【SELECK Live!vol.1】FB1900万いいね!の舞台裏、越境EC「Tokyo Otaku Mode」がつくるメディア、ソーシャル、サプライチェーンの全て(Tokyo Otaku Mode inc. 小高様)
SELECK Live!vol.1の模様をお届けします!
広報の永田です。弊社が運営するWebメディアSELECKでは、ビジネスの現場における生産性向上の事例を、これまで400社以上に取材し、世に発信してきました。
そして、この度、SELECKで取材させていただいた企業様をお呼びさせていただき、リアルな場で事例やノウハウをシェアいただくイベント「SELECK Live!」を10/20(木)に開催いたしました。
第1回となった今回は、「EC」をテーマに『4社の先進ECが実現する、最先端「デジタル」戦略セミナー』と名付けて開催させていただきました。
ご登壇いただいた4社様の中から、今回はTokyo Otaku Modeの小高様の発表の模様をシェアさせていただければと思います。
FB1900万いいね!の舞台裏、越境EC「Tokyo Otaku Mode」がつくるメディア、ソーシャル、サプライチェーンの全て(Tokyo Otaku Mode inc. 小高様)
こんばんは。Tokyo Otaku Modeの小高と申します。よろしくお願いいたします。
弊社の紹介ですが、11年からサービスを開始し、12年に会社化しました。オフィスは渋谷に構えております。
海外を中心に1,900万人のファンを獲得。Eコマース分野では世界5位のファン数
弊社の特徴としては、Facebookで1,900万程のファンを抱えていることです。男女比は大体半々、年齢は若い人が多く、エリアとしては、日本は1%で、ほぼ海外ユーザーとなっております。
基本的に日本のアニメ、マンガ、ゲーム、最近だとJファッションの情報を発信しています。
Eコマース分野ではファン数がAmazonに次いで世界5位、ブランド分野では55位で、NIVEAやルイ・ビィトンの近くに並んでいます。このように、日本に興味のある外国人からの認知度は高くなっています。
ソーシャルでファンを獲得し、自社ECでのコンバージョンを狙う
ただ、Facebookでいくらファンがいようと、全くお金にならないんです。皆さんが毎月1ドル払ってくれれば嬉しいのですが(笑)
ですので、Facebookはあくまで集客の場所として考え、ここでマネタイズを探ろうとはしませんでした。純粋にアニメなり、オタクなり、ゲームなり、日本でしか得られない動画・画像・インタビューを海外に発信して、そこで集めたファンコミュニティを、自社プラットフォームのotakumode.comへ集客しようとしました。
そして、そこでコンテンツをエンジョイしていただき、最終的にはモノを買っていただくと流れを作る、つまり、Facebook上で”メディア”として生まれ、”越境Eコマース”をビジネスモデルとしているのがTokyo Otaku Modeです。
次に実際、「越境Eコマースとは何ぞや」という所をご紹介できればと思います。
otakumode.comでは、3万点程の商品を販売しているのですが、その中でも特に多い4商材を、フィギュアなどを扱うホビー、ぬいぐるみ、ゲーム、アパレルとカテゴライズしています。
日本の可愛くてクリエティブなぬいぐるみは、世界でも類のないコンテンツで、大きな市場規模があります。 丁度、今日、これらの商品を販売するサンエックスさんの展示会に行ってきたのですが、可愛いぬいぐるみは、そのクリエイティブの黄金比があるそうです(笑)
なお、Tokyo Otaku Modeのサイトにおける平均購入単価は90〜100ドル程で、比較的高いのかなと思います。
実際にカートで決済された後のフローについてですが、在庫の管理、商品のピッキング、段ボールの用意など、全てイチから自社でやっています。
こちらが一連の流れでして、「権利調整→商品調達→在庫管理→出品→宣伝活動→決済→梱包/発送→顧客対応」というフローになります。
Facebookファンが多いだけでは、全くお金にならず。。
何でこんな大変なことをやってしまったかということなのですが(笑)、当時Facebookのファンを作ったものの、それだけではマネタイズ方法がまったく分からなかったため、ECをやってみようということになりました。
実際にやってみると、非常にバリューチェーンが長いのですが、全て一気通貫で実現出来るシステムを社内でつくっております。
我々としては、ものすごく大変なのですが、外国から来日するのは難しいけれど、日本の商品が欲しいというファンの方々のためにも、130ヶ国の国と地域に配送しております。
倉庫は、日本の舞浜に700坪、アメリカオレゴン州のポートランドに12,000sqt程(※)のものがございます。
舞浜の倉庫は去年2月14日に移転したのですが、隣がバレンタインデーで盛り上がるディズニーランドという極めてリア充な状況の中で、我々は何万点というグッズをコツコツと搬入したという思い出があります(笑)
