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リレーインタビュー10 「面白さに絶対はない」そこにどこまでこだわるか(商品企画担当)

リレー形式でお届けしておりますソーエキサイト社員インタビューもついに10人目に!

今回は管理グループの横塚 英樹チームリーダーです。

横塚TLはネットカフェのコミック関連全般をメイン業務としながら営業事務など他の仕事もこなすという特殊な業務内容です。

いつも穏やかで優しい口調ですが、マンガに対しては誰にも負けない熱い思いを持っています。そんな横塚TLに仕事やマンガについて語ってもらいました!

仕事は、コミック全般と事務と時々肉体労働

ー今の仕事はどんな内容ですか?

営業管理チームのチームリーダーなんですが、メインの業務はコミック関係全般です。発注とか業者さんとのやり取りもそうですし、棚調整(※需要が低いと判断したコミックの撤去や、整理作業のこと)も。あとアルバイトさんの管理、スケジューリング、諸々事前の作業用データ準備とか、新店、閉店、リニューアル。梱包とか搬出とか肉体労働系も(笑)。本当に全般ですね。営業事務関係で担当しているのは、基本的に実務は他の方がやってくれてるので、その確認や請求書の処理とか。

ーなかなか特殊な仕事ですよね。

そうですね。コミック関係の業務だけだったらあるかもしれないですけど、そこに営業事務とか数値管理とかも入って来るってなると、日本中探してもほとんどないと思います。

ーじゃマンガの知識もないといけないし、数値管理もできて、プラス体力もないと。

ある意味そうですね。閉店の時とか深夜に200箱、300箱とマンガを運び出したりするので。この年齢になって深夜に体力仕事すると2、3日は影響します(笑)

ーそもそもソーエキサイトに入ったきっかけは何だったんですか?

当時マンガ喫茶はまだ今ほど認知されていなくて、上り調子の業界でもあったんです。僕はマンガがもともと好きだったのでマンガに関わる仕事をしたかったんですけど、とはいえ出版社で編集の仕事とかは難しいじゃないですか。競争率もすごいですし。なのでマンガに関われる書店とかも受けたりしたんですけど、マンガ喫茶を運営しているここに受かって。面白そうな仕事だなと思って入ったのがきっかけですね。

ー今までインタビューした人は「マンガが好きで入った」っていうより、「新規事業に携われる」って思って入った人が多かったです。

僕は当時マンガ喫茶を運営していたアイデアリンクっていう会社に入ったんですけど、「マンガ喫茶をやってる会社に入る」っていう認識でした。その後にベンチャーバンクと合併したんですが、ベンチャーバンクは新規事業をやったり色んなことを手掛けている会社だったので、合併後に入社した西田さんとかとは入社動機が少し違うかもしれませんね。

ー新卒で入社して、初めは店長も経験したんですか?

研修期間にまず副店長として店舗に入って、それが半年くらいかな。その後の2年弱くらいは店長として、当時あった六本木店と志木店とひばりが丘店を持ちました。

ー店長から今の仕事に就くまではどんな感じだったんですか?

最初からコミック関係の仕事をしたいってずっと言っていたんですが、店長をやって2年くらいした時に、当時の商品グループのコミックを扱っているところに「こっちに移ってみないか?」って話をいただいて異動しました。

ー今やっているような仕事は、当時からずっとやっているんですか?

1番最初は今アルバイトさんにやってもらっているような棚調整作業で、昔は基本的に社員がやっていました。車でお店をぐるぐる回って。あとは新店や閉店の対応、マンガ関係のデータ管理とか。今はその延長線上ですね。

マンガが絵本代わりだった

ー昔からマンガが好きだったんですか?

そうですね。ちっちゃいころからマンガは好きでした。兄弟もいるので、兄貴とかが読んでたものを。自分が覚えてる限りだと、文字をちゃんと読めない頃からマンガを読んでた感じですね。絵本代わりに。

ー英才教育ですね!(笑)よく分からないけど読んでた感じですか?

絵があるんで、それが面白くて。本を読んでいた、というか見てる感覚でしたね。

ー描いたりはしなかったんですか?

描いたりはあんまり、、、そこには正直興味が持てなくて、本当に読む、見るっていうところがほぼメインでした。

ーマンガ家になりたいとかではなくて。

そうですね。

ーある程度お金が使えるようになってからは自分で毎週買って?

買って。雑誌関係は兄弟が買ってたんでそんなに買ってないんですけど、コミックとか中学生くらいから色々買ったりとか。それこそジャケ買いじゃないですけど表紙見て面白そうだと思ったら買ってみたりとか。

ー週刊のやつとか全部あったんですか?

