「楽天市場」店舗イベントで三木谷が語ったブランド・物流・モバイル戦略とは?
「 楽天市場」の出店者を対象に年2回開催される大型リアルイベントの「新春カンファレンス」と「 楽天EXPO ...
https://rakuten.today/mickeyvoice-ja/expo-2018-mickey-speech-j.html?lang=ja
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この記事は楽天公式ブログ「Rakuten Today」からの転載です
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「楽天市場」の出店者を対象に年2回開催される大型リアルイベントの「新春カンファレンス」と「楽天EXPO」。2003年から例年開催しており、共に成長していくための楽天のビジョンや戦略を店舗様に共有するとともに、店舗様同士が出会い、学び合い、つながりを深める機会となっています。夏に開催される「楽天EXPO」では、今回初めて東京一カ所に集約して行われ、全国各地から約4,000人の参加者にご来場いただきました。
出店から間もない店舗様から10年以上も続けられている老舗店舗様まで、さまざまな参加者で賑わう会場。そこでは、著名起業家や経営者による講演、日々の経営に役立つ講義、ワークショップ、相談会や展示会が開かれるとともに、楽天社長兼会長である三木谷が講演を行いました。
「楽天市場」をさらに盛り上げていくために、楽天のブランド戦略、そして物流・モバイル戦略を中心に三木谷が語った施策についてご紹介します。
「楽天市場」は開設以来、今年で22年目になる年を迎えています。楽天は、「イノベーションを通じて、人々と社会をエンパワーメントする」という企業理念のもと、地域コミュニティに寄り添い、パートナーと共存共栄することを大切にしてきました。「ネットで物は買われない」と言われていた1997年5 月に、コンピューターに詳しくなくても、誰でも簡単に日本各地からお店を開けるインターネット・ショッピングモールとして「楽天市場」はスタートしました。
創業当時について三木谷は、「一番最初は日本に、『インターネット上に楽市・楽座をつくる』と考えていました。(楽市・楽座は)日本中からさまざまなエンターテインメント、また商人が集まって、市(いち)を開こうと、そしてそこでの税率を下げるとか、そこに人が集まりやすくしたりと、経済的に優位性を極めた場所でもあります。その楽市・楽座をインターネット上に復活させようと、『楽天市場』という名前にしました。Eなんとかや、○○COMなど、いわゆる横文字が非常に多いインターネット業界において、われわれは日本で事業をやるというプライドとともに『楽天市場』という名にしました。ロゴも毛筆体で作りました」と会社の名前に込められた想いを冒頭で紹介しました。
楽天は今、より便利でリーズナブルなモバイル・コミュニケーションの実現や、さまざまなパートナーと共に新たな買い物体験を提供していくなど、世界に向けた新しい挑戦に取り組んでいます。今年7月からはそうした「新しいステージ」に向けた挑戦への決意を込めて、楽天のグローバル統一ロゴを一新しました。変化が速く激しい中にあっても、その変化を先取りし、常に時代の先端をいく存在であるために、全体的にスピーディでパワフル、将来・未来を予感させるようなシャープなデザインへと進化させ、「楽天市場」を含む楽天の各サービスロゴにも展開されています。
この新しいデザインについて三木谷は、「この文字(Rakuten)の下に書いてある小さな三角形、これは漢字の「一」をモチーフに少し幾何学的にデザインしました。この「一」の意味ですが、1つは「A New Start / はじまり」、です。また、「Unity / 一つになる」、そして「Be the Best / 一番・最高」だけでなく、「Only One / 唯一」という意味も込められています。店舗のみなさま一人ひとりがOnly Oneであり、特徴のあるサービスを提供する、その集まりがより魅力的な楽天市場という場になっていくというコンセプトです。それを表すのがこの「一」です」と解説しました。
このデザインはすでに楽天がメインパートナーシップを結んでいるサッカーの名門クラブ「FCバルセロナ」や、日本においても「ヴィッセル神戸」「楽天イーグルス」のユニフォームにも描かれています。「スポーツにおけるロゴの露出を行うことによって、楽天というロゴを強烈な形でみんなに覚えてもらう。日本の中でもより強いブランドを作ることによって、皆さんのご商売に少しでもお役に立ちたいと思っています」と、ブランド強化により「楽天市場」をさらに盛り上げていくと話しました。
テクノロジーの進化により、インターネットショッピングは社会基盤として私たちの生活に必要不可欠なものとなりました。しかし、爆発的な普及が進む一方で、物流、配送面に関する問題が起きています。受注量が増えることで、不在配達や既存物流システムの非効率な面が問題となり配送料が高くなったり、荷物がなかなか届かないということがメディアでも報じられています。三木谷はこの配送問題について次のように分析し、楽天独自の配送網と整えることの必要性を強調しました。
「この1つの根本的な問題はどこにあるかというと、今までのいわゆるコンシューマーtoコンシューマー、個人から個人に送るという宅急便という仕組みにBtoCのものを乗せるということに無理が来たということです。端的に言うとそういうことだと思っています。よって、私たちはこの新しい『ワンデリバリー』という大きなチャレンジを皆さんと一緒にやらないといけません。やりたいことではなくて、やらないといけないことであると思っています」
