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新製品「プルーフロッグ」の開発の背景について 〜代表者インタビュー〜

タクトピクセル広報担当(国本)が代表へインタビュー♪
創業して4年目を迎えたタクトピクセル株式会社 代表取締役 CEO/CTOの玉城さん。
新製品のクラウド型オンライン校正検版ツール「プルーフロッグ」開発背景、開発後の苦労話、「プルーフロッグ」の未来性、今後の会社の在り方ついてインタビューしました。

コスト安、手軽さ、お困りごとの解消
お客様と会社も豊かになる製品を新たに研究開発!

国本)玉城さん、本日はインタビュー宜しくお願いいたします!
新製品のオンライン校正検版ツール「プルーフロッグ」ですが、どのような経緯で作られたのですか?

玉城)元々創業当時は、「印刷やデザイン業界向けに画像処理技術を生かして貢献したい」という大まかなイメージだけで、どんな製品を開発するかはお客様の声を聞いて決めたいと考えていたので、まずは現場の課題をヒアリングするところから始めました。

ただ、何も考えずにヒアリングを始めたわけではなく、今まで印刷製造現場向けの画像検査装置を開発してきた中での「想像の中の課題感」もありましたし、趣味の音楽関係のチラシ作りをしていた時に感じた「リアルな課題感」も持っていたので、その市場性や優先度を決めていく上での参考にしたという感じです。

そこで、画像処理技術と深層学習技術を生かして、他に役に立つ製品作りができないか、改めて過去のニーズを振り返り「プルーフロッグ」の構想を練りました。もっとスケールするビジネスでもっと早く作って提供できる製品を作ることが、弊社がこの業界に対して貢献できるスタイルなのではないかと考え、オンライン校正検版ツール「プルーフロッグ」の開発を始めたのです。

開発した新製品も苦労の連続…
“訴求” と “売り方” の試行錯誤

玉城)一番楽しい時は「お客様が困っていることが、このひらめきで解決できるかもしれない!」とアイデアを練っている時です。まだ本当に売れるかどうか、を考えずにとにかく良い製品になるように機能や画面設計を考えている時って本当に楽しいんですよ。

でも、技術的にチャレンジングなことを取り入れた製品なので、実際に作る過程はうまくいかないこともしばしばあり、最初のスケジュールとのズレが出てくると焦ります。最初の勢いとは打って変わって、だんだん苦しくなってくるんですよ。笑

※注意※ 実際は真剣な表情でアイデア出しをしています。笑

国本)あははははは!笑

玉城)
最初に想像していた現場の課題は「チラシやカタログの手直し後のチェックとして使えないか?」という想定をしていましたが、最初はなかなかヒットしませんでした。
地道に既存ユーザーにインタビューやヒアリングを重ねて、訴求の仕方を工夫していくと、ようやく当初のチラシやカタログなどの制作業務の後半の作業の方で役に立ちそう、ということがわかってきて結局、最初の想定に近いところに正解があった、という感じです。

国本)結局、想定通りになったという感じなんですね。

玉城)そうですね。
最初の想定通りのニーズがあったんですけど、訴求の仕方、売り方が間違っていたために刺さらなかったんです。

国本)「伝え方が9割」という本もあるくらいなので、伝え方で全然変わりますもんね。しっかり相手を知ることが大切ですね。

玉城)そうなんです。
ちなみに売れる前は「デザインデータのバージョン管理」というコンセプトで売っていたんですよ。それが驚くほどヒットしませんでしたね。笑

「バージョン管理」って、発想としてはソフトウェア開発者寄りの考えなんですね。10年ほど前にはほとんど使われていなかったgitというツールは、今では無くてはならないものです。バージョン管理というのはデザインの現場でも普及していけば絶対に役に立つし、当たり前に使われるようになると思って、「デザインデータのバージョン管理」「デザイン制作のgit」と大きく打ち出したんですよ。
これはイケる!って心の中で思っていました。笑

国本)あははははは!笑
プログラマーとか専門分野の方はわかるかもしれないけど、わかる方しかわからない言葉かもしれないですね。

玉城)「git」とか「バージョン管理」っていう言葉にこの業界の方はピンとこないんですよね。
そこでもう一度現場の声を聞いて改めて「売り方」を考え始めました。開発当初にイメージしていたお客様像が実際にも増えてきて、構想は間違っていなかったな、と感じています。


(デザイン業界向けの展示会「Adobe Max」に出展したときの様子)

今後の展開
「本当に困っている “届くべき人” へ届ける」こと

国本)今後の展開としては、広い業界のお客様に使ってもらうのか、業界を絞っていくか、どのような方向性を考えているのでしょうか?

