『WHY ARE YOU HERE?』は事業承継からスタートしたセレクトショップ
―『WHY ARE YOU HERE?』というのは、どのようなセレクトショップなのですか?この記事を読んでくださるみなさまへ、まずは紹介いただきたいです!
峠田:『WHY ARE YOU HERE?』は大阪では当時から圧倒的にNo.1のセレクトショップだったんです。元々は、僕の15年来のお客様が経営されていたショップで、その方が運営の継続について考えていた時期と、三喜が次の事業展開を考えていた時期が丁度重なっていたんですね。運よく、オーナー様と交渉する機会をいただくことができ、双方の条件も合致したので事業承継をすることになった、という背景があります。
阿部:当時は心斎橋の御堂筋の奥まった場所にある1店舗のみ運営されていました。商材はラグジュアリーもストリートも取り扱っていましたね。「知る人ぞ知る」みたいな、お洒落な人は知っているセレクトショップ、といった感じで。
松尾:実はうちの母親も昔通っていたことがあったみたいで(笑)母も洋服が好きで、やっぱり当時からお洒落な人なら知っている、というお店だったそうです。
―事業承継して、三喜商事で運営をするということで、なにか変わったことや、試行錯誤しているなどはありますか?
峠田:三喜としての「WHY ARE YOU HERE?」のコンセプトを設計している最中ですね。まだ創業時のイメージが続いているところもあるので。
阿部:引き継いだお店を三喜商事らしく運営するために何が必要かというと、コンセプトが必要で。コンセプト設計は目下の課題だと思っています。
峠田:コンセプトの設計は今、部署全体の最重要課題で、一年かけてもう一度作りあげていくところなんです。「ラグジュアリー」とか「モード」とかはあると思うんですけど、会社として、全員が理解して共有できるようなコンセプトを作る必要があって。
阿部:会社としてショップのロゴやアイコンを作るとなっても、色んな意見が出ている状況ですね。
松尾:「WHY ARE YOU HERE?」は2店舗あって、扱っている商材も異なるので、それぞれ独自のカラーがある。それをどうやって統一感を打ち出していくか模索していますが、本当に難しいです。
―両方の店舗に伺わせていただきましたけど、本店はカジュアルというかストリート系で、御堂筋店のほうはラグジュアリー・ハイエンドといった感じですよね!
峠田:そうです、そうです。松尾さんも言うように、それぞれ独自のカラーを持っているので、一つにまとめるのが難しくて。本当に日々、どうあるべきなのか悩み抜いていますよ。
Main store (本店) Midosuji store (御堂筋店)
セレクトショップの重要性とオープンまでの道のり
―三喜商事が運営に携わるようになって、どのくらい経つのですか?
阿部:実際交渉をし始めたのは2019年あたりでしたっけ?
峠田:そうです。お互い初めてのことだからすごく慎重で。で、そうこうしているうちに新型コロナが広まってしまい、後半戦は大変でした・・・。2020年8月にオープンしたんですけど、準備の大詰めが2020年5月頃っていう。
―その頃って、新型コロナで世の中全体が混乱していて、百貨店も店舗も休業していましたよね?
峠田:そんな時期でしたけど、オープンに向けてとにかく必死でした。
阿部:まだ松尾さんがいなくて、峠田さんと2人だったので、子供を知人に預けてあちこちのミーティングに参加してました。もうやるしかないと。
―それぐらい「WHY ARE YOU HERE?」は魅力的なお店だったと。
峠田: 冒頭にも言いましたけど「WHY ARE YOU HERE?」は大阪では当時から圧倒的にNo.1のお店だったことと、取り扱っている商品が個人的にも好きで。三喜商事にもラグジュアリーブランドを取り扱うセレクトショップは以前からずっと必要だと思っていたので、現社長の熊谷さんとも協議して、GOサインを取り付け、そこから交渉が始まりました。当時のオーナーが、今まで夢だった御堂筋で店舗を構えられるなら検討する、と言ってくれて。で、物件探しから始まって、紆余曲折ありながらも、名だたるラグジュアリーブランドも狙っていた今の御堂筋の店舗を勝ち取りました。
―なぜ、そこまで「WHY ARE YOU HERE?」が必要だったんでしょうか?
峠田:まず、この20年間で競合他社は小売り事業にも積極的になり、それぞれが立ち位置を確立している中で、三喜も68年の歴史を活かしながら、もっと成長する必要があると思っているんです。
僕らの今までの卸事業だけでは、今後、ハイエンドのブランドに直接アプローチしても実績を作れないと常々思っていました。先のことを考えた時にインポーターとしてだけで生き残っていくのは難しい時代になる、と危機感をずっと持って仕事をしていましたね。
当時は、リテール事業は卸に比べ、会社としてそこまで注力していなかった。ブランド側からしても三喜商事はどういった会社なのか、利益を出せる会社なのか、実態を把握できないわけで。素性の判らない人間がいきなりやってきて、僕たちに任せてください!といわれても、ブランド側は実績の不明な会社に簡単に自分の大切なブランドを渡さないですよね。だから、ハイエンドのブランドを取り込んでいく必要はあるけれど、最初のスタートをどういう形にするか悩んでいたんです。そんな時に、今回のお話があって、交渉にたどり着きました。オーナー様は、私が15年間担当していたお客様であったことも大きいですし、すでに必要な条件は揃っていましたから。
阿部:御堂筋のあのエリアが大阪では一等地で、あの場所でかっこいいラインナップで、ワンラックをそのブランドで埋めて、実績を作って、ブランド側に認知してほしいっていう目的もありますね。そこからまた、次の一手を生み出すためにも。
―そういったブランドを取り扱っている、という説得力を持たせたいというところですよね。後は、取り扱うだけでなく、三喜商事として利益を生み出して、お客様へ直接アプローチしていきたいからこそ、セレクトショップが必要ということなんですね。
運営に必要なのは「本当にやりたいこと」を実現したいという、圧倒的な熱量
―実際にセレクトショップ事業がスタートして、売上を上げるまで様々な業務が並走していると思うのですが皆さんのやりがいは?
