リザーブリンク入社1年目で地方へ移住した新入社員、製品企画セクション プロダクトデザインチームで働く29歳のフロントエンドエンジニア北條怜子。明るく人懐っこく、仕事にもコミュニケーションにも積極的で活発な彼女が山梨へ引っ越した理由とは?エンジニアという職業で、東京の会社に勤めながら地方に住む「新しい働きかた」を可能にした背景と変化について聞きました。
29歳、はじめての転職からコロナ禍時代へ
Q.学生時代はどんな勉強をしていたのですか?
幼少期はシンデレラに憧れてガラスのくつを作りたいと思っていたくらい、とにかく手を動かして作ることが大好きで、自然も大好きでした!大学は農学部で野菜の栽培について学んでいました。知れば知るほどより一層栽培の勉強が面白くなり、そのまま大学院に進学して、ミニトマトの栽培について研究していました。
Q.農学部からのエンジニア!全く想像がつきませんが、なぜエンジニアになったのですか?
学生時代には多くの農家の方々と関わる機会がありました。農家の方々の栽培技術や知識、知恵は素晴らしいものでした!さらに、Facebookで栽培について情報交換したり発信したりと、SNSをすごく活用していらっしゃることにも、その時初めて気付きました。農家の方々が何十年もかけて培ってきた技術や知識には到底かないません。でも「IT領域ならば、わたしにも力になれることがあるかもしれない。ITの力で技術をたくさん持った農家さんたちの繋がる機会が増えれば、農業がさらに変わっていくかもしれない!」と感じてITの仕事に興味を持ちました。
それから、大学、大学院と農学を続けてきていたので、新しいことにチャレンジしたい気持ちもありました。とは言え、「ITの仕事」というだけで何の知識もありません。そんな時、就活エージェントの方から「作ることが好きならエンジニアはどうですか?」と薦められて一社目の会社を受けました。エンジニアという職業でさえその時初めて知ったくらい、IT関係のバックグラウンドがないのは私だけでしたね(笑)。熱意が認められて入社することができました。
Q.なるほど、採用してくれた会社もすごいですね!リザーブリンクに転職した理由は?
最初の会社は9割がエンジニア、自分以外は情報系の学校出身で、私だけがタイピングに慣れるところから始まりました。仕事は、受託開発が中心でした。残業も多く、みんな仕事に没頭していて、とにかく一生懸命働きました。エンジニアの仕事は面白かったのですが、当時担当していた受託開発のお仕事はお客様の顔が見えづらくて、「もっと近くでお客様の声を聞きたい」と思って転職を考えるようになりました。実はリザーブリンク(以下、RL)の面接に一度落ちているんです。前職同様にバックエンドのエンジニア枠で受けたところ、技術が不足していることが理由で採用されませんでした。でもその時に面接をしてくださったのが情報管理チームの堀内さんで、第一印象がとても良かったのを覚えています。あとから聞いた話では私のことを「(人柄や熱意が)すごくいい印象だったからなにかしら繋がっておきたい」と思ってくださっていたみたいで、しばらくたった頃に今度は「フロントエンドエンジニアの枠でもう一度受けてみませんか?」というオファーをもらいました。初めて会った気がしない雰囲気の良さが記憶に刻まれていて、喜んですぐに面接に行きました。ママ社員が活躍していることも将来を考えた上での決め手のひとつでした。そうしてRLに就職して、現在は自社製品ChoiceRESERVEでお客様が使用する管理画面の仕組みなどを作っています。デザイナーさんが作った画面デザインをもとに、コードを書くポジションを担当しています。
Q.入社してみていかがでしたか?
