【きっかけ】
私がインターンを始めようと決意したのは、大学の同期が司法試験受験に向けて目の色を変えて勉強していたからです。一見するとインターンとは何の関係もない出来事ですが、友人らがひたむきに勉学と向き合った時間を自堕落に過ごしてしまった私は、居ても立ってもいられなくなったのです。
得意な語学を使って同期に負けないくらい立派な社会人になりたい!
こうして自己実現をしたいとの思いが芽生え、インターンを探していると、学生が社長に同行し海外出張する会社を見つけました。海外と関わりを持つことを目標に語学習得に励んできた私は、迷うことなく面接を申し込みました。
【ようこそ!清川さん】
会社に赴くと、玄関には「ようこそ!清川さん」と書かれたウェルカムボードがあり、そこにはメッセージが書かれていました。学生を出迎えるのにこんな気遣いをして待っているなんて、いったいどんな会社なのだろうと気になって仕方ありませんでした。
実のところ、社会人とお会いしお話する機会を持ったことのない私は、喉から心臓が飛び出てしまいそうなほど緊張して会社に到着していたのです。しかし、このボードを目にし、就活経験のない私が「会社」に対して抱いていた恐怖は「人」にお会いするのだという安心感に変わりました。
中へ入ると、会社にいた社員さんが一斉に手元の仕事を止めて立ち上がり、こちらを向いて暖かい挨拶で迎え入れてくれました。この会社の人達は皆同じ優しさ持って働いているのだと感じました。
【鋭い質問】
「あなたはどんな人なの?」
面接では、これまで熱心に取り組んできた学業にスポーツ、課外活動の話をしました。
すると、あらゆる角度から鋭い問いを投げかけられます。
あなたはどんな目的意識を持って勉強しているのか。
あなたのコーチはどんな人だったのか。その人から何を学んだのか。
あなたが見習いたいと言った人物は何歳なのか。
挫折から得たものは何か。心境の変化はあったのか。
私は面喰ってしまいました。
面接の場では、自分の一番良いところを切り取って話したいのが学生の心理です。
その思惑と相反するように、ズバリと切り込んだ質問をされ、包み隠していた弱点が炙り出されたような心持ちになりました。
「あなたはなんのために働くの?」
次は、働くことにどんな目的意識を持っているのか、という核心に迫る問を頂きました。
私は言葉に詰まってしまいました。詰まった理由は、「働くとは何か」という本質的な課題と向き合ってこなかったからです。パーツワンで働きたい理由ならいくらでも挙げられるのに、肝心の問には思考を巡らせても答えを出せず、この問は家に持ち帰ることになりました。
【お節介】
面接を終えインターン選考に進むと、様々な社員とお話することになります。そこで、鋭い質問を投げかけるのは面接でお話した社員一人でないことを知ります。どの社員と話しても、考えを述べる度に何故そう思うのかしつこいくらいに問われます。言葉にしていない課題意識につき、切れ味のいいご指摘を頂くこともありました。
始めのうちは、出会って数十分、数時間の学生に対して何故ここまで関心を持てるのだろう疑問を抱くほどのお節介さに圧倒されていました。しかし、先輩社員の真摯なお言葉で、会社に足を運ぶ度に、そしてご指摘を頂く度に「気づき」を得て帰ることができ、次第にパーツワンでインターンをしたいとの思いが募るようになりました。
【発見の毎日】
インターン選考に合格し、パーツワンに入社してからは発見の連続です。出勤の度に頂戴する「業務改善命令」を真摯に受け止め、一人前とは言えない仕事をどう改善するか、模索する毎日を過ごしています。
その中でも一番大きな学びとなったのは、インターン選考時に感じた「鋭い質問」や「お節介さ」の所以です。
先輩社員やインターン生は常々「なぜか」「いつか」「どこか」の疑問詞を繰り返し用いて、お客様の要望を伺っています。パーツワンは商材を持たない商社です。商材を持たない私達がお客様にお届けするのは、モノではなくサービスです。このサービスとは、お客様が本当に必要とするものが何かを的確に捉え、捉えたニーズに沿うものお届けすることなのです。
インターン選考の際に頂いた、どこまでも鋭い質問や切れ味のいいご指摘、指摘をするお節介さは、相手のニーズを捉えるための「人と向き合う姿勢」を育むためのものだったことに気づきました。
この「人と向き合う姿勢」は海外営業とも切っても切り離せないものだと考えます。パーツワンで働く前の私は、「海外」という言葉が放つ華やかなイメージに踊らされ、海外営業の本質は「語学力」なのだと思っていました。しかし、パーツワンで働く中で気づいたのは、やはり人と向き合う姿勢が一番大切なのだということです。
仕事は相手あってのものです。どんなに語学が堪能であったとしても、相手の本心を見極め、相手の立場を充分に考慮した上で交渉に臨まなければ、「語学」を生かすことなく交渉決裂です。
傾聴すること。相手の気持ちを考えること。
大事なのは人と向き合う姿勢なのだということを身に染みて感じています。
【ライター紹介】
清川優里奈 2000年生まれ。群馬県出身。早稲田大学法学部在学中。2019年7月に株式会社パーツワンの長期インターンへ参加。高校時代はディベート甲子園に出場。