いや、基本メインのものだけですね。ジャンプ、サンデー、マガジン、チャンピオンと言われる少年系が主ですね。あとはヤンジャンとかヤンマガとかもあったと思うんですけど。スピリッツとか。

ー1番好きなものはやっぱりマンガなんですか?

そうですね。いわゆるサブカル系的なものは全般好きですが、その中でもマンガがメインです。

ーアイドルとかには興味は?

僕はアイドルよりもマンガやアニメ、ゲーム、音楽ですね。

ーどのマンガをどの店舗に導入するかは、横塚さんが選定しているんですよね?

そうです。多少アルバイトさんに選んでもらうのもあるんですけど、最終的には僕が全部決めています。

ー地域によって変えたりするんですか?

地域というより規模ですね。棚のキャパが2万冊もないお店もあれば3万冊以上のお店もある。そこに全部同じものを入れちゃうと2万冊のところはあっという間にいっぱいになっちゃうので、ある程度ランクづけをして、全店導入するのか中型店以上にするのか大型店だけにするのかっていうのを分けてます。

ーどの店にも入るマンガっていうのは、すごく人気ってことですよね?

人気とか連載中で話題になってるとか。あとは作者がすごく有名っていうものは全店導入したりしますね。

ー店舗規模が大きい程、マニアックな物も入れたりとか?

どうかなって迷う気持ちがあっても、自分的に面白いと思うものは入れてみることもあります。

ーやっぱりレアなものは仕入れる時も1冊あたりの値段が高かったりするんですか?

新刊は法律があって本の定価は変わりませんが、中古で仕入れる場合は、数千円しちゃうものとかも中にはありますね。

ー絶版とかですか?

はい。人気があるから高いものと、そもそも手に入らないから高いものがあります。高いけど正直人気がないものもありますね。逆に人気があったものはもともと世間に出回る数も多いので、むしろ安く仕入れられたりとかします。

ー入れてみての反響は見れたりするんですか?

そこが難しくて、データを取れないんですよ。このコミックが1ヵ月に何人に読まれてます、っていうのが出れば1番いいというかこちらとしてもやりやすいんですけど、それを取ることは現状不可能というか。

どこかの競合で入れてるお店があるらしいんですけど、専用にエリアを作ってそのエリアの中にちゃんと本を収めて、ゲートを作ってICタグを付けてっていう仕組みで。それをやるにはかなりの金額をかけて投資して作らないとできない。なので現状は、感覚を信じるしかないですね。

ー店舗ごとにマンガのリクエストをできたりしますよね?

はい。でも最終的に導入するかしないかに関しては、お店の方にある程度任せています。「うちはこれくらいの推奨レベルですよ」とか「これはそんなに人気ないですよ」とか「これは結構人気ありますよ」っていう情報は投げて、あとはお店でどうするか決めてもらう形ですね。

ーリクエストが上がって来たもので、知らないものはない?

いや、そんなことないですよ。本当にマニアックなものとか、最近だとライトノベル原作もあったりするので。特にWEBの「小説家になろう」みたいなのですね。そこらへんで人気が出たものを原作としたコミックっていうのは、最近すごく多いです。それを全部チェックするっていうのはさすがに難しいですが、メインの商業誌に載ってるものであれば、ある程度把握しています。

ー好きなものについて考えるのですごく楽しいと思いますが、店から外す本を選ぶのも大変ですよね。

新しいタイトルも入って来るので、棚調整するために普段から抜き本って言って棚からコミックを抜いていってスペースを作っていかなきゃいけないんですけど、その判断は難しいですね。こっちとこっちではどっちを抜こうとか、色々と考えなきゃいけないので。

ー自分的にはこっちを残したいけど・・・とかもあります?

そういうものもあります。でも主観だけではなくて、世間的に考えたらこっちだろうなっていうのももちろんありますからね。



ー色んな情報は日々雑誌を読むことで入って来るものですか?

雑誌だけだとそこまで多くないです。やっぱりWEBの情報サイトを見たりとか、ネットの掲示板の「このマンガ面白いぞ」みたいなのとか、そういった情報収集もしていかないと、なかなか追いつけないです。

ーいきなり人気が出るのもあったりしますしね。

それまではそんな注目されていなかったのが、アニメになっていきなり人気が出たとか話題になったとか、最近ちょこちょこあったりしますね。

面白さに絶対はない。そこにどこまでこだわるか

ー横塚さんは仕事していて楽しいとか、やりがいを感じる時ってどういう時ですか?

例えば自分が「これ面白いな」とか「これは注目されるだろうな」と思って導入したマンガがメディア化したりした時は、「ああ良かった」「考えた通りだった」って思うので面白いところですね。

ー例えば何かありました?

