2019年4月9日、Glossom株式会社で外部講師を招いて、Glossom大学を行いました。テーマは、コミュニケーション。講師は、ボードゲームデザイナーの土屋雅章さん。彼が開発から販売までを手がけている「ちょい知る」というコミュニケーションカードゲームを使ってのセミナーでした。遊び感覚で相手のことを知り、気がつけば親近感が沸くというもので、円滑な人間関係をつくり、組織を強化することを目的としたものでした。セミナーは大きく盛り上がり、今後の成果に期待できる結果となりましたので、ここで当日の様子をレポートします。
講師:土屋雅章さん
ボードゲームデザイナー コミュニケーションカードゲーム「ちょい知る」考案者。本業としてWEBデザインに携わる一方、自身のコミュニケーション力向上のために、副業として「ちょい知る」を開発。「副業はお金儲けではなく挑戦」と言い、様々な場所に活動の幅を広げている。
楽しみながら自己紹介ができる「ちょい知る」とは?
セミナーは、「ちょい知る」の説明からスタートしました。ちょい知るは、会員制朝活コミュニティ「朝渋」の活動から生まれたもので、発案から開発、販売までを手がけているのが、今回の講師の土屋さん。知らない人同士のコミュニケーションづくりをテーマに、人と人とをグッと近づける方法として開発されました。
ブルーのカードには、トークテーマ。グリーンのカードには、会話をスムーズにするための合いの手が書かれています。1人の持ち時間は5分間。この間、テーマに沿った自己紹介をしていきます。
通常であれば、自己紹介に5分間もかけるのは難しいですし、聞いている方も飽きてしまいます。ところが、ちょい知るを使うことで聞き手も参加できるため、楽しみながら進められるのが特徴。土屋さん曰く、「自己紹介はギフト。相手の話を聞くことで、自分も返さなきゃ、と思うから盛り上がる」とのことでした。
他では見られない、笑みがこぼれる自己紹介
当日のセミナーに参加したのはマネージャーから、数日前に入社したばかりの新入社員までの合計19人。4人1組で5グループに分かれ、ちょい知るカードと砂時計が渡されて、さっそくスタートです。
ちなみに、この企画は以前に行われたマネージャーセミナーのアイスブレイクとして実施され、好評だったもの。このときは1分だったのを、「一人あたりの持ち時間を長くして、これだけに特化したセミナーをやっても面白いのではないか」との発案で実施することになりました。
案の定、すべてのチームが和気あいあいと盛り上がり、絶えず笑い声が聞こえる状態に。話が止まりそうになると効果的に合いの手カードを出し、スムーズに話せるよう手助けをするチーム。話が盛り上がって来たところで、あえてテーマを変え、逆に笑いがこぼれるチームなど、その方法もさまざま。ただひとつ言えるのは、どこのチームも実に楽しそうだったということでした。
多くのメンバーの、知らない一面が明らかに!!
すべての人がチーム内で自己紹介を終えたところで、全体への報告となります。チーム毎にもっとも印象深かったものを発表しました。その中のいくつかをご紹介します。
「10月からの半年で17キロのダイエットに成功した話を聞いた。食事制限はなく、筋トレと有酸素運動中心で成功したのはすごい!!」
「23歳の若さで、週一度サウナに行きストレスを解消している。アットホーム感のある場所で自分の世界に浸るのが好きらしい。」
「人の不幸が大好きで、その一方、自分の不幸はしゃべらない。その理由は、人に心配されたくないから。嫌なことはアルコールで消毒して済ませるそうだ。」
どれも、驚きや笑いがこぼれる発表となったのが印象的でした。これらは、日常のビジネス的なつながりの中では耳にしないものばかり。直接、仕事に関わるわけではありませんが、オフタイムのことを知れば親近感がわき、お互いへの理解が深まります。
予期せぬ「合いの手」によって生まれる「空白」を、埋めていくのが良い
すべてのチームの発表が終わった後は、土屋さんの振り返りと講評が行われました。
「ちょい知るを使うことで、予想外の合いの手が空白を作ります。その余白は脳が嫌うため、何とか埋めようと演算をし始め、思考の枠が広がります。これにより新しい発想が生まれることに、ちょい知る面白さがあります」(土屋さん)
5分間の中で、これまで語ったことがないことをうっかり話してしまった人も多かったようで、それが楽しいコミュニケーションに繋がるだけでなく、自分の新たな部分の発見にもなることを知らされました。
その後、時間もちょうどランチタイムとなり、軽食を食べながらの懇親の場となりました。どのチームも話し足りなかったようで、引き続き盛り上がりを見せていたことも、このセミナーが有意義なものであったことの証明と言えるのでしょう。
