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What we do

「さら就労塾@ぽれぽれ」は就労移行支援事業所です。 就労移行支援事業所って何?という方がほとんどでしょう。福祉業界以外の方は聞いたことのない言葉でしょうから概要からご説明します。 就労移行支援事業所とは、障害者総合支援法にもとづいた障害福祉サービスのひとつで、障がいのある方の企業就労を支援しています。 2年間の利用期限内に就労に向けて必要な訓練を行い、就労支援と就労後の定着支援を行います。 その役割は、「企業の求める職業能力と障害のある方の職業能力のギャップを埋めて就労の道を開く」ことです。   「さら就労塾@ぽれぽれ」は2007年に世田谷区に開設、その後、池袋(09年)、秋葉原(11年)、横浜(15年)にも事業所を開設し、現在計4ヶ所を運営しています。 事業所名につく「ぽれぽれ」とは、スワヒリ語で「のんびり・あせらず」という意味です。 通称「さらぽれ」と呼ばれています。 事業所には定員があって、各事業所20名ずつ。身体・知的・精神の三障がいの方を対象としていますが、精神の方が90%以上を占めています。 利用者のうち、就職の経験がある方とない方の割合は半々です。 普通に会社に勤めていてメンタルの調子を崩し、再就職がうまくいかず利用を決めた方、 職場の人間関係がうまくいかず短期のアルバイトを繰り返して発達障害の診断を受けた方、 就職活動で失敗し、しばらく家庭で過ごしたあとメンタル不調の診断を受けた方、 フリースクールを卒業し、職業訓練のために利用する方など、さまざまな履歴を持った方が利用を希望されます。 障害者手帳を持っていない方もいらっしゃいます。 このように百人いれば百様の困難をもった方たちの、企業就労の道をともに開くのが私たちの仕事です。 「きちんとした職業能力を身につけて、自信をもって就労したい、就労の可能性を広げ就労継続の力を獲得したい」 障がいがあろうとなかろうと、誰もがこのように考えるでしょう。 そのために企業で必要とされる業務能力とチームワーク、セルフコントロールを身につける訓練を指導するのが私たちの仕事です。 「障がいがあっても、自分で選択して切り開いた人生をおくりたい、働くことで社会の一員として生きていきたい」 その人のもつ可能性を見つけて、磨いていくのが私たちの仕事です。

Why we do

「なぜやるのか」という問いには、それがNPOの存在理由だからとしか答えられません。 さらぽれの運営法人さらプロジェクトは、情報弱者の支援を目的に立ち上げたNPO法人です。NPOは人々の生活の改善のために、自分たちが問題と考える社会の課題を行動によって解決していく市民活動です。 さらプロジェクトのミッションは「自立しながら支え合い地域で生活をしていく力を養う」であり、そのための事業を営んでいくのが私たちの存在理由です。 2001年の設立当初は、地域の方にIT講習会などを通じて、パソコンやインターネット利用の教育活動をおこなっていましたが、やがて障がいのある方たちの職業訓練に取り組みました。 そこで、「働きたいけどどうしたらいいかわからない」と話す、精神疾患からの回復途上の若者たちに出会い、その実現のためにしっかりした事業体制をつくりたいと考え、さらぽれを立ち上げました。 いい若者が一日することもなくファミレスでタバコを吸って時間をつぶしている――なんてもったいないんだ、と思いました。 たった一度の人生を、精神疾患のために世の中からはじかれて生きていくしかない。 健康状態は以前のようには戻らない。 しかし、働くことで社会の中で生きて納得できる人生としたい。 これを形にするしかない。 障がい者が働く力を身につけ、企業の側で受け入れる条件づくりをすればそれは可能です。 しっかりした訓練の場をつくるために、行政との連携のもとで事業を始めました。 2015年の今、民間企業での精神障がい者の就労者数は27,000人で、5年前の2.7倍です。10年前は精神障がい者が働くのは無理だという声がほとんどでした。 世の中は確実に変わっていっています。 さらぽれではもうひとつ取り組んでいることがあります。 就労に困難を抱えた若者の支援です。 高校・大学卒業時の就活でつまずいて、就労経験がなかったり、不登校や引きこもりの期間が長くて、働くために必要なスキルがなく、働く自信が持てない若者たちへの職業訓練を行っています。 朝が来るたび夕方まで何をやってすごすか、途方に暮れる。 何をやりたいか見つからない。 こういう若者たちに、より早い段階から支援ができれば、精神的にも経済的にも困窮することを防ぐことができると考え、今年度から取り組んでいます。 さらプロジェクトの1事業部であるさらぽれのビジョンは「困難があっても個々の能力を生かし、自らの可能性に挑戦しつつ働いている社会」です。 働くことは単に生活の糧を得る手段ではありません。私たちがどう社会と関わりを持って生きていくのか根源的なありかたです。 その人がその能力を最大限発揮して、生きていける世の中をつくりたいと思っています。

