楽天が進める通信業界の変革
テクノロジーの観点から言えば、1997年はまだまだ発展途上な時代でした。携帯電話はガラケーが主流で、インターネットの利用はまだまだこれからという局面。28.8kbpsのダウンロードスピードにさえ人々は興奮し、私たちが今使っているスマートフォンの概念はもちろん語られていませんでした。 ...
https://rakuten.today/mickeyvoice-ja/rakuten-mobile-revolution-j.html?lang=ja
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この記事は楽天公式ブログ「Rakuten Today」からの転載です
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テクノロジーの観点から言えば、1997年はまだまだ発展途上な時代でした。携帯電話はガラケーが主流で、インターネットの利用はまだまだこれからという局面。28.8kbpsのダウンロードスピードにさえ人々は興奮し、私たちが今使っているスマートフォンの概念はもちろん語られていませんでした。
そのような時代に楽天は設立され、「楽天市場」が生まれました。インターネットで人々が買い物をするという未来を確信して。当時は、私たちの考えは「無謀な挑戦だ」とみなされることがほとんどでした。しかしながら今や「楽天市場」は日本最大級のECサイトへと成長を遂げ、ECは小売のなかでも重要な購買手段のひとつとして広く、社会に浸透しています。
その後も私たちは、多くの懐疑的な声を押しのけて、クレジットカードや野球事業の開始などの数々の挑戦を続けてまいりました。「楽天カード」は日本No.1、「東北楽天ゴールデンイーグルス」も東北の皆さんを中心に愛される存在へと育ってきています。
そして今年10月、楽天は携帯キャリア事業としてサービスを開始し、新たな挑戦を始めます。
次世代ネットワークの試験施設 「楽天クラウドイノベーションラボ」完成お披露目会にて
楽天はもはや、単なるEコマース企業ではありません。金融やコンテンツ、スポーツなど多岐にわたる分野に進出して、「楽天エコシステム(経済圏)」を構築し、世界70カ国・地域以上で約13億の人たちが様々な楽天サービスを利用する今、楽天の事業はメンバーシップビジネスと表すことができます。日々、世界中の多くの人たちに利用されるオンラインとオフラインのサービス、そしてそこから形成されるメンバーシップこそが、楽天が持つ真の価値と言えます。
楽天の設立から22年の間に、携帯電話は目覚しい普及を遂げ、人々の日常生活になくてはならない存在へと進化しています。今では「楽天市場」を閲覧するユーザーの8割はモバイル端末を使用しています。楽天は携帯時代に対していち早く「モバイル・ファースト」という携帯電話に適したサービス設計を掲げ、関連する楽天サービスの戦略を推進してきました。
2014年10月、楽天はMVNO(仮想移動体通信事業者)サービス「楽天モバイル 」を開始し、携帯電話サービスに参入しました。インフラを借り受けて始めた事業ですが、僅か3年の間に、最も利用されるMVNO携帯会社と成長することができました。
しかし、他社のインフラを借りて事業を発展させることには限界もあります。自社独自のインフラを築き上げてこそ、他社の事業戦略に左右されない展開が可能になります。独自の通信ネットワークにより、「楽天エコシステム」の様々なサービスと親和性のある、ユーザー利便性の高い新しいメンバーシップサービスをつくり、クロスユースによるシナジーを高めることができます。
凄まじいスピードでスマートフォンに関わるテクノロジーが発展する一方、携帯キャリア業界は停滞しているようにも見えます。世界中にある携帯電話会社は、数世代もの間受け継がれているシステムを使用しています。1G、2G、3G、4Gと数字は変化しますが、基本的なビジネスモデルは変わっていないのが実情です。
3社による寡占状態が続く日本の携帯キャリア業界にも、イノベーションが生まれる余地が小さくなってきています。しかし、イノベーションには「破壊」と「競争」が必要です。
楽天の携帯キャリア事業参入に対して、多くの著名な業界関係者たちから反対意見を聞きました。しかしながら、私たちは通信業界の未来の変革を確信しています。
日本は、世界的にみても携帯料金プランが高い国の一つです。ヨーロッパの平均料金よりも約2倍高く、日本の家計の約7%を占めています。携帯料金プランを下げるために日本政府が業界に訴えかけるほど高額な日本の携帯料金。その理由の一つに、数世代に渡り利用されているインフラの管理にかける高いコストが挙げられます。
楽天はゼロから自社ネットワークを構築するため、3Gのような既存のシステムに頼ることなく、4Gや5G回線を現在の最新技術で立ち上げることで、他社にはないイノベーションの可能性が生み出されるのです。
楽天モバイルネットワーク株式会社CTO(最高技術責任者)のタレック・アミンは、インドの先進的なMNO(移動体通信事業者)携帯会社であるリライアンス・ジオ・インフォコム(ジオ)の上級副社長でした。彼らは2Gや3G回線システムが一般的だった時代に、すでに4GやVoLTE(LTE回線を利用した音声サービス)を取り入れていました。ジオは、創業開始1年ですでに1億3千万ものユーザーを獲得し、今では2億7千万以上のユーザーを有する世界10位の携帯会社にまで成長しています。
私がアミンに初めて会ったとき、彼は私に言いました、「もしゼロから新しいネットワークをつくるのなら、まったく違うことをやったほうがいい」。それはまさに私たちがやろうとしていることでした。
私たちが築き上げようとしているネットワークは、世界初のエンドツーエンドの完全仮想化クラウドネイティブネットワークです。楽天はすでに、クラウド基盤のアーキテクチャで複数のビジネスを行っています。IT業界で一般的なこの概念を携帯事業にも持ち込み、クラウド上ですべてを管理することができるようにします。この先、ハード機器の扱いに手を焼く必要はなくなるでしょう。単純にソフトをアップデートするだけで済む。このようにして、通信ネットワークを構築し、管理コストを抑えることができます。
私たちからすると、これは電話会社とインターネット企業の垣根がなくなる業界の変革なのです。既存の携帯キャリア企業は現在、携帯事業を核にしてメンバーシップサービスをつくりあげようとしています。私たちは真逆の立場で携帯キャリア事業に参入することになります。つまりすでに確立しているメンバーシップサービスである「楽天エコシステム」という強み、そして最新技術でネットワークを構築できるという後発者メリットを持っています。楽天はモバイルネットワークサービスを競争力のある価格とスピードで提供します。通信業界の革命がここから始まるのです。
日本の携帯業界は、あらゆる意味で独自に進化してきており、楽天が持ち込んでいる最新のモバイルテクノロジーは日本では初めて導入されるものとなるでしょう。しかし、これは日本国内に限ったことではなく、世界においてもそうです。今まで世界のどこにもなかったことをやろうとしているのです。
私たちの通信ネットワークが稼動を開始したら、海外の携帯事業者はこぞって楽天のモデルを取り入れたがるでしょう。私たちのもとには、すでに世界の主要携帯会社からのアプローチがきており、今後は国境を越えたコラボレーションを視野に入れています。
今、日本の通信業界における破壊的な変革がはじまろうとしています。
2019年2月20日
代表取締役会長兼社長
三木谷 浩史
@hmikitani
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