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INTERVIEW 04
―新興国で、20代日本人が誰も経験したことがないであろうビジネスに挑む―
青木 文 (ナイジェリア統括)
・ITベンチャーで法人営業
・アフリカ向け越境ECでWebマーケティング
・Afri-incでナイジェリア支社立ち上げ・運営・統括
【Afri-incとの出会いは、社長からのTwitterのリプライ】
みなさん、はじめまして。ナイジェリア支社を担当している青木です。
まずは簡単に私の経歴を紹介します。
私は新卒でITベンチャー企業に入社し、建設業界のIT化に向けたWebサービスの法人営業を行っていました。その後、元々興味のあったアフリカ地域に関わる仕事もしたいと思い、アフリカ向け中古車の越境ECのWebマーケティングをしていました。当時から出張ベースでアフリカに行くことはありましたが、もっと現地でがっつり働きたいと思っていた私に、当時Twitterでリプライを飛ばしてきたのが、Afri-inc社長の永井です。それをきっかけに、Afri-incナイジェリア支社の立ち上げと統括を任されることになり、今に至ります 。
【まだ開拓されていないポテンシャルある市場で働きたかった】
こういう仕事をしていると、よく「アフリカ」には元々興味があったのかと聞かれるのですが、私の場合は、アフリカに限らず、広く海外、特に発展しきっていない国に関心がありました。幼稚園の頃から両親がブルキナファソに募金をしていたこともあり、高校生までは貧困問題の解決を志していました。でも大学に入っていろいろなことを学ぶうちに、「貧困解決」よりも、日本人にまだ開拓されておらず、かつ今後成長する市場でビジネスをする方がもっと面白そうだと思うようになったんですね。
実際に、大学時代は、モンゴルで日系コンサルのインターンをしたり、ミャンマーやラオス、ナイジェリアやルワンダでもインターンやボランティアをしたりしていました。実は私、元々モンゴルで働いてみたかったんです。でもインターンをしてみて、「儲からなさそう」と思ってしまったんですよね(笑)。人口300万人しかいないし、真冬なんて-40℃で寒くて死にそうだし…。 その後のミャンマーも、2014年当時、すでに日本人がたくさんいて、私でなくて良いなと思ったんです。そんな経緯で、最後にアフリカに行き着きました。まずはアフリカで一番のポテンシャルと言われていたナイジェリアに、その後東アフリカで注目されていたルワンダに行き、ナイジェリアがすごく気に入りました。当時から、「ビジネスをしにまたナイジェリアに行きたい。」と熱望していたので、学生時代の経験が今の職に繋がってよかったと思っています。
【ナイジェリアで事業立ち上げの0→1、グロースの1→10に取り組む面白さと難しさ】
2018年8月にスーツケースだけでナイジェリアに乗り込みました。住む場所、オフィスは未定。メンバーも顧客もいません。かつ、直近でナイジェリアで立ち上げを行った日本人もいなかったため、あまり情報がなく、とりあえず突撃を繰り返していました。そして、行政プロセス上の問題が噴出し、斜め上の予想外なことがおこるナイジェリアのトリッキーさに泣かされてばかりでした。
そこから約1年でメンバーは10人に増え、顧客も20社を超え、アクティブユーザー数ではケニア支社の倍のスピード感で成長しています。今はグロースのフェーズに入り、組織のマネジメントや数字の積み上げが重要になってきました。組織の成長とともに自分の仕事も変わるのは面白いところです。しかし、前例も自分の経験も不足している中、限られたリソースでスピード感をもって最大の成果を発揮するというのは、難しさを感じることも多く、猛省の日々です。
一点だけ自信をもって言えるとすれば、ナイジェリアで事業立ち上げの0→1、グロースの1→10という、今の20代日本人が誰もやったことがないであろうこの経験は、自分にとって大きな収穫だと思います。
【ナイジェリアでビジネスをする理想と現実】
そもそも私が貧困解決云々よりビジネスをやりたいのは、外野の人間が、貧困層に対して「手を差し伸べる」と口を出すと、彼らは困ったときに、「結局誰かが助けてくれる」と思い始め、何かうまくいかなことがあると人のせいにするという経験をしたことがあったからです。「結局何も変わらないじゃん。」と当時残念に思ったので、同じ目的をもつ人と、「お互いに頑張ろう」と対等でいられる「健全な」ビジネスをやりたいと考えました。
