2022年上期MVPを受賞した、インテグレートテッドメディアプランニング部 上田莉沙(2018年新卒)。ていねいな仕事とサポート力には以前から定評があるものの、今期はさらにプロ意識にも磨きをかけ、部をけん引する立役者へと成長を遂げました。
入社時から、仲間やお客様と真摯に向き合うひたむきさが感じられる上田ですが、その姿勢は、いつごろ生まれ、進化してきたのか、現在地はどこにあるのか――。その道のりを辿りました。
いまの自分とは違う“なりたい像”を求めて
入社以来、ブランドメディアコンサルタントとして企業のプロモーションを担当する上田。今期はチームマネージャーという新たな役割が加わり、若手メンバーの育成に取り組みながら、ハイクオリティなアウトプットでお客様に貢献し続けました。その姿勢が社内のみならず、パートナー企業からも一目置かれる成果を生み出し、MVP受賞という形に結実。その時の心境を上田はこのように話します。
上田「自分の頑張りを評価してもらえたことはもちろん、わたしの受賞を自分のことのように喜んでくれる周りの存在が本当にうれしかったです。後輩からの『自分の目指すべき姿が近くにあると知り、モチベーションが上がった』という言葉を受け、頑張ったら結果が付いてくるという姿を見せることができた、とも思っています。
とはいえ、この受賞は自分一人の成果ではなく、周りの支えによるもの。個人ではなくチームや領域で受賞した、ととらえています」
このコメントからも謙虚さをうかがえる上田は、「周りの人がどう思うかを考えて、自分のポジションを決めるサポーター気質」と自分を分析。入社時は、目標達成よりも周囲のサポートを優先してしまうようなところもあったといいます。その一方、周囲はデジタルホールディングスのバリューである5BEATSの一つ、「一人一人が社長」を地でいくかのように、自分への自信と明確な目標を持って働く社員ばかり。その姿に気後れすることもあった、と当時を振り返ります。
上田「わたしは何かを成し遂げたいという夢や目標を掲げるより、まずは目の前のことを頑張ろうと思うタイプなので、以前は周囲と自分を比べては落ち込んだり、悩んだりしていました。周りの姿は自分にとってのあこがれでもあり、目指したい自分像の一つでもありました」
頼れるようになれたことで出会えた新しい自分
そんな上田が迎えた大きな転機。それは入社3年目に新人のOJTを任されたことでした。とはいえ、「自分 < 周りの人」という図式が根付く本人にとって、どんなに忙しくても、どんなに仕事を抱えていても自分が頑張ることが大前提。これはつまり、「周囲に頼ることができない」とも言い換えられます。
上田「本当にそのとおりで、OJTでも『後輩には頼ってはいけない』というよりも、『頼らないほうがいい』くらいに思っていました」
こうしたスタンスを見かね、声をかけたのが当時の上司です。
――後輩の負担になるんじゃないかって考えているのだろうけど、それはやさしさじゃない。信頼して任せる姿、頼る姿を見せられる強さを持ちなさい。
この言葉を機に、上田はサポート「する側」から、サポート「される」側にも身を置くように。この経験が、本人の気持ちに大きな変化をもたらします。
上田「まさに、“一皮むけた”ような感覚です。それまでの『一人で120%を出して期待値を超える』という考えが、『周りとの協力のもと、良いものをつくり上げる』に変わりました。一人で120%に持っていくよりも、自分の80%に周りの人のアイデアや力を借りて200%、300%にしていけばいいんだって。
自分はサポーター役、と頑なに律していたところから、柔軟に立ち回ればいい、と思えるようになったことで視野が広がり、会社への貢献にもつながっている、と実感できるようになりました」
「愛が無ければ、良い仕事はできない」強い思いが生み出す成果とやりがい
自分と相手の両方から、その関係性をとらえられるようになった上田は、その強みと洞察力を業務にも活かします。
上田「わたしの手がけるブランドプロモーションは、長いスパンでお客様と伴走するというよりも、たとえば新商品を発売するタイミングなど、スポットで携わるケースがほとんどです。そのタイミングごとにお客様や商品、その商品をお届けしたいユーザーのことを集中的に掘り下げ、理解を深めていくのですが、このとき、お客様や商品に、わたし自身が愛を持っていなければ、良い仕事はできません。ですから、毎回、『この商品のここが好きだな』『この人と事業を成長させていきたいな』と思えるまで気持ちを高めるようにしています。そのために、たとえば、単価の高い化粧品の案件なら、売り場に足を運び、その商品を届けたいユーザーがどんな服装をしていて、どのくらいの年代で、お店の人とどんな会話をしているのかを観察したり、自分がユーザーとして体験したりもしています。