松尾:今自分が携わっている仕事は、モノがどういう風に売れるのか、その流れを全般的に知ることができて、とても勉強になりますね。
阿部:今度はどんな商材を取り扱おうか考えているとき・・、ですかね。絵画・アートも良いなあ、とか(笑)。セレクトショップは可能性が無限大にあるので、やりがいでもあり魅力でもあります。
峠田:お客様と直接の接点を持てるところが最大のやりがいですね。今のトレンドやニーズを最短で知れるというか。だから、一つのアイディアですけど、お店という箱で、お客様のニーズがあるなら、車のセレクトショップをやってもいいと思いますし。実際は色々と乗り越えるべきプロセスがありますが、でも、それくらいインパクトあることもやれるわけで。すごく突拍子なことかもですけど、それを打ち出し続けていくと「あ、【WHY ARE YOU HERE?】がまた面白いPOPUPやってるぞ」って自然と知られるようになって、それが最終的に三喜商事としての立ち位置を確立できることになりますしね。
―単にモノを提供するだけではなく、お客様のニーズを確実につかみながら、三喜商事が目指す、空間づくりだったり、非日常をどう作りだすか・・・という可能性をとっても感じます。
松尾:あと、私たちは「やらなきゃいけない」という使命感よりも、「自分たちでこれをやりたい!」という気持ちが強くて、その熱量が日々の業務でもやりがいにつながっていると思います。
峠田:自分たちが本当にやりたいことをやるのは、とにかく熱量が必要で。世界を相手にやっていくには生半可な熱量じゃ通用しないですから。発想のトライアンドエラーを繰り返して、少しでも新しいものを取り入れるためにずっと動いていますね。熱量でいえば、とあるブランドの交渉の時、普通にコンタクトを取ろうと思っても相手側の壁が高くてアポなんてとれないんですよね。で、こうなったら直接CEOと話すのが最短だと思い至って、それだけでロンドンに行きましたから(笑)。
松尾:いや、その話には本当に驚きました(笑)。
阿部:ロンドンで三角座りしてひとりで何時間も待っていたという(笑)。
峠田: 「まだCEOがオフィスから出てこない」とか、国際電話で阿部さんに実況中継して(笑)
結局6時間以上ずっと待っていましたね。
―ものすごくインパクトあるエピソードですね!圧倒的な熱量が原動力となって、突き動かされて、気づいたら飛行機に飛び乗ってしまうくらいの突破力というか、そこが、新しいビジネスを生む原動力に繋がっているんでしょうか?ブランド側からしたら、どれだけ自分のブランドを愛してくれているかを試されている、というか…。
峠田:そうですね、なので僕らは常にチャンスを見逃さないように、直接現地に訪問してコミュニケーションを取ることを大切にしています。やれることは、すべてやり尽くします。
阿部:ちなみに、そういったトライを繰り返した案件で、もう少しで実現するプロジェクトもあります!
―新しいプロジェクト!?私も楽しみに待っています!
チームマネジメントで大切にしていること
―これは峠田さんへの質問になりますが、マネジメントをする上で大切にしていることは。
峠田:とにかく「話すこと」ですね。仕事においてはコミュニケーションに一番時間をかけていますね。ショップでも常日頃何かしら問題があるので、ひとりひとりと向き合うことを大切にしています。
阿部:少し前に、ある企業の経営者交代の記事を見ました。その方はなぜ経営者に任命されたかというと、社員全員と向き合って話をする人だったから、なんだそうです。ひとりひとりと話をしてお互いの理解を深めることを大切にしていると書かれてあって。これを見た時、あ、峠田さんだな、って思いましたね(笑)
峠田:実際にはただ話しているだけだけど(笑)
阿部・松尾:そんなことないですよ(笑)!
阿部:話しやすいキャラクターなのか、色んな取引先からも峠田さんは慕われています(笑)!
―今のやり取りからも、お互いリスペクトしながら、フラットにコミュニケーションを取られていることが伝わってきます。
『WHY ARE YOU HERE?』の将来のビジョンと実現したいこと
―最後に、これから「WHY ARE YOU HERE?」のビジョン・実現したいことを教えていただけますか。
松尾:日本で一番のセレクトショップになることは勿論なんですけど、世界から見ても「日本のセレクトショップといえば【WHY ARE YOU HERE?】が一番」と思ってもらえるお店にしたいです。そのために必要なことは何かを皆で考えているところですね。
阿部:「行けば、必ずほしいものが見つかるカッコいいショップ」にしたいです。それはシーズンに関わらない商品でも良いと思いますし、このショップでしか買えない、っていうものをどんどん増やしていきたいと思っています。アパレル以外でも良いと思うものを探し始めているので。
峠田:お客様にとっての価値提供はもちろんなのですが、この業界で働く側からみても憧れられるショップにしたいですね。日本はまだ、百貨店や商業施設の力が強いですから。セレクトショップとしての地位を確立するためにもそうなりたいと思います。
―ファッションをベースにしながら、お客様とのコミュニケーションを大切に、ライフスタイル領域へ広がる着実なアプローチをされている軌跡を語っていただき、ありがとうございました。
<WHY ARE YOU HERE? 公式インスタグラム>
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