GienTechでは、AI技術の業務活用を推進するため、社内でインテリジェント・エージェント・イノベーション大会を開催しています。
大会には、研究開発、グリーン・低炭素、サプライチェーン、運用高度化など、多様な業務領域から数十件のソリューションが集まりました。生成AIの活用は、モデルの規模や性能を競う段階から、実際の業務プロセスをどう変えるかという段階へ移りつつあります。
今回取り上げるのは、大会で評価された6つのAIエージェントです。銀行、保険、運用、言語サービスなどの現場で、専門知識、業務ルール、データ、実行プロセスをつなぎ、業務担当者の判断と実行を支援します。
業務を支える専門知識、その継承と活用は十分か
業務部門では、大量データを読み解けない、アラート対応に追われる、非標準ケースの判断に時間がかかる、部門ごとの知識が分断されるといった課題が残っています。
- 顧客担当者が大量の経営・取引データを短時間で理解しにくい
- 運用担当者が24時間365日の監視、異常検知、原因分析、対処に追われる
- 販売現場や保険引受などで、専門知識を必要とする判断が属人化しやすい
- 翻訳、品質確認、プロジェクト知識などが個別工程に分かれ、継続的な改善につながりにくい
専門知識を実行可能な業務能力へ
こうした課題に対し、GienTechはAIエージェントを活用した業務高度化を進めています。AIエージェントは単なるチャットボットではなく、業務ルール、専門知識、データ、実行プロセスを組み合わせながら、分析・判断・実行を支援します。
これは、担当者の負荷軽減だけでなく、意思決定の迅速化や業務品質の向上にも貢献します。
以下では、各業界における代表的な活用事例を紹介します。
①外為リスク識別エージェント
トランザクションバンキング領域では、外為取引に潜むリスクの早期検知が重要です。本エージェントは、専門家の知見と大規模モデルを組み合わせ、リスク調査と特徴推論を効率化します。
- 専門家ルールとAI推論を併用し、調査漏れと判断遅延を抑制
- 外為業務の専門ルールをオントロジー化し、モデルの解釈を業務文脈に接続
- 違法金融活動、虚偽・欺瞞性リスクなどを多面的に判定
- 過去の検知事例から新しい特徴を推論し、モデル改善を継続
- 自然言語による追加質問に対応し、判断根拠を追跡可能に提示
②AIOps移行・運用一体化エージェント
運用領域では、監視、異常検知、原因分析、対処の負荷が大きくなっています。本エージェントは、運用経験を知識モデルとして蓄積し、巡検、診断、制御付き実行を一体化します。
- オブジェクト、関係、ルール、アクションの4層モデルで運用知識を資産化
- サイレント巡検、自動診断、実行支援までをクローズドループ化
- 高リスク操作には人の承認を残し、安全性と自動化を両立
- ChatOps対話と能動的なアラート通知の双方に対応
③顧客経営目標計画エージェント
顧客経営では、データ診断から戦略立案、実行追跡、効果評価までを継続的に回す必要があります。本エージェントは、戦略ナレッジベースと複数エージェントの協調により、経営計画の作成を支援します。
- 経営データ診断、戦略設計、実行管理、効果評価を一連の流れで支援
- データ変化に応じて、実行可能なアクションガイドを自動生成
- 既存の顧客経営プラットフォームに組み込みやすい柔軟な導入方式
④「小信」モバイルバンキング・スマートアシスタント
モバイルバンキングでは、機能が増えるほど利用者が必要なサービスにたどり着きにくくなります。「小信」は、チャットを入口に、口座照会、資産運用提案、高齢者向け支援などを自然な対話で提供します。
- チャットを通じて銀行サービスを実行し、従来型のメニュー探索を軽減
- 利用者が探す前に、必要な手続きや判断材料を先回りして提示
⑤言語サービス一体化エージェント
言語サービスでは、前処理、翻訳、品質確認、プロジェクト知識の継承が成果を左右します。本エージェントは、複数の機能エージェントを統括し、翻訳プロセス全体を自動化・高度化します。
- 調整エージェントが複数の機能エージェントを統括し、生産ラインを自律的に進行
- 翻訳者が作業を始める前に、前処理、事前翻訳、リスク評価を完了
- 仕様、過去QA、品質基準をプロジェクト単位で記憶
- 修正履歴を訓練データ化し、業務量に応じて継続的に改善
⑥健康保険AI引受「金易核」
健康保険の引受業務では、非標準体の判断、病歴の読み取り、販売現場での初期判定が大きな負荷になります。「金易核」は、リスク管理機能を販売接点まで前倒しし、適切な商品提案と引受判断を支援します。
- 販売接点で事前引受を行い、「販売後に断る」プロセスを改善
- ナレッジグラフ、マルチモーダル解析、リスク定量化エンジンを統合
- OCRとNLPで病歴を構造化し、医学知識に基づく追加質問を実施
- 販売現場、自己引受、人による引受支援まで幅広く対応
今後の展望
GienTechは、本大会を通じて、AIエージェント技術を実際の業務課題と結びつける取り組みをさらに加速させています。今後も、各部門・各業界の現場知識を取り込みながら、業務に根ざしたエージェントの検証、改善、実装を継続し、企業のインテリジェント化を支援していきます。各ソリューションの詳細、導入相談、デモのご希望については、ぜひ弊社へお問い合わせください。