環境重視の商品創出 1
当社グループは『色と機能で世界を豊かに』というパーパスのもとに事業活動を行っています。そこには地球環境保護への寄与も含まれており、その一つが環境配慮商品の創出です。昨今の地球環境問題で重要視される地球温暖化や大気汚染に対し、地球温暖化に関してはCO2排出量削減に、大気汚染に関しては塗装時のVOC排出量削減に寄与できる商品を創出しています。
“環境重視の商品創出”でめざす目標(ゴール)
①当社が上市する商品は100%環境に配慮した商品である
②既存商品と一線を画した新しい塗料開発や工法により環境負荷の低減に貢献する商品を創出している
環境配慮商品の代表例が、塗膜成膜時のエネルギー使用量削減(省エネルギー)効果が期待されるUV硬化型塗料、植物由来の原材料を処方することでカーボンニュートラルが期待さ れるバイオペイントなどです。また、大気汚染に関してはVOCの排出量削減に効果が期待される水系塗料や低VOC塗料などの商品があり、これら環境配慮商品の創出によって色と機能で世界を豊かにしながら、地球環境保護に寄与し続けていきたいと考えています。
特にグローバルの観点でもものづくりの中心になっているといわれている中国では、深刻になってきた大気汚染を抑制するためにVOCの排出管理に対して多くの注意を払っており、定期的にVOC排出量の規制に関する国家標準が発行されています。
2020年には国家標準化委員会によってVOCなどの有害物質の制限量に関する国家強制標準(GB規格)が新たに発行されました。当社グループでは早くから溶剤系塗料の低VOC化に取り組み、中国のGB規格をクリアできる商品を提供し続けています。
■VOC規制(GB30981-2020)
2024年度の活動報告
以下に当社グループの環境配慮商品の一部紹介と簡単な技術説明を記載しています。より詳細な情報につきましては営業部門にお問い合わせください。
1. 無溶剤UV硬化型塗料 (武蔵塗料ホールディングス株式会社 開発技術本部 池田啓亮)
VOCの排出量を極限まで減少させた環境配慮商品です。自動車内装向けや家電向けの塗料と同等の性能を有するため、様々な分野への展開が可能です。本商品を用いることにより、元々UV硬化型塗料で期待されていた省エネルギーによる地球温暖化対策に加え、VOC排出量が大幅に削減されることにより浮遊粒子状物質に代表される大気汚染物質の排出量削減が期待されます。
■無溶剤UV硬化型塗料のVOC削減効果
■2液硬化型とUV塗料の比較
環境重視の商品創出 2
2. 低VOC塗料 (中山武蔵塗料有限公司 開発技術本部 何健生)
既存の溶剤系塗料の作業性を維持しながら塗料中のVOCの含有量を低減した環境配慮商品です。商品ラインナップとしては当社グループが展開しているすべ ての分野で適用できるように主要商品の低VOCタイプの塗料を開発しました。溶剤量が制限される低VOC塗料では、希釈時のシンナーだけでなく、塗料そのものの設計にも数多くのノウハウを注ぎ込み、作業性の向上につなげています。
■低VOC塗料と従来塗料とのシェアと粘度の関係性
高シェア時(即ち塗装時)に粘度が下がるように設計しているため塗装性が良好
3. 水系塗料 (天津武蔵塗料有限公司 開発技術部 丁宇)
溶剤系塗料の主成分である溶剤や樹脂等を、水や水系樹脂に置き換えた環境配慮商品です。従来、水系塗料はVOC排出量の削減に注目されてきましたが、主溶媒を溶剤から水に置き換えることでCO2排出量の削 減も可能となり、大気汚染と地球温暖化の両面での改善に貢献できる塗料として期待されています。
■溶剤系塗料/水系塗