玉城)方向性としては、「本当に困っている “届くべき人” へ届ける」ということを徹底したいと考えています。なので今の段階ではターゲット市場を広げすぎないようにしていきたいです。
具体的には、デザイン制作やマニュアル制作の業務向けに製品のバージョンアップをし続けています。

(スタートアップの登竜門「IVS LAUNCHPAD」にファイナリストとして出場したときの様子)

国本)今は分野を絞って困っている層に届けることに尽力していきたいということですね。

玉城)そうですね。想定していた「デザインデータを比較できる」という基本機能はほぼ完成しているので、もっとこれがあったら便利なのに、もっとこうしたら使いやすくなるのに、というお声に対して応えられるよう注力しています。

国本)リリースという山を越えて、基本機能の安定と確立の山を越えて、また新たな山を越える段階なんですね。

玉城)ありがたいことに開発チームが育ってきており、何かトラブルがあっても対応できる体制は整ってきているので、いくつかの機能を同時並行で開発しています。例えば、細かい権限管理とか、容量の制限とか、パフォーマンスの制約がまだあるのでそういった細かい仕様の拡充を主に取り組んでいます。

ですが一方で既存のお客様からは、機能が増えていくと使いにくくなってしまうのを心配するお声も頂いています。

国本)確かに機能が多くなることで複雑になってわかりにくくなってしまうこともありますよね・・・。

玉城)お客様とお話ししてハッとしたのは、
「このツールのいいところは、知識がなくても直感的に使えるところがいいところ。だからあまり追加してほしくない。」
というお話でした。新しい機能が増えたことでボタンを1つクリックするのが多くなるとか、画面が複雑になってしまうとか。今まで通りの使いやすさも残しつつ、新機能を追加していく、ということを意識してバージョンアップしています。

国本)リアルな現場の声を聞きながらバージョンアップしてさらにより良い製品になっている、という感じですね!

玉城)そうですね。開発者自身や開発チームに近いメンバーがお客様の声を直接聞けるので、素早く製品開発に生かせています。営業担当が少ないということで苦しいところもありますが、営業と開発のちょうどいいバランスで進めていけると、製品自体もさらにグレードアップしてスケールしていけるので、もうひと踏ん張りですね。
それがやっとできるようになっている、という感じです。

国本)お客様と直接やり取りしている中で、特に嬉しかった出来事はありますか?

玉城)これは開発者目線なんですけど、「これは便利になるはず」と思って実装した機能が、お客様の方から「これ便利ですね!」と言われたときに、「でしょ!」と嬉しくなりますね。笑
画像を比較すること自体は単純な仕組みなので、それ自体を見てもすごさがなかなか伝わりません。ユーザーの手数を減らすために自動でいい感じに比較結果を見せられる技術は、簡単なように見えて実はかなり複雑な技術を駆使しています。

ここがエンジニアの腕の見せ所とも言える部分で、同業者が見ても簡単には真似できないほど作り込んでいて、こだわりの部分です。
作るのが大変な部分に対して「いい!」と言われたときには素直に嬉しいですね。作ってよかったなと思います。

国本)エステサロン勤務時代のときに当時の社長から言われたことを思い出しました。
「実際にご使用いただいているお客様から『これいいですね』と言われた時こそ営業のチャンスです!」
お客様は自分が納得して使用しているものに対する良さやこだわりを聞くとさらにファンになっていただけるらしいです!
業界は全く違いますが、ぜひ営業しないともったいないかもしれません!笑

玉城)そういった良さやこだわりをアピールすることは技術者の自己満足だという意識がすごくあったんですけれども、今後はもう少しアピールするようにします。

国本)ぜひアピールしてください!笑

「プルーフロッグの市場価値は?
市場拡大でトップレベルのオンライン画像校正ツールへ

国本)「プルーフロッグ」はオンライン校正というニッチな産業 で活躍していると思うのですが、その市場で他に似たような製品はたくさんあるのでしょうか?

玉城)校正には2種類あって、「文字校正」と「画像校正」があります。技術背景が違うこともあり製品としては別物です。
「文字校正」は近年のAI技術の発展で競争も激しくなってきていますね。契約書だとか会計資料、特許等、文章チェックが大変なものをAIで解析してチェックしたり、言葉の言い回し間違いをチェックしたりできます。

国本)確かに、「校正」と「AI」は相性が良さそうな感じがしますね。プルーフロッグはどうなのでしょうか?

