鍛えるべきは「人間力」。代表が語るスタートアップの魅力とは

水谷寿美、32歳。vivit株式会社代表。

リクルート、サイバーエージェント、グリーを経て起業。「心動かす体験を通じて、世界をより豊かに」というミッションのもと、アウトドア情報を発信するメディア「hinata」や、アウトドアをもっと身近で手軽に楽しんでもらうためのキャンプ用品の保管・配送サービス「hinata trunk!」という事業を展開している。

今回は代表の水谷にスタートアップベンチャーで学生が働くことの魅力を語ってもらいました。

vivit立ち上げまでの経緯

親が会社経営していることもあり、将来は自分も会社を作ろう、という意識は小さい頃からありました。具体的に、意識し始めたのは、就職活動の時です。30歳までに起業しようと決めてましたので、新卒から約8年間しかない。それまでに、何を身に付けるべきかを考えた時に、クライアントに対しても、社内に対しても「人を動かす」という点において「営業力」が共通して求められる力だと思い、それが最も培えるリクルートという環境を選びました。

その後、インターネット領域での職業経験を積みたいと思い、サイバーエージェント、グリーという会社を渡り歩きました。特に、グリーに入社した当時は、すでに上場はしておりましたが、今ほど大きな会社ではなかったので、小さな部署で営業から商品設計、人材マネジメント、事業推進まで一通り行いました。ここでの経験は、起業してから今日に至るまで、あらゆる面で役立っています。

そして2014年1月にvivit株式会社を設立し、今に至ります。

変化の大きい時代、ビジネスで活躍する上でどんな力が求められるか

色々ありますが、強いて言うなら、「人間力」だと思います。

ビジネスでのアウトプットは「能力」×「熱意」×「考え方」の掛け算で成り立つと考えています。この中で最も大切なのが「考え方」。いくら記憶力や頭の回転が良くて、モチベーションを高く維持できても、考え方がマイナスに向いていれば、そのアウトプットは大きなマイナスを生み出します。

たとえば、営業組織において考え方に負のタイプの者がいると、自分の習得したノウハウや情報を他営業には容易く共有しません。一方、良い考え方を持っていて、視座も高い人であれば、チーム全体にノウハウやうまくいったケースを共有します。Giveの精神ですね。その結果として、事業やチーム全体の成績が向上したり、そこまで打算的に考えていないとしても、チームの雰囲気がよくなったり、結果的には、業績があがることで、自身の待遇にも影響していきます。究極、自分に跳ね返ってきます。

最近では、大手でもIT化やAIによって、単純作業が人間の手から離れ、様々な業務が自動化されています。そんな環境下では、どれだけ人間らしい仕事ができるか。どれだけ人の心を動かせるか。「人間力」が求められていると思います。

学生がスタートアップで働くことの魅力

一番の魅力は、会社の規模が小さい分、任せてもらえる仕事の幅が大きいこと。また、それによって事業の成長を体感しやすい点にあると思います。

私の仕事観の一つとして、「権限」と「責任」はセットであるべきだと思っています。正社員・インターンに関わらず、やりたいと言う人には、自由に事業を進める権限を与えています。ただ、それには求められる成果を出すこと。また、結果は外部要因に左右されることもありますが、コミットしてもらうことが絶対条件です。

学生という立場でありながら、権限と責任を持って社会事業の一翼を担う機会は、とても貴重であると思っています。もっとこうしたらユーザーは使ってくれるんじゃないか、と試行錯誤すれば、実務レベルでの「人を動かす力」「人間力」が身に付きます。社会の中で働く以上、責任は重くのしかかってきますが、その中で成果を達成すれば、「やりきる力」や学生では、感じることのない達成感を得ることができると思います。