株式会社誠勝 代表取締役の山本大視です。今回は、私たちが日々取り組んでいるデジタルアーカイブの世界について、今まさに起きている大きな変化と、私自身の想いをお伝えしたいと思います。
「構造化資料」と「非構造化資料」——二つの世界
資料には大きく分けて「構造化資料」と「非構造化資料」の2種類があります。
構造化資料とは、見積書や請求書のように、フォーマットはバラバラであっても「その資料の中にどんな情報が入っているか」があらかじめわかっている資料のことです。一方、非構造化資料とは、雑誌・議事録・メモ書き・会議用のプレゼン資料など、どのページに何が書かれているかが決まっていない資料を指します。
これらの資料はもともと、紙のアナログ資料として長く存在してきました。
コロナ禍が始まると、世の中のDX化はまず構造化資料から動き出しました。内容があらかじめ把握しやすいため、システムやパソコンでの処理に適していたからです。リモートワークの急速な普及も相まって、見積書・請求書といった構造化資料の電子化は一気に加速しました。
私たちもこの流れの中でアナログ資料の電子化を数多く担いましたが、当時の需要の大半はやはり構造化資料に集中していました。
コロナが終息してひと段落すると、次のフェーズとして非構造化資料のDX化が新たな課題として浮かび上がってきました。しかし、この領域の電子化はなかなか進みませんでした。
私たちも多くの相談を受けてきましたが、貴重な資料の電子化について話を聞くと、百人が百人「それはすごく大事なことだ」と言ってくれます。しかし、いざお金を出して電子化したとしても、必ず次に聞かれるのは「で、それは何のためになるの?」ということでした。
保存という目的の大切さは皆さん理解しています。しかし、費用をかけて電子化した際の費用対効果を考えると、プロジェクトを動かすだけの賛同はなかなか得られない。そのため、非構造化資料の電子化はあくまで保存目的に留まり、「年度内の予算が余ったから」といった動きが長く続いてきたのが実情です。
AIが変えた「非構造化資料」の未来
そこに現れたのが、AIという革新的な技術でした。AIは、これまで人間にしか理解できなかった非構造化資料——手書きの文書、複雑なレイアウトの雑誌、写真や図版が混在する報告書——を、まるで人間のように「読み」「理解する」ことを可能にしました。
これは画期的なことです。AIにとって、構造化資料も非構造化資料も、もはや区別はありません。請求書のような定型フォーマットであっても、手書きの議事録であっても、AIは同じように内容を理解し、情報を抽出できます。つまり、これまで「保存はできるが活用は難しい」とされてきた非構造化資料が、構造化資料と同じ土俵に立てるようになったのです。
さらに大きな可能性があります。多種多様な紙の資料——社内報、議事録、技術文書、写真、手紙——をデジタル化し、AIに読み込ませることで、それらの情報が互いにつながり、一つの統合された知識ネットワークとして機能し始めるのです。これは企業経営にも、組織の歴史を紐解くことにも、あるいはまったく新しい用途にも活用できる、大きな可能性を秘めています。
私たち誠勝は、創業以来、非構造化資料のデジタルアーカイブに取り組んできました。書籍、雑誌、社史、写真、手書き資料——構造化されていないからこそ扱いが難しく、しかしそこにこそ本当に価値のある情報が眠っている。その信念のもと、一点一点丁寧にデジタル化する仕事を続けてきました。
そして今、AIの登場によって、私たちが長年取り組んできた「活用」という課題がようやく解決されようとしています。デジタルアーカイブ業界は今、まさに歴史的な転換点に立っています。「保存のためのデジタル化」から「活用のためのデジタル化」へ——この大きなパラダイムシフトが、いま目の前で起きているのです。
いま、RAG(検索拡張生成)をはじめとするAI活用の仕組みが急速に広がっています。しかし、AIがどれだけ高性能になっても、その基盤となるデータの品質が低ければ、正確な回答は得られません。AIに正しく情報を理解させるためには、高品質でAIが読み取れる形式のデータを作ることが不可欠です。
誠勝は、まさにこの「高品質なデータを作る」ことに長年こだわり続けてきた会社です。スキャニングの精度、画像補正の丁寧さ、テキスト化の正確性——これらは一見地味な作業ですが、AIが正しく機能するための土台を作る、極めて重要な仕事です。AI時代において、私たちの仕事の価値はむしろ高まっていると確信しています。
私たちが目指しているのは、最高品質のデータを「作る」ことから「活かす」ことまでを一貫して提供できる会社になることです。紙の資料をデジタル化し、AIが読み取れる形に整え、そしてそのデータをRAGなどの仕組みを通じて実際に活用できるようにする。このエンドツーエンドのソリューションを、最高水準の品質で提供していきたいと考えています。
デジタルアーカイブという仕事は、歴史と未来をつなぐ仕事です。そしていま、AIという強力なパートナーを得て、その可能性はかつてないほど広がっています。この歴史的な転換点を、一緒に歩んでくれる仲間を、私たちは探しています。