最近ではドラマ化した『ドロ刑』とかアニメ化する『五等分の花嫁』とか。『ドロ刑』はまだ2巻までしか出ていないので、ドラマ化するのが結構早かったなと思います。

ー自分ではあまり面白く感じなかったものがすごく人気が出る場合もあるし、感じ方は人それぞれですね。

合う合わないは絶対あると思うんですよね。そもそも興味がなければ、いくら流行ったとはいえ面白いと感じないと思います。現実的な話の方が好きとか恋愛系の話が好きとか好みもあって、万人が全員好きっていうのは、マンガに限らずたぶんないと思いますね。

ー横塚さんの中で面白いマンガとそうでないマンガって、何か基準があるんですか?

なかなか難しいんですけど、主人公が魅力的かどうか、ストーリーに入り込めたり流れがいいかどうか、とかですね。何か流れが悪いなとか、このキャラクターに共感できないなっていうところがあると、ちょっと引っかかっちゃいます。

ー世間的に人気があるけど横塚さん的に「何でこんなに人気があるんだろう」って感じるものはありますか?

そこまではないですね。何でこれメディア化するんだろうっていうのは確かにあったりするんですけど、「面白くないのに」っていうものはほとんどないです。それなりの面白さや人気があるものがメディア化してると思いますね。

ーまだ続くのか、みたいなのはあったりします?

本当に終わるのかな?っていうものは結構あります。それこそ『ワンピース』はいつ終わるんだって感じですし、『ベルセルク』とか。『ハンター×ハンター』とかもそうですけど。ちゃんと終わるのかなっていうタイトルはあります(笑)

ーそうですね(笑)。横塚さんが仕事をするうえで大事にしてることは何かありますか?

やっぱり「こだわる」ってところですね。業者さんもリスト化して「これ人気ですよ」ってランクをつけてくれるので、その通りにコミックを導入してもいいわけです。けれどそれを自分なりにこうじゃないかってどこまで深堀りして考えて、選定していくか。どっちが正解っていうのはなくて、自分がどこまで考えるかってだけのことにはなってしまうんですけど、、、。そこをこだわるかこだわらないかっていうのがある意味仕事になってるというか。自分としてはそこはこだわらなきゃいけないんじゃないかと思ってやっています。

ーじゃうちの店舗で置いているマンガは独自性が出せている?

新しいタイトルや、メジャーなメディア化したりしてるものはそんなに差はないと思うんですけど、ちょっと古いタイプとか、そこまで有名じゃないけど面白いタイトルとかをどこまで残すのかですね。どれを抜くか抜かないかもこちらで決めているので、差別化していると思っています。結果は見えないので難しいんですけど。

業者さんにも聞いたことがあるんですけど、競合店では各店長がコミックの選定をしているところも結構あるみたいです。そうすると店長のマンガに対する知識の差で変わってくる。「とりあえずこれは終わってるからいいや」って抜いちゃう店長もいれば、「これは人気あるからこっちにしよう」って考える店長もいて。そう考えるとその辺で差別化できてると思います。

そもそも他のところでマンガ担当がいるのかも微妙なところだと思います。発注も店長に任せれば本部で管理する必要はないですしね。

日本のマンガ文化を世界に発信したい

ーソーエキサイトという会社については、どんな会社だと感じていますか?

新卒で入社して、アイデアリンク→ベンチャーバンク→ソーエキサイトと経ているんですけど、社長まで通じて風通しがいい会社だと思いますね。今は「ソーエキサイトってこういう会社だよね」っていうのがまだなくてごった煮の状態かもしれないけど、逆に言うとそれだけ色んな可能性がある会社なのかな、と。

ー将来の夢はありますか?

これはちょっと大きな話になっちゃうんですけど、マンガは日本が世界に誇る文化だと思うので「マンガってこんなに面白いよ」とか「こんなに色んなマンガがあるんだよ」っていうのを紹介していきたいですね。この文化を広げられる役割にちょっとでも携われたり貢献できたら嬉しいですし、今後もやっていきたいと思っています。

ー今後やってみたい新しい事業とかありますか?

