TAIANの起業前夜には、何が起きていたのでしょうか。TAIANの代表の村田さんがどうやって起業のきっかけをつかみ、それを事業に昇華させていったのかを紐解いていきます。
社会は想像していたよりも優しい。
ずっと夢見ていたキャリアの始まり。
まずはその人物像と起業へのモチベーションを探るべく、社会人生活の始まりに焦点を当ててみましょう。そのキャリアは順調にスタートしました。
「社会に出ると大変だと聞いていましたが、社会は私が想像していたよりもずっと優しくて、拍子抜けした部分もありました。自分が働けば、それに評価や給与で恩を返してくれるシンプルさに居心地の良さも感じていました。仕事でも順調に結果を出すことができ、鼻をへし折られるということもありませんでした」
しかし、その時の話をする様子は少しだけ寂しそうでもあります。全力で仕事に没頭する同期のように、熱くなれない自分にコンプレックスを感じていたこと。目標の達成やマネジメントを、どこか冷めた気持ちで受け入れてしまうこと。仕事が大変だという同期に対し、自分にとっては社会が温かい場所であること。
少しの違和感を感じながらも、仕事を通して人と繋がる喜びや、人間関係の結び方を学びながら着実に社会人としての実力を身につけていきます。
互いに共創できるエンジニアの
かけがえのなさと、キャリアへの影響。
会社員時代の収穫は他にもあります。理系の学者の父親の影響もあり、深い知識を持つエンジニアと仕事をするのが好きだと気づいたのです。村田さんが、エンジニアに深いリスペクトを持ち、コミュニケーションを取ることができる理由がここにありました。
「自分にはない技術や職能を持つ人と共創することに喜びを感じていることに気づきました。いつかは仕事に夢中になっているエンジニアと仕事をしてみたいと思うようになりました」
2社目ではエンジニアを適正に評価するテストを提供する会社に就職。ハッカソンの運営などにも関わるようになりました。
TAIAN起業前夜は、
代表取締役 村田氏の結婚式当日。
TAIANに“起業前夜”があるとしたら、村田氏の結婚式がそれにあたると言います。さまざまなエンジニアと親交を深め、サービスづくりが身近になっていた折に結婚式を挙げることになり、「せっかくなら何か開発しよう」とWeb招待状サービスを作ったのです。それが、現在250以上の式場で利用されている、「Concept Marry(コンセプトマリー)」の先駆けでした。
自身の結婚式が終わると、本格的にそれをサービス化。概要をまとめたウェブサイトを作成しました。コロナ禍の非対面ニーズとこのサービスが見事マッチし、販売したいと問い合わせが相次ぎ、ついには創業の後押しになりました。
「コロナ禍で打撃を受けた婚礼業界の役に立ちたいという想いも創業の背中を押してくれました。人生に向き合う仕事をする喜びに満ちた婚礼業界で働く人たちの情熱と、その社会的な評価とのギャップに疑問を感じ、それを解決したいと考えたのです」
自分のことのように業界とそこで働く人のことを賢明に考える彼女を、業界もまた「私たちの光のような存在」と歓迎してくれました。
*この記事は、TAIANnoteに掲載された記事を再編集したものです。
前編はここまで。後編では、ファイナンスに踏み切ったこと、事業への思いについて聞きます。
写真・文/出川 光(ノンブル社)