TAIANの代表の村田さんがどうやって起業のきっかけをつかみ、それを事業に昇華させていったのかを紐解く記事の後編。自身の結婚式をきっかけにサービスの種を見つけた村田さんは、その後どのように事業を拡大していったのでしょうか。
式場でConcept Marryのニーズを受けてTAIANを創業してからは、業界ニーズに合わせてプロダクトのラインナップを充実させ、営業に奔走する日々が始まりました。
「リクルートスタッフィングの新卒同期で、ずっと声をかけ続けていた取締役の米倉の入社に始まり、同じ志を持った社員も続々とジョインしてくれました。ちょうどその頃、TAIANは資金調達をするかどうかの決断を迫られていました。いよいよ本腰を入れてドラスティックに業界に貢献できる状態を整えるのか、これまでのように受託開発やコンサルティングとプロダクト開発のバランスを取りながら会社を続けていくかに悩んでいたのです」
悩みの末、それまでのデットファイナンスに加え、エクイティファイナンスを行い、大きく事業を伸ばしていくことを決意。受託開発やコンサルティングをやめ、プロダクトづくりに全ての力を注ぐことにしました。
Concept Marryに次ぐ新たなプロダクトの開発もスタート。業界やその働き方を根本から変えるべく、式場の新規集客から生涯顧客化までを管理できるSaaS「Oiwaii(オイワイー)」のリリースを皮切りにさまざまなプロダクトを現在も世に送り出しています。大躍進の影にはCTOの淀川、取締役の米倉による温かいサポートがありました。
「CTOの淀川は、ユーザーの声をつぶさにとらえ、自分の労力を厭わずにプロダクトを良くすることができる稀有なエンジニアです。取締役の米倉は、後天的には身につけられない自信と愛情で結果にコミットするみんなのリーダー。二人がいたから、創業期を乗り切ることができました」
そう語る村田さんの目に、いつの間にか涙が溢れていました。
結婚式を起点に日本を盛り上げたい。
途切れないアツい思い。
どうしてここまで頑張れるのだろう。読者の中にはそう感じた方もいるかもしれません。大企業で仕事に打ち込み昇進することも、マイペースに仕事を続けながら子育てすることもできたけれど、起業を選んだ理由。その答えは、ぽろっとこぼしたこんな言葉の中に見つけることができました。
「昔から、日本を盛り上げたいと思っていました。政治、文化、国際情勢などさまざまな話をしてくれた父の影響で、自然と文化遺産に興味を持ったり、日本ならではの良さは何だろうと考えることがあったからかもしれません。
そのためには、少子化課題を無視することができません。そして、それは結婚式をもっと魅力的にすることで解決できるかもしれないと考えたのです」
式場のタイプからセレモニーの種類などまで十数年変化の少ない現在の結婚式には、魅力を感じられない若い世代がいるといいます。周りへの配慮を大切にする特性やコロナ禍で変化した人間関係、経済的な事情から結婚式を挙げないカップルも増えています。
「結婚式は本来とてもハッピーなもの。誰かを祝ったり、幸せな2人の門出を見たりすることは、本来誰もが嬉しい気持ちになることであるはずです。私自身も、結婚式のおかげであらためて社会の一員になれたという幸せや安心感を感じることができました。一方で、現在の結婚式のプログラムの納得感は今の若い世代にはあまりないように思えます。それが原因で皆が結婚式をしなくなってしまえば、その先にあるかもしれない『子供を持ちたい』と思う機会も少なくなってしまう」
側から見れば、「成り行き起業」のように見えるのかもしれません。事実、自身の結婚式で作ったプロダクトがとんとん拍子にニーズを呼び、仲間が集まってきて調達に踏み切った経緯は「成り行き」と言ってしまえるほどのサクセスストーリーで、それを裏付けるかのようにベンチャーキャピタルから大型の投資を受けてもいます。しかし、筆者には「出会った人を全力で幸せにしよう」、「何かできることがあるはずだ」と考える村田さんのあり方がTAIANを作り上げたように見えました。
持ち前の純粋さと奮闘する力で村田さん。これからも、ブライダル業界をドラスティックに変えていくのでしょう。TAIANに入社する理由を私が答えるとしたら、それは「村田さんに出会えること」そのものです。ひとたび出会えば、彼女は相手を全力で受け入れ、その手を取って良い方向に導こうとするはずだから。
*この記事は、TAIANnoteに掲載された記事を再編集したものです。
写真・文/出川 光(ノンブル社)