しかし、今のナイジェリアでも、「お互いに頑張ろう」が通じていないなと思うことはあります。「成長したい」と言ってAfri-incに入社してきたはずなのに、成果を出す前から「給与を上げろ。」と要求してくるスタッフもいます。他にも、毎日遅刻していたスタッフに改善を求めたところ、「自分は悪くない。」と感情的になって大騒ぎされたこともありました。正直、「なぜ、『成果を出さないと給与は増えないよ。』、『ちゃんと時間通りにオフィスに来ようね。』などと、日本では当たり前のことを伝えないといけないのか。」と憤ることもあります。しかも、フィードバックをしてもプライドばかり無駄に高くて、自分の非を認めないまま何も変化がないと、私が一方的に小言を言っているようで虚しさも感じます。
その一方で、うちの現地スタッフは、ラゴスのような人口爆発都市での競争に生き残って職を手に入れたメンバーなので、元々能力の高い人は多く、そうしたメンバーに助けられています。また、彼らに彼ら自身の能力を発揮できる仕事をしてもらえているときは、私も嬉しく思います。
【ナイジェリアはカオスだけど魅力的な国】
以上のように色々と大変なことはありますが、私はナイジェリアが大好きです。前回の本田の記事の通り、確かに渋滞は酷いです。時速300mで全然進まないことなんてよくありますし、日本人もケニアに比べたら全然いないですし、住みにくさはあると思います。
ただ、アフリカほど好奇心が満たされるコンテンツもないと思います。そして、その中でもナイジェリアは至高です。ナイジェリアは、人口2億人を抱え、多種多用な民族・言語が入り混じり、一度は植民地化されたものの色濃くナイジェリア文化が残っている奥深い国です。都市のラゴスでは、ブロックチェーンやドローンなど、日本でもまだ浸透していない技術を利用したサービスがある一方、地方では、教科書でしか見たことがない半世紀以上前のような光景が広がっています。(ラゴスでさえ、日本の戦後のような風景を見かけることがありますが。)このような、過去と未来が混同しているような世界が最高に面白いんです。そして、ナイジェリアは、限りない可能性を感じさせる未来の発展の波に乗り、一緒に成長できるような仕事ができる国だと思います。
弊社サービスに対するお客様の反応も総じて良いです。現在ナイジェリアでは約20社が導入してくれていますが、「良いサービスだ」と言ってくれますし、厳しいフィードバックもいただいています。ただ、ケニアとナイジェリアでは国民性も環境も違うので、営業方法は変える必要があると考えています 。例えば、ナイジェリアの諸民族のうち、ヨルバ族という民族は、言われた指示をきっちりこなすまじめな人が多いという傾向があり、ナイジェリア人マネージャーも、「営業マンはよく働いているからシステムで管理する必要はない」と言うこともあります。なので、弊社のサービスを訴求する際は、「営業マンをトラッキングしてさぼりを防止するサービスです。」というより、「営業マンのEffortを適切に評価できるようになります。」などと言い方を変えた方が響く印象があります。また、弊社の営業体制に関しても、現状二人一組で営業に行っているのですが、渋滞が酷いと1日に1件営業に行って終わることもあり非効率なので、インサイドセールスとフィールドセールスと役割分担を明確にして、一件でも多く営業に行けるように、組織構成を変えていきたいと考えています。
【ナイジェリア好きな人、大歓迎】
最後に、どんな人と働きたいかという点に関しては、新興国でのビジネスに挑戦したいと思っている、そして、変化する環境に抵抗がない人ですかね。ナイジェリアには魅力的なマーケットがたくさんあって、若くしてチャレンジできるフィールドがたくさんあります。前述の通り、ここでは日本と違って日々予測不可能なことが起こって、むかつくことも多々あります(笑)。でも、そういうところも「しょうがないな」って流せたり、むしろ楽しめたりできるような人が向いていると思います。
ぜひ、まだまだ開拓余地のあるナイジェリアを一緒に盛り上げていきましょう!
次回第五弾は、ケニアのJonasです。お楽しみに!
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