(※)sqt=スクエアフィート。12,000sqfは1,116平米に相当。
「とても大変だけど、やるしかない!」という気持ちで、この写真のように、世界中のリクエストにどう応えるかという戦いでした(笑)
商品の発送についてですが、日本のフルフィルメント、すなわち包装は極めて差別化できる部分です。例えば、日本の百貨店などで商品を購入すると、綺麗にラッピングした商品を無料で届けてもらえますよね。
海外経験のある方は分かるかと思うのですが、あれほど丁寧かつ高速にラッピングできる民族は日本人位しかいないと思います。ですので、綺麗なラッピングで届けることを心がけています。
発送後についてですが、越境の特徴として、出荷から着荷まで2~3週間、発送手段によっては4~5週間かかります。 届くまで時間がかかる分、「まだ届かないぞ」というクレームを頂くことも多く、ネイティブのメンバーがメールや場合によってはチャットでリアルタイムに対応するようにしています。
我々はソーシャルでユーザーを囲い込み、otakumode.comに飛んでもらうという形で成長してきたのですが、ことさら中国は全くマーケティングが出来ませんでした。
誰もFacebookを見てませんので(笑)
ですので、アリババさんとタッグを組んで、例えば今ですと11月11日のダブルイレブン(独身の日)という巨大な商戦に向けて、マーケティングプランを練っているところです。
ブランディングはWebのみでは完結しない
また、リアルイベントもやったりします。やはり、Webだけでは表現しきれないブランディングもあると思います。
例えば、ルイ・ビィトンやグッチはリアル店舗があってゴージャスな雰囲気があるからこそ、Webでもブランディングできるかと思うのですが、逆にWebだけで強いブランディングできるのはごく一部だと思います。
ですので、リアルでも、米国のアニメエキスポや東京ゲームショウなどのイベントにブースを出して認知を広げていくということを定期的にやっております。
まとめますと、弊社はよくネットベンチャーのように思われがちなのですが、気付いたら、在庫管理・ピッキング・配送までガッツリ全てやるサプライチェーン企業になっておりました(笑)
陸の上を走っていたと思ったら、海の上にいたというような。。 というガテン系企業なので、基本的には体力のある方を募集しています(笑)
こちらがまとめになります。ひとつ補足なのですが、丁度、今日プレスをしまして、B to Bソリューションを提供し始めています。
otakumode.comをご覧になっていただくと、全て英語なのですが、弊社にはそのための英訳部隊がいます。それも単なる英訳ではなく、アニメなどの日本の文化・文脈の理解が必要な英訳をやっておりますので、この点を活かして、テキスト・マンガ・動画などの英訳サービスを始めました。
目指すはAmazon,Netflix。流通レイヤーからメイカーレイヤーへ
次に、今後の展望についてですが、我々はECだけで終わるつもりはございません。ECというとカッコよく聞こえるのですが、その流通業のみならず、ここから上にのぼっていきたいなと。
例えば、AmazonやNetflixというのは、元々、圧倒的な流通業でした。ただ、今となっては、Amazonは自社でアニメに投資しますし、Netflixは自社でドラマをつくっています。それができるのは出口を自分で持っているからです。
Netflixはドラマを作って、自分のネットワークで売れば回収ができます。そして、回収の目処がたつからこそ、コンテンツにも投資できるのです。
このように、我々も流通レイヤーからメーカーレイヤーに、さらにその上にと将来的にはなっていきたいなと思っています。
日本でも、最近セブンイレブンにいくと、半分位はプライベートブランドで、もはや直営店ではないかと(笑)ユーザーデータを持っており、大体の需要予測が見えますので、商品を企画・生産しやすいんですね。
「ファンの欲しい」を集め、具現化。精度の高い商品開発を目指す
これに向けて少しずつ動き出しておりまして、まずはメイカーレイヤーへ進出です。ファンが世界中にいますので、彼らがどういう商品を欲しいのかを聞こうと、2ヶ月前からクラウドファンディング機能を内包しています。
これによって、otakumode.com上でファンの意見を商品化し、生産しようと考えています。そうすると事前の需要予測も可能なので、在庫リスクを抑えて商品化することができます。
また、こちらは流通レイヤーの強化なのですが、skoshboxという会社を少し前に買収しました。日本はおかしの種類がとても豊富で、海外からも日本のおかしを食べたいというニーズがあります。こちらも商品ラインナップに追加していきます。
あと、これは妄想なのですが、東京オリンピックでTOKYO OTAKU MODEがスポンサーをするスタジアムを見れたらいいなと思っています(笑)
2020年に日本にオリンピックも来ますので、自然と日本のカルチャーに大きな注目があつまると思います。その時までにTokyo Otaku Modeを世界的に大きくできたらいいなと思っています。