「ワンデリバリー」の「ワン(“一”)」には、楽天が外部企業とも協力して物流を“一”元管理し、サービスレベルを向上させること、それにより店舗様が注文からお届けまで“一”気通貫にできるようにし、物流にかかるコストを抑える一方で流通を最大化してもらうこと、そして、ユーザーには、日時指定やまとめて受け取り、スピード受け取りを可能にし、ほしい時にほしい物を“一”度で受け取ることができるようにすること、という意味が込められています。ワンデリバリー構想におけるステークホルダーは、店舗様、消費者であるお客様、そしてプラットフォームを提供する楽天です。この3者の関係を、「有機的に、そしてデータを活用して、AIも活用して、エンドtoエンドで効率化を図っていくことが重要だ」と三木谷は話します。
消費者によってニーズはさまざまで、宅配ロッカーの利用や玄関の前に置いておいてほしいという要望もあります。今までは配送を外注しているために、配送に関する状況をすべて把握し、消費者の多様なニーズに応えていくということが困難でしたが、三木谷は「これが一気通貫に、一元管理することによって可能になっていきます。考えれば考えるほど、われわれがより積極的に物流に参加する、あるいはラストワンマイルに参加することができる方が理にかなっていると思っています」と語りました。
楽天はお客様により良いお買い物体験をお届けするために、まったく新しい物流プラットフォームを構築しようとしており、そのためにも、楽天が商品の保管から出荷までを手がける物流サービス「楽天スーパーロジスティティクス」の新規物流拠点を流山、そして枚方にオープンする予定です。これら倉庫には、楽天がこれまで培ってきた倉庫内オペレーションのノウハウを活用するとともに、自動倉庫や仕分けソーターといった最先端の省人化・自動化の倉庫機器を導入します。楽天の購買データやAI技術の活用による受注予測、在庫情報の連携を通じて、最適な在庫管理を行うことで、配送スピードの向上や倉庫作業・配送コストの削減を目指しています。
また今回、自社ブランドによる配送サービス「Rakuten-EXPRESS」を本格提供することについて三木谷は、「実は独自配送、独自物流は東京23区ですでに始まっています。まずは『楽天ブックス』、そして楽天の直販ビジネスでもある『Rakuten Direct』、そして先日より店舗の皆さまの商品も届けだしています」と紹介しました。「Rakuten-EXPRESS」では6月から玄関前やガスメーターなどへの「置き配」を開始しており、事前に指定された場所に荷物を届けることも可能になっています。今後、対象エリアは関西にも拡大する予定です。
インターネットショッピングの際、ただ単に情報をウェブサイトで確認するよりは、自分に合うかどうかの質問を率直に聞くことができれば、購買体験はより良いものとなります。楽天は、ユーザーがオンラインでのチャットで気軽に楽天市場ショップに質問や相談ができる「R-Chat」というチャット機能を開発しています。去年から数カ月間、約100店舗にてトライアル導入されており、その効果について三木谷は、「転換率の大幅向上や、売り上げが伸びるといった成功をしています」と手ごたえを語りました。また、「店舗様は商品について最も詳しく説明ができる、最高のコンシェルジュ」であり、ユーザーと店舗様のつながりをより強くする「楽天市場」らしいソーシャルショッピング機能として、9月下旬には全店舗への導入を実現したいと話しました。
さらに、楽天が運営する一部の店舗ではAIチャット機能をトライアル導入しており、簡単な質問にはAIが自動回答し、複雑な質問に対しては店舗スタッフが対応するという効率化が実現されています。今後、これについても提供していきたいと語りました。そして、より人間らしい自然な会話ができる次のAIチャットボットの形として、楽天のAI推進部が開発した音声認識による「ボイスサーチ」機能のプロトタイプも紹介しました。
「楽天市場」では、いち早くモバイルへの対応を進めてきたこともあり、現在の流通総額のうち66.5%(2018年3月)はモバイル経由となっており、今後もますますモバイルを通じた購買が拡大していく見込みです。このような中、楽天の携帯キャリア事業への挑戦について三木谷は、「いわゆる通信料金・通話料金の家計における割合が非常に大きくなっています。もともと2000年には2.7%、それがいまや4.18%。消費税2%アップの際にも非常に大きな問題になったわけですけれども。この間、携帯電話料金については家計における割合が1.48%増えています。これを、よりリーズナブルに早く便利に提供できるようにし、そして皆さんの根っこの部分をおさえることで『楽天市場」の流通総額をより上げていきたいと思っています」と、モバイルを入り口にサービスを拡充していき、そのモバイルエコシステムから「楽天市場」への還流を増やしていきたいと話しました。
楽天ではすでに楽天会員数約9,700万という強固な顧客基盤を築いており、ポイントプログラムの「楽天スーパーポイント」は累計発行1兆ポイントを超え、対応店舗数は70万店を超えています。「楽天市場」をはじめ、さまざまなインターネットサービスを展開しており、「楽天ペイ」(アプリ決済・実店舗決済・オンライン決済)や共通ポイントの「楽天ポイントカード」などを通じて、オンラインだけでなくオフラインでもエコシステムを形成しています。「楽天カード」においては発行から12年でナンバーワンの取扱高を誇るクレジットカードとなり、MVNO(格安スマホ)の「楽天モバイル」も、楽天グループサービスとの相乗効果から、わずか3年で150万回線を突破し、ナンバーワンのMVNO事業者となりました。
三木谷は携帯キャリア事業の分野でも一番になるという目標を宣言しつつ、「一番根っこであるモバイルサービスをおさえることによって、そこに『楽天市場』を中心とするあらゆるサービスが乗ってくる、そういうものを実現できるのではないかと思っています」と語りました。
講演の最後に、「技術はすごいスピードで進んで行っています。そういう技術をプラットフォームとして皆さんに提供したい、そして皆さんと一緒に戦っていきたいと思っています。これからも楽天グループは皆さんと一緒に、日本発の世界に誇るマーケットプレイスとして『楽天市場』を成長させていきたいと思っています」と、会場の参加者とさらなる成長への意気込みを共有し、今年のスピーチを締めくくりました。