玉城)プルーフロッグは「画像校正」に特化している製品です。画像校正もちらほら出てきてはいますが、文字校正ほどではありません。画像校正は、 シンプルな比較ツール自体がまだ普及していないという現実があり、ニーズがこれから顕在化していく市場でもあります。
実際に使っていただくと「これは便利だ」という声を頂きます。

でも、まだこういうツールを知らないので、そもそも欲しいと気づいていないんですよ。こんなツールがあって手軽に使えるものだと認知されればどんどん使われていくと思います。

画像校正の競合ツールはありますが、プロジェクト管理の補助ツールのような形で、そこに特化しているところはまだ出てきていないので、この分野が拡大していけば、プルーフロッグは世界中で使われるツールになると思います。

国本)お~!すごいですね。

玉城)「オンライン校正」という言葉自体は20年前からあって、10年くらい前に海外の大きな製品が登場していて、実は細々とあったんです。ただそれは、大規模なデザイン会社、印刷会社、広告代理店向けの大きなシステムのものだったんです。
それがようやく手軽にクラウドで使えるようになってきた、というのがここ数年ですね。

国本)ここ数年なんですね!では競合が少ない今が勝負ですね!笑

玉城)そうですね、自分たちが市場を作りながら先陣を切っていかないと、と思っています。笑
オンライン校正ツールも価格や機能が様々なので、プルーフロッグのような手軽に使えるタイプのツールがあることがお客様に届かないうちに、他の製品に埋もれてしまって選びにくくなる懸念もしています。

国本)確かに…。いろいろとツールが増えてきてしまうと、消費者の情報の取捨選択がうまくない場合に見つかりづらくなりますよね。
ちなみに、プルーフロッグはWebデザインの校正にも使えるのでしょうか?

玉城)はい、使えます。実は、Google Chrome拡張機能もリリースしてWeb制作業務向けの機能も検討しているところです。
ただ、もっと強く「便利だ」と思って頂くために、Web制作の現場ではどんな機能が必要なのか理解をして改善していく必要があると考えています。今は無料のプランもあるので、使ってみて頂き、改善の要望があれば応えていきたいと考えています。Web制作関係のモニター企業も現在募集しています。

実際の現場の声を聞いてみると、手作業でスクリーンショットを撮って編集差分の報告書を作っているという話もあり、まだ校正ツールを使用されていないことを知りました。その要因も含めて、既存の製品のお客様とは違う層に対して訴求できる可能性があるのではないかと考えています。

国本)確かに、層が違うと競合にならないですね!
ハンバーガー屋さんもたくさんあるけれど、マクドナルドはファミリー向けだし、モスやフレッシュネスは少し高くてもおいしいものを食べたい方向けですもんね。

玉城)良い例えですね。Web制作業界のように市場が大きければ、色々なタイプの製品が共存して、ユーザーが自分に合わせた製品を選択して使えるような市場にもなっていくのかもしれません。

持続可能な会社にしていくために大事なこと
「人材育成」と「組織体制の確立」
今後目指していきたい会社の在り方とは?

国本)今後目指していきたい会社の姿はありますか?

玉城)自分たちの売りたいものを売りつけて儲かる会社ではなくて、お客様の役に立っている会社を目指したい、というのが大前提にあります。この会社でしか提供できない価値を作り続けられる、持続可能な体制にしていきたいですね。存在していることが有意義な会社にしていきたい。だからこそ組織作りが大事だと考えています。

カリスマ性や想いで引っ張っていくのは、最初はいいかもしれませんが、きちんと持続可能にしていくためには、人材育成と組織体制の確立が必要なので、そこを常に考えていますね。モチベーションのある人や能力のある人をちゃんと評価して組織的に独り立ちできるような体制にしていきたいです。
当たり前のことを言っていて新鮮味がなく申し訳ないですが。笑

国本)いえいえ、その当たり前がすごく大切だと私も 思います!
一人一人が適材適所で能力や才能を発揮できる環境が整備されていることは持続可能な会社にしていくためには必要不可欠ですよね。
当たり前の事を当たり前にコツコツやっていくことが重要であり価値になりますね。

玉城)起業してからイベントなどで頑張っているベンチャー企業を拝見することが多くなりましたが、ユニークで持続可能な事業を運営している会社を見ると本当にすごいな、と感じます。
今、当社は出資を受けて、製品を開発して、サービスを立ち上げていくというようなフェーズにいるので、まずはそこを何とか抜け出して次のフェーズにいけるように頑張りたいと思います。

国本) 実際に校正のお手伝いをしたからこそわかりますが、目視での確認はヒューマンエラーが起きやすいので、プルーフロッグが現場のお役に立てるのが目に見えて想像ができます。
いやぁ、もう本当にたくさんの人に知って ほしいですね!

玉城)ありがとうございます!期待に沿えるよう頑張ります!

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