「日本のことが大好きです。だから、まずは訪日中国人の方がこのサービスを利用して、普及すれば、今度は日本人の方がこのサービスを利用して中国に来れるようになればいい。将来、お互いの国で普及して、交流できるようになることで貢献をしたい」

YOK株式会社の方嘉靖社長が、起業してこのサービス「巡旅（めぐる）」を始めたきっかけ。それは、単なるビジネスではなく、重ねてきた人生経験から必然的に生まれた想いがありました。

来日、そして、デンマーク留学で考えたこと

小さいころに何度か訪れたことがある日本。そんな方社長が、18歳のとき、2010年9月に日本に来て、その後大学に入学。高齢化社会などの問題を抱える、課題先進国としての日本に強い興味を覚えます。

日本の大学在学時に、社会的起業（社会問題の解決を目的として収益事業に取り組む事業体のこと）に興味を抱きます。ノーマライゼーション（障害をもつ者ともたない者とが平等に生活する社会を実現させる考え方）や、エネルギー問題などに積極的に取り組む北欧の国、デンマークに心惹かれ、1年間、コペンハーゲン大学に留学。

母国の中国人と、留学先の日本人が、デンマークを旅行できるように何かできないかと、コペンハーゲンの旅行会社でインターンを経験。ツアープランニングについて学びます。

日本の大学に復学、卒業した後には、ホテル業の藤田観光に就職。その後もオーダーメイドの旅行会社に勤務して、旅行業の経験を重ねます。

ツアープランニングの業務に携わりながら、ずっと心のどこかに抱えていた想いがありました。それが、唯一無二のツアープランニングを提供するサービスを世に出すという起業でした。

そして、今までにないツアープランニング・サービスの起業へ

日本で、ホテル会社や旅行会社でツアープランニングに携わるうちに、既存の旅行サービスに疑問を抱くようになります。

旅行会社は、会社の都合で、お客様が求めているわけではない場所やアクティビティをツアーに組み込んだり、必要な情報を提供できないこともあります。だからこそ、必ずしもお客様のニーズに合致しない従来の旅行サービスに取って代わる、唯一無二のツアープランニングのサービスが必要であると。

日本を旅行する海外の方たちに必要なのは、ホテルや飛行機の予約を代行してくれるサービスではなく、旅行のプランニングそのものをサポートしてくれるサービスのはず。だからといって、人間がプランニングを行う以上は高価になってしまう。

そこで開発されたのが、YOK株式会社のツアープランニング・サービス「巡旅（めぐる）」。

従来のオンラインサービスのように、訪問する場所からツアープランニングを行うのではなく、興味のあること、体験したいことからツアープランニングを行うサービス。しかも、AI（人工知能）が、ユーザーそれぞれの好みに適合した場所や体験を自動的にレコメンド、プランニングしてくれるサービスを思いつきます。

ただ、AIのレコメンドによるものでありながら、あくまで主導権は、その旅行者である人間が握っているというのも重要な点です。

そして、既存のオンラインの旅行サービスやガイドブックに掲載されないような、魅力的ながらもあまり知られていないような地方の情報も旅行者に提供されることで、地方創生も目指しています。

おわりに

社名のYOK株式会社とは、日本の国を意味する「大和」（Yamato）と「観光」（Kanko）を、デンマーク語の「と」（and）を意味する語（og）でつないだもの。

デンマーク留学時代に出会った、社会的起業の精神と旅行に対する情熱によって、日本の観光を世界の人たちへと橋渡しするサービスが、当社のツアープランニング・サービス「巡旅（めぐる）」なのです。