manager/PR
-Miho Takano