面接時の印象どおりの雰囲気の良さでした!できるだけ早くみなさんと仲良くなろうと思って、日報にちょっとした日常のことや好きなこと、最近ハマっていることなどを添えていました。そうすると、すぐに返事をくださったり、声をかけてくださったりしたんです。気さくで優しいなぁと感じました。でも、入社したのが2019年10月で、すぐにコロナ禍がやってきたんです。RLはコロナ禍以前から、浜松オフィスと東京オフィスの2つの拠点のほか、サテライトオフィスやリモートワークという働き方を選択できることが当たり前だったので、環境も設備も整っていました。だからコロナ禍でリモートワークが推奨され始めた時、自然な形で社員みんながリモートワークになりました。RLでも、いままでは働き方を選択できる状態でしたが、コロナ禍ではあっという間にオフィスに行かない(行けない)日々になりました。
直感で決めた地方移住。リモートワーク環境が後押しに。
Q.コロナ禍でのリモートワークがきっかけで引っ越しを考え始めたのですね。
それもあるのですが、当時住んでいたアパートの更新期限が迫っていていずれにしても引っ越しは考えていたんです。リモートワークになって半年が過ぎた頃でした。まずはどんな場所に引っ越そうかと、休みの日に色んな町へ出かけることから始めました。自然が好きなので、都会の喧騒から離れた海や山の近く、埼玉、千葉、神奈川にも行きました。ある日ふと急に思い立って甲府へ行ってみたんです。甲府駅に着いて、駅前の不動産屋さんにふらりと入り物件を見てみたいと話したら、その日に内見できる部屋がたった一つだけだったんです。そのひと部屋を見たらすっかり気に入ってしまって、その日に即決しました。
Q.えっ、その日に?通勤時間や交通費のことは気にならなかったのですか?
そうですね。仕事は慎重タイプですが、プライベートは直感タイプなんです!やってみないとわからないですよね!ダメだったらまた東京に戻ればいい。とにかく直感で決めました。それに、社内のメンバーで片道2時間半かけて通勤している千葉在住の人がいて。繰り返しになるのですが、コロナ禍に関係なく働く場所や時間に自由度が高い会社だったから、遠方に住む人もいたんです。そんな背景もあって、RLなら遠くても問題なく働き続けることができそうで、もし通勤の頻度が今よりも少し多くなっても、甲府ならギリギリ通える距離だな~と考えました。会社の人達からは「すごいところに引っ越すね~!」と興味を持ってくれるくらいで、否定的な声は一切ありませんでした。住む場所、働く時間、働く場所。社内のみんなの色んな働き方が認められているからこそ、私も自然に移住を決めることができたのだと思います。
想像以上に向上した仕事環境と会えることの有難さ
Q.地方に引っ越して、仕事する上で困ったことや難しいと感じたことはありますか?
特に仕事上の障壁はないですね。私はエンジニアのなかでも、フロントエンドエンジニアという職種なので、比較的リモートワークに適していると思います。RLはもともとコロナ禍に関係なくリモート環境が整っていたので、より一層難しさは感じませんでした。遠方に住んでいる人には会社に頻繁に来なくても良いように必要書類などは郵送する気配りも有難いです!
それから、仕事環境は都内の近くに住んでいた頃よりも抜群に良くなりました。コロナ禍前は、あまり自宅で仕事することを想定していなかったため、自宅の仕事環境は全く整っていませんでした。東京でフルリモートになった半年間は、ひとり暮らしの狭い家で毎日仕事をしていました。家の近くの大きい道路を車が行き交う音がして、外に出れば建物に囲まれていて人も多く気疲れする日々でした。東京の満員ラッシュの通勤ストレスは無くなったけれど、決して仕事環境が良いとは言えなかったのです。
新しい家はとにかく広い!家賃が安い!2LDKなので、広い仕事部屋を設けました。甲府駅周辺は栄えていますが、自宅は駅から少し離れた場所で、とても静かです。仕事に集中できるし、息抜きする時もリラックスできる。車社会なので、車を持っていない私は、買い物や移動はちょっと不便だったりもしますが、それに代わるだけの住環境の良さがあります。
Q.知り合いのいない土地でひとり、会社で同僚に会う機会も減って寂しさはありませんか?