これを突き詰めるほど、お客様の課題やユーザーの心理を洞察する解像度が高まり、伝播できる思いとは何かにたどり着けると思っていますが、実際にうまくいくと、とてもうれしい気持ちになります」
この行動は、一つの部署に長く在籍することで生まれやすくなる慢心やバイアスを取り払うことにもつながっていると言い、自分にできること、面白いと思えることへの広がりも感じられているそうです。
「人対人」の関係を大切にしながら、目の前の仕事を意味あるものに
「考えの固執」という殻を破ることで、仕事のスタイルを変革してきた上田。MVP受賞という一つの成果を前に、自身の仕事観を以下のように語ります。
上田「デジタル化が加速度的に進んでいるとはいえ、仕事をするうえで大切なのは人と人の関係だと思っています。わたしたちの仕事は、人同士が介在することで成り立つものなので、相手とのチームワークをどのようにして良いものにしていくのか、どうすることが周りの人のためになるのかといった相手目線を持つことは、いつも心がけています」
一方、マネジメントのシーンでは、メンバーに対して二つのメッセージを大切にしている、と言います。
上田「仕事に対する捉え方はそれぞれです。その人にとっての価値観――生活するための糧なのか、自己実現のためなのか、を尊重するようにしていますが、とはいえ、仕事って行動や考え方一つで、楽しくもつまらなくもなるものです。ですから、『対峙する仕事を意味のあるものにしよう』というメッセージは、一つ大切にしています。
もう一つは、わたしは仕事の意味は後から付いてくると思っていますが、なかには大きな目標を掲げて、その達成に向け逆算して頑張るタイプの人もいると考えます。けれども、そのためにお仕事を選んだり、自分のやり方に固執したりするのではなく、まずは目の前の仕事に一生懸命になってほしい。この考えをコミュニケーションの根幹に置いています」
「やさしさ」に「強さ」がともなう自分を目指したい
相手に寄り添い、相手と向き合う。仕事でもマネジメントでも、その真摯さが光る上田の、「相手軸」の原体験はどこにあるのでしょうか。本人は少し考えたのち、このように話し始めました。
上田「高校時代、バレーボール部の副部長をしていました。部活って、熱量のある部長が周りを引っ張ってトップを目指すというケースが多くみられると思うのですが、そこにモチベーションを感じる部員ばかりではない、という構図もまた多いと思っています。
当時、わたしの周りにも『ついていけない。部活を辞めたい』と言い出す部員がいました。ただ、わたしの立場や性格としては、それぞれが楽しいと思いながらみんなで頑張ることができたら幸せと思う一方、部長の役割や思いにも共感していました。ここで、自分の出した答えは、『だったら、自分が潤滑油になればいい』というもの。そこから行動を起こして双方をつなぐことのできた成功体験が、いまの自分を生み出したと思っています。夢を持って周りを引っ張っていくことは得意なほうではないものの、それができる人をサポートする役割は担えるのかなって」
この思いやりあるやさしさに接した仲間も多いことでしょう。ですが、これからはいままでとは違う表情も見せていけたら、と意欲を見せます。
上田「わたしはこれまで前のめりにチャレンジするタイプではありませんでした。けれども、社内にはたくさんのチャンスが、そこかしこに転がっています。これからは、このチャンスを当社のバリューである『踏み出そう。はみ出そう。しでかそう。』の精神で、自分からつかみにいきたい。その結果、うまくいかなかったとしても、『チャレンジすることが大事なんだ』という姿勢を示すことで、チャレンジして、チャンスをつかみ取れる人が増えるといいな、と思っています」
ところで、「大きな目標を持ち、自分を信じて進める人になりたい」と、入社時に抱いたあこがれ。これに対する、いまの実現度合いは?
上田「正直なところ、大きな目標はいまもありません。ですが、入社1、2年目のころのように山頂がまったく見えないわけではなく、自分の目指す人物像は少し明確になったと思っています。
その姿ですが、人にわたしの印象を尋ねると、『やさしい』という言葉がよく出てくるのですが、そのやさしさが強さをともなうものとして映るようになりたいです。芯のあるというか、確固たる意志があるというか、決断力があるというか、そういう姿がわたしの目指すところです。そのうえで、わたしと仕事をしているすべての人に「楽しい」「幸せ」と感じてもらえるよう引き続き頑張りたいです」
この目標のもと、お客様、その先の社会や生活者に向け、上田が届けていきたい価値とは――。
上田「広告の本質は、お客様のサービスや商品の持つ価値を、必要としている方にお届けすることだと思っています。これを実現することで、お客様をはじめ、社会やエンドユーザーに良い影響を及ぼすことができると信じ、この先もこだわり続けていきたいです」