【ライフスタイル・クラスター分析】趣味・関心テーマには相関性があり、職業や世代の影響が色濃い!~【後編】最新ライフスタイル&トレンド感度調査:樋口 進
先回は、ライフスタイル&トレンド感度調査の結果の基礎集計版 をご報告した。今回は、このデータを統計的な手法でさらに深堀して生活者のプロファイルをあぶり出してみたい。
下図をご覧いただきたい。クラスター分析という手法で、今回サンプル取得した600名超の生活者を8つのタイプに分類したものである。各分類のネーミングを見ると意図的に分けたように見えるがそうではない。ネーミングは各分類タイプのペルソナを見ながら、後付けしたものである。
■ 趣味と日常生活の境界は曖昧
趣味と関心ごとを洗い出す…という調査主旨で苦労したのは、今熱心に取り組んでいることや充実感を感じていることを『趣味・関心ごと』だと思っていない生活者がかなり多いということだ。以下の分類で言うと「地元愛ファミリー」や『高収入DINKS会社員』がそのタイプであろう。想像するに、彼らの最大の関心ごとは家族とのコミュニケーションや友達との交流、あるいは仕事だったりするのだが、それは中々「趣味」であるとは発言しづらい。選択肢も選びづらそうな項目は省いているので結果的に趣味がないように見えてしまうがそういうことではない。彼らは日常生活そのものが楽しいとも見て取れよう。
一方で、こんな趣味もあんな趣味もあるという一種の『自己主張』感が強かったのは『外型アクティブシニア夫婦』。男女50代を中心としたこの層はおそらく、仕事はさほど忙しくなく、「アクティブに色々な趣味をやっている」ことがアイデンティティなのであろう。とは言え、趣味の内容的には伝統的な趣味が多い。
■ モノよりコトは時代の趨勢
この8つのタイプ(以降クラスターと称する)のプロファイルをまとめたのが次の表である。8つの中でもっとも構成比が高いのは『地元愛ファミリー』次いで『家族生活エンジョイママ』である。商品の保有傾向も後続の質問で聞いているので、モノ志向かコト志向か?あるいはバランス型か?もフラグ付けしてみた。昨今若者がモノ志向からコト志向に変わったと良く言われるが、その傾向は若者だけに限らない。モノ志向が強いのは「トレンド系ヤングビジネスマン」と「高収入DINKS会社員」であり、それ以外はかなりコト型に寄っている印象を受ける。
もう一つ面白いのは『趣味・関心ごと』の設問だけでクラスタリングしたにも関わらず、ライフステージによる特性や職業・年収による特性が結構出たことである。『仲良し仕業夫婦』はそのネーミング通り、仕業従事者が多く、『外型アクティブシニア夫婦』は公務員と経営者が多いという結果である。この2つのクラスターは地方在住者が多い。
次いで各クラスター別に実際の趣味ランキング・グラフ化してみたのが以下である。上位の趣味に賛同の多いクラスターは『クリエイティブ好き40代』と『トレンド系ヤングビジネスマン』そして『家族生活エンジョイママ』あたりである。仲良し仕業夫婦は上位項目では「旅行・レジャー」一択である。『株・投資』が上位に来ていることに先回言及したが、これは実は『高収入DINKS会社員』が牽引している。また『オタ系30代お一人様』は、『アニメ・漫画』と『オンラインゲーム』が抜きん出ており、この辺は想像をはずさない。
■ 趣味的商品と生活必需品では価格分散にギャップ
最後にこの趣味クラスターと商品に対する価格相場観の関係を読み解いてみる。下図をご覧いただきたい。クラスターによって、相場価格のブレが大きかった商品は、家具では3人掛けソファ、家電ではAVアンプやデジタルカメラなどの趣味性の強いもの。それから、家族ライフか単身か?によって必須度が異なる生活家電である。これと比べると意外に『洗濯機』などは価格差が開いていない。
以上、いかがだったろうか?まずは、あなたご自身が、この8つのクラスターで言えば、どれに分類されそうか?考えてみると面白いと思う。もちろん、そもそも生活者をたった8つのクラスターに分類するのはかなりムリがある。趣味・志向が多様化した現在であればなおさら一筋縄では分類できない。しかし、占いや血液型判定のような手法ではなく、旧来からある統計解析手法でもそれなりに面白い結果がでることをご理解いただきたい。ビッグデータですらない、たった600サンプルのデータでも、それなりにマーケティングの発見はある。
次回は、また別のテーマでの自主調査を実施してみたい。まずは、以下から今回のレポートをダウンロードされたし。
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https://www.think-agent.co.jp/2016/05/10/data-5/
株式会社シンクエージェント
代表取締役 社長
樋口 進