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なぜ着物なのか

3代目(予定)の平原将吉です。

 

10年ほど前になりますが、10年ほど毎日着物をきているという着物屋店主さんと少しだけお話しする機会がありまして、その方に言われた

 

「着れば分かるから」

 

という言葉が、私の心に突き刺さったのです。

 

着物業界の人が集まる会合などでも、着物を着ている人の方が少なかったのは事実です。

 

かくいう私も、出張の時は着物を着て出かけておりましたが、普段はスーツを着たり、普通の洋服を着て生活していました。

 

どことなく、「もっと着物着た方が良いのだろうな」と思っていたものの、面倒くささなどが先行してしまい、着物を着る回数は普通の人よりはもちろん多いですが、自分の感覚として決して多くはなかったと感じていました。

 

そんな中で「着れば分かるから」と言われてしまったもんだから、

 

「じゃあ、やれるだけやってみよう!」

 

と、具体的な期限は決めなかったのですが、続く限り毎日着物着て生活してみようと一念発起しました。

 

 

【着物生活の始まり】

もちろん普通の飲み会とかにも着物で行くので、最初は「何で着物?」「今日は何かあった?」など着物を着ていることを不思議がられたり珍しがられたりしたものですが、だんだん周りも慣れたのか、いつしか着物を着ていることが日常となり、何か言う人も少なくなりました。

 

「あぁ、あの人はいつも着物なんだな」というイメージが確立されたのです。

 

およそ2年間、ほぼほぼ?何とか毎日着物を着る生活を続けることができたのですが、この期間出会った人は、着物姿しか知らない訳で、何かの行事で着物を着ていないことが有ったときは、「何で着物じゃないの?」「一瞬誰か分からなかった」と言われるくらいです。

 

この期間で、一番感じた事として、

 

「着物を着ているだけで、色々な方が話しかけてくれたり、話題にしてくれる」

 

ということです。

 

「素敵ですねぇ」「カッコいいですねぇ」

 

スーパーのレジ打ちのおばちゃんやレストランの店員さんなど、全然面識がない店員さんも声をかけてくれたりします。

 

会合や懇親会の席などでも、こちらが何も言わなくても割と自然に着物の話題になったりします。

 

恐らく、どんなにこだわった洋服やスーツを着ていても、こんな風に声をかけられることはなかったと思いますし、こちらから着物の話題をしても何だか商売っ気が溢れてるみたいになるだろうと思います。

 

つまり、着物は、他にはない唯一無二の存在感があるのだということを、着物を毎日着ている中で実感することが出来たのです。

 

まさに「着れば分かるから」の言葉通り、着たら分かったのです。

 

 

【着物って素晴らしい】

洋服にTPOがあるように、着物でもTPOがあり、冠婚葬祭で着る着物と、旅行など趣味として着る着物は違います。

 

着物の価値は一概に「○○だ」と言えませんが、自身を着飾る衣装として最高のパフォーマンスを発揮してくれることは間違いありません。

 

あと、着物を着ているというだけで、やはり印象が強いのか、めっちゃ覚えてもらいやすいです。色々な人とつながりを広げていきたい人にはお勧めですよ。

 

何よりも素晴らしいと感じることは、単なるファッションにとどまらないところです。

 

もちろん着物のファッション性が好きで、お洒落のいちアイテムと捉えている方もいらっしゃいますし、それはそれで良いとは思うのですが、私たち専門家の立場だからこそ訴えていきたいのは、その文化的な側面です。

 

伝統工芸の分野にもなりますし、日本の生活に密接に関わりながら育まれてきた文化なので、日本の歴史や文化、宗教観も含めた日本人の精神性といったジャンルにも深くかかわってきます。

 

 

工芸品としての価値がある織物や染物の商品、産地に関するブログもありますので、興味がありましたらご覧いただけたら嬉しいです。

 

・大島紬

http://mihashi-kimono.co.jp/blogs/view/14967594611771/9123654155410739625

・草木染

http://mihashi-kimono.co.jp/blogs/view/14967594611771/9123654155410739632

・琉球(沖縄)染織

http://mihashi-kimono.co.jp/blogs/view/14967594611771/9123654155410739704

・自然布、オヒョウ

http://mihashi-kimono.co.jp/blogs/view/14967594611771/9123654155410739727

 

織りや染めで描かれた紋様の多くは、子孫繁栄や厄除けなどの想いが込められており、家族や大切な人の幸福を願う背景の中で生まれています。

 

現代の着物も、アートとしての図柄もありますが、伝統的な日本の意匠を元に考えられた着物や帯も沢山あるので、着物を通じて日本の文化や歴史、当時の価値観に触れることにもなります。

 

国際社会と言われている現代、これからますます国際化が進む現代では、生まれ育った国のアイデンティティはとても大切ではないかと考えます。

 

戦後、良くも悪くも西洋化、無宗教、儀式の簡略化など、日本人が日本の伝統的な文化を身近に感じる機会が少なくなってしまった今、ただただ「伝統だ、文化だ」と叫んでも中々受け入れられない人も多いと思いますが、「楽しい」を入り口に、日本人としての教養を身に付けられる、素晴らしいコンテンツである着物の力で、自然に伝統や文化を身近に感じてもらえることが可能であると思っています。

 

草の根活動としても、やはり子供のころからそういう体験をして欲しいと思うので、授業として取り扱ってもらえるように学校に提案したり、子供たちを対象とするようなイベントの企画などもできる限り取り組んでいきたいと思っています。


着物ファンの拡大、消費拡大は、日本の文化レベル向上に繋がると信じています、

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