事業って言えるほどのものじゃないかもしれないですけど、せっかくこういうマンガの情報収集をしたり、実際に店を持っていたりするので、情報サイトみたいな形で情報発信して、お金を得られるようなことができたらいいなとは思っています。他にこれだけ色んなマンガに触れる業種って書店くらいかなと思っていて、編集者とかだったら色んなマンガを読んでたりはするんですけど、とはいえ自分の出版社の中での話にはなると思うので。全般的に見るっていうのはなかなかないですし。

ーマンガソムリエがいるマンガ喫茶みたいなのはあったりしますよね。

それもやれればいいなと。店舗の中にはマンガが好きで働いているスタッフさんもいると思うので、そういう方をソムリエみたいに活かせられれば面白いと思います。人で差別化するっていうのは、他社が真似しようと思ってもなかなかできないものだと思うので。物を置きましたっていうのは、言ってしまえばお金を出せばできちゃうことだったりするんですけど、人っていうのはなかなか「じゃあ真似しよう」ってすぐできるものではないと思うので。そういったこともできればいいなって構想はしてますね。

ー今婚活パーティーとかもマンガ・アニメ好き限定みたいなのあったりしますからね。

並木橋のとこにトリガーっていう、堀江貴文さんとかが関わってるマンガ喫茶的な場所があるんです。お酒も飲めたりするサロンで、最初の3巻しかマンガは置きませんよっていうお店で。そこでマンガと出会ってもらって、続きを読みたければ買ってね、っていう体でやってます。あとは色んなマンガ家さんを呼んで座談会開いたりとか。そこは堀江さんとかが関わってたりするので、人脈ありきでってとこもあると思うんですけど、そういうことやっていたりするお店もありますね。

ー会社として出版事業とかやって欲しいですね。マンガ家を輩出するみたいな。

確かに・・・今だと店舗数がまだまだ少ないので難しいですけど、でも「お店に置けますよ」とかっていうのも1つ面白いのかな。

ーそれこそ、この前読んでたんですけど、アイドルとファンの交流を描いたようなやつで、口コミで広がって、、ああ、ミリオンドールだ。比較的マイナーなサイトで描いてたら、そこから人気が出てアニメ化した。

ああ、赤松健さんとかが関わってるサイトですね。

ーメジャーなプラットフォームじゃなくても、そこからアニメ化までいったっていうのもあるから、何かそういうのができたらいいなと。

そうですね、今だと結構ありますね。pixivで書いてとか。twitterで公開していってとか、あるはありますね。

ーベンチャーバンクで映画に協賛してたりするので、そういうのをやって欲しいですね。

そうですね。この間映画プロジェクトの方が来られて話をして、「まだ新し目で面白いタイトルないですかね」とかって話をしました。版権がまだ取られてないかとか。「調べておきたいからいいネタあったらください」って。

ーアニメで話題になるとすごいですからね。『この世界の片隅に』とか。

あれはあそこまで人気というか話題になるとは思わなかったです。もともとコアな人気があったとは思うんですけどね。

ーちなみに、20~30代くらいで転職する人にお薦めのマンガは何かありますか?

仕事に燃えてるものだったら『編集王』とか『重版出来』とか、職業マンガみたいなものは結構ありますね。『編集王』は結構好きで、もともとボクサーだった主人公が編集者っていう違う道でやりがいを見つけてそこで熱くやっていく、みたいな話なんですけど面白いです。あとは『ドラゴン桜』とか描いてる三田紀房さんの『銀のアンカー』『エンゼルバンク』とか。現実的な部分があって参考になると思います。ある意味逆に転職を踏みとどまる可能性っていうのもありますけど。こんな世間厳しいんだ、みたいな(笑)

ー全然関係ない話なんですが、前に教えてもらった、『さくらの唄』が好きって言ったらこれがいいんじゃないですか? っていうの何でしたっけ?

『惡の華』ですね。

ーあれ面白かったですね。綾波レイみたいなキャラクターが出てきて。

そうですね(笑)。『さくらの唄』に比べるとハードさは足りないかもしれないですけど。押見修造さんがちょっと人間を深堀するみたいなマンガが結構あるのでお薦めかなと。

ー他に最近読んでて、『高木さん』が面白かったですね。ニヤニヤしてしまう。

あれは完全にそういう目的の、とにかくにやにやするマンガ(笑)。

ーあとあれですね。欅坂の子が主演で映画でやってた小説家になる方法。

『響』ですね。あれも好きですね。

ー小説家になるハウツーマンガかな? って思ったらすごいなって。

小説家になる才能がなかったらどうなっちゃうんだろうという(笑)。

ー最後にお薦めのマンガがあれば教えてください。

『惡の華』が好きであれば、押見修造さんの『血の轍』とか面白いかもしれないです。毒親が子供を縛り付けるような話で、最初の方はあまり物語が動かないので面白いんだか面白くないんだか分からないんですけど、だんだん話が動いてきているので面白いと思います。

ーじゃネットカフェに行って(笑)

『血の轍』だったら入ってると思います!

ー是非読んでみたいと思います。横塚さん、お忙しいところありがとうございました。

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