How we do

職場での人間関係の原則を深めるためのテキスト
就職後の夕食会の風景です
さらぽれでは、見学や体験ののち、利用を希望される方にはまず、週4日の基礎コースか、体力などを考えて週2~3日短時間のプレ基礎から始めるか、希望をお聞きします。 ◇基礎コース 期間は4ヶ月で、1クラス5~7名に指導員がパソコン担当、ビジネス基礎担当とそれぞれ一人つきます。指導員は4ヶ月間、訓練生の変化と成長を見ていきます。 週4日のうち3日間がパソコンの基礎、残り1日がビジネス基礎研修となっています。 企業ではパソコンが仕事の道具として普通に導入されていますので、パソコンを使った業務能力の育成のため、3ヶ月間で基本を習得します。 ・タイピング訓練 ・ネットワークを使った業務 ・ビジネスメールの基本 ・Word、PowerPoint、Excelなどのビジネスアプリケーション が基本カリキュラムとなっています。 もちろん全員がパソコン初心者ということはなく、進捗レベルはまちまちです。Excelでピボットテーブルを使ったり、マクロ処理まで習得する方もいます。指導員は課題を用意して、全体の進捗をコントロールしていきます。 ◇基礎コース/ビジネス基礎研修 パソコンの訓練と並行して週に一度、ビジネス基礎研修を行います。 「ビジネス基礎研修」のカリキュラム(全12回)は、次の4つの要素で構成されています。 1.働くうえでの「考え方」 2.仕事の仕方 3.職場で求められるビジネスマナー 4.自己分析 「考え方」では、「企業」「組織」「職場の人間関係」などのテーマに沿った事例についてグループで互いに意見を出し合い、それをもとにファシリテーターとともに考えを掘り下げていきます。 「仕事の仕方」では、社会人に必要な基本能力として、「聞く」「読む」「書く」「話す」力をケーススタディとロールプレイングを中心に学んでいきます。 「ビジネスマナー」は身だしなみや言葉づかいについての練習です。言い慣れない言葉や普段意識しない姿勢・行動も、お互いにチェックします。 電話応対も取り次ぎや伝言などいくつかのパターンを繰り返し練習します。 ◇基礎コース/グループ学習 基礎コースの最後の1ヶ月間のグループ学習は、チームワークの習得です。取り組むテーマを自分たちで決め、リーダーを決め、実行内容を洗い出してスケジュールと役割分担をして計画を作り、進捗チェックをしながら進めていきます。 過去の事例では機関誌の発行、企業見学会や成果発表会の企画・実行、避難訓練の実施・運営などのテーマが出されました。 なかなかスムーズには進まない学習を、指導員はチームの紆余曲折をじっと見守りながら、時にアドバイスし、時に叱咤しながらゴールを目指します。 ◇就職準備コース 4ヶ月の基礎コースを終了すると「就職準備コース」となります。就職準備では、企業実習に出たり、面接を受けたり就労活動を行いながらの訓練となります。 就職準備コースの目標は「任せて安心」の業務能力の習得です。 ここでは2~4人の複数の指導員が指導します。指導員は上司役として口頭やメールで指示を出し、訓練生はそれに従って業務に取組みます。基礎コースのビジネス基礎研修で学んだ「メモをとる」「復唱して確認する」「進捗を報告する」「不明な点は相談する」「終了報告をする」といったビジネス・コミュニケーションを具体的な仕事を通して実践します。 訓練内容は、実際のさらぽれの業務を分担して次のような業務が担当として割り振られています。 ・職員および利用登録者のタイムカード管理 ・仕出し弁当の注文および弁当代金の管理業務 ・業務マニュアルの作成 ・消耗品の在庫確認およびオフィス用品のWeb注文 ・電話応対 などです。 これらの定常業務に加え、一般の職場と同じように臨時の業務の指示がでます。コピーやスキャニング、メール便の手配などの依頼です。 就職準備コースでは実践的な力を身につけるとともに、具体的な訓練を通じて、自分の仕事における傾向や特性に気づいて、対応策を見つける時期でもあります。 ◇就労支援 就労支援も指導員の役割です。 就労活動は、ハローワークに求職登録をし、求人情報を検索することから始まります。また、障害者就労支援センターやハローワークから送られてきた求人情報を紹介したり、合同就職面接会やミニ就職面接会など各種の面接会などチャレンジの機会を作ります。 就労活動と並行して、履歴書の作成や面接練習も繰り返し行います。 また、就労後も継続して働くことができるように、職場を訪問し本人や担当者と面談、問題がおきれば解決の方向をともに模索します。