知り合いはいませんが、東京の会社で働きながら山梨に住んでいるということに興味を持ってくださる方もたくさんいて、話のタネになります。価値観の違いも面白くて、地元の人とよく話しています。こんな時代なので、今は会社のみんなと食事に行ったりする機会はあまりありません。もし、今後コロナ禍が終息した時、例えば会社で飲み会があったとしても急に参加するのは難しいかもしれません。でも1週間、2週間前にわかっていれば都合をつければ良いだけですから、そんなに気にしていません。それに急だったとしてもどうしても行きたいと思ったらたぶん行っちゃいますね(笑)。人が大好きで、フットワークが軽い性分なので、籠ることもあまりないですね!
Q.会社に行かなくても仕事ができるなかで、オフィスの意味はあまりなくなりましたか?
もしかするとコロナ禍に関係なく、これからもフルリモートの働き方が続くかもしれません。でも2~3ヶ月に1回は会社に行きたいと思っています。いや、月1回でもいいかな!RLという会社も好きだし、会社の人達が好きなんです!好きな会社だからこそ、会いたいし、会えた時にありがたみをすごく感じますね。遠距離恋愛みたいですけど、「離れてみてわかる」というやつですね(笑)。いつでもオフィスに行けばみんなに会えた時よりも、コロナ禍でリモートワークになり、地方へ移住した今のほうが、会えることの大切さとありがたさを感じています。物理的な距離と心の距離は別だと思うんです。RLは「自由」で「好きなこと」をトコトンできて応援してくれる会社ですが、とはいえ責任を持って仕事をすることを求められます。みんな自分で責任を持って自由に働いているからこそ、メンバーのことを大切にしてくれるのだと思います。それに、本人だけでなくその家族のことも大切にしてくれる会社だと感じています。そういうところが形だけでなく本来の“多様な働き方”ができる理由だと思います。
30歳で人生の軸を決めるための一歩として、じっくり自分と向き合う
Q.地方へ移住しリモートワークを続けて数か月、いまの環境には満足していますか?
満足しています!コロナ禍で在宅になり、通勤のストレスはないけど仕事と休みの境目がなかった都会暮らし時代に比べると、本当に仕事がしやすくなりました。仕事中、ふと窓の外を見るとすがすがしい景色が広がっています。息抜きで一歩外に出れば山並みが綺麗で、心も身体も休まります。仕事とは真逆の空間と時間があることで、スイッチのオン・オフができるようになりました。都会のせわしなさから解放されて、リラックスできる時間が増えましたね。それが仕事の効率化やモチベーションにも繋がっていると思います。
Q.自分で体験してみて、地方移住×エンジニアの可能性をどう考えますか?
エンジニアの職種にも因ると思うのですが会社の体制に左右される部分が大きいと思います。ハード面やセキュリティという意味での環境は、設備が整っていないとなかなか難しいかもしれません。また「リモートワークOK!」と言っても、会社の中の大半の人が通勤してオフィスで働いていると自分だけフルリモートで仕事をするのは気が引けるかもしれません。エンジニアの地方移住には、前提として、会社の体制が整っていること、実際にリモートワークを許容する文化が根付いていることが必要ではないかなと感じています。
会社の体制が整っていて、物理的な距離が問題にならないくらい積極的なコミュニケーションもためらわないエンジニアの方なら、地方移住は素敵な選択肢の一つだと思います!
Q.今後の野望は?
仕事とプライベートのオン・オフの切り替えができるようになり、考える時間や余裕もできてきたので、エンジニアの仕事以外でもっと会社や会社のメンバーに貢献したいと思うようになりました。もともと文章を書くことが好きだったので、最近ではWantedlyで記事を書かかせていただけることになりました。まずはそこから、会社に貢献できるようになりたいと思っています。書くことはもともと好きなので楽しみです!自分の好きなことで、会社のためになることができたら幸せですよね。自分が会社の役に立てることをたくさん考えていきたいと思っています。
30歳で人生の軸を決めたい、と前から考えていました。移住をきっかけに仕事とそれ以外の時間の線引きができるようになったので、これからはこの場所で、自分と向き合う時間をもっと大切にしていきたいです。