参加者の感想を紹介
ここで、参加者の感想を紹介します。
李鈞華さん
「以前、マネージャー研修でもやりましたが、そのときは1分でした。今回は5分だったので深い話が聞けました。5分は長く、プレッシャーも感じ、電子レンジを買ったなど仕事に関係ないことまで話してしまいました。普段、一緒に仕事をしない人とも話せてよかったし、自分のチームは口下手な人が多いので、チームビルディングにも役立ちそうだと感じました」
都田遥奈さん
「4月1日に入社したばかりなので緊張しました。最初、5分間は長いと思いましたが、カードを使ったことで話しやすかったです。表面上は知っていても、まだまったく話をしていない人や、少ししか話していない人も多く、意外なことも発見できて、とても楽しかったです」
そのほかの感想も紹介させていただきます。
「自分はネタが多い方だと思っていたけど、意外とネタが少ないことを知った」
「あと、1~2周すると、さらにいろいろなことが分かって盛りあがる気がする」
「カードにある合いの手以外も出したかった。それくらい盛りあがった」
「部署が違う人の子のことも知れてよかった」
「部を横断するプロジェクトが多いので役立ちそう」
「普段はあまり突っ込んで聞けないことも多いので、今日は思い切って聞けてよかった」
「ぐっと親近感がわいた気がする」
どの参加者に聞いても好評で、大成功のセミナーとなりました。
社長の狙いとこれからの取り組み
今回のGlossom大学の狙いと期待する効果について聞きました。
「弊社はコミュニケーション強化の手段として、チームビルディングの費用補助などを行っていますが、そもそも仕組みとして人間関係をつくることが大切だと考えています。仕事のアウトプットを高めるためには、仕事以外のつながりも大切です。これは、マネージメントにおいて部内の人のことを知るということもありますし、部外の人についても同じです。
事業において、生産性が高いことは重要です。みんな静かに業務に集中していて、作業生産性が高いことと、気を遣わない関係だからこそ自由にコミュニケーションを取れ、雑音がありつつも結果、生産性が高いのとでは、雰囲気が随分違うと感じていて、弊社では後者の側面が強いです。社内チャットで、言い回しを気にして何度も推敲して時間を使うのは生産性が低いように感じていて、中には言葉遣いが丁寧でない人もいるかもしれないですが、そうであっても誤解されない人間関係をつくっていくことが重要だと考えています。
企業は、業績が伸びて人が増えると、どうしても生産性が落ちてしまうのが一般的です。また、ずっと好調に成長していくわけではなく、業績は波を打つときもあります。そういったときに一緒にがんばれる組織を作りたいと思っています。そのためには、業績が好調なときにこそコミュニケーションを取って組織の”関係性の質”を高めることが重要で、今回の取り組みはその仕組みづくりの一環です」(足立社長)
確かに、今回参加した人の表情を見ていると、仲間意識が高くなっているというのは確実だと感じました。また、プライベートなことを少しでも知っていれば、新たなチームで一緒に仕事を担当するときにも安心感があり、最初からムダな遠慮をしなくても済みそうです。そうすれば、回り道をせず、最初から生産性を高い水準でキープできそうだと感じました。
講師総括:盛り上がってよかった。これからの効果に期待!
最後に、講師を勤めていただいた土屋さんから講評をいただきました。
「今回は社内での実施ということもあり、すべてのグループが盛り上がってよかったです。ちょい知るは、朝渋やシェアハウスなど、「普段から接するけれど、あまり話はしていない」というグループでやることが多く、中には盛りあがらないところもあります。ですが、今回は社内の人で、さらに希望した人ということも盛りあがった理由だと思います。この調子で輪を広げていければ、大きな効果が期待できると思います。
このゲーム開発の背景には、私自身が、コミュニケーションがあまり得意ではないということもあります。自己紹介が定型化してしまうのはもったいないことです。これをギフトにすれば、相手も返してくれようとしますし、それが円滑なコミュニケーションに役立つと思いますので、これからもチャンスがあれば進めていきたいと思います」土屋さん
今回の講師:土屋雅章さん
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参加者も大いに満足だった今回のセミナー。コミュニケーションが円滑にできる環境は、働きやすい職場に欠かせない条件です。これからも、さまざまな取り組みを通じ、メンバーが一丸となれる環境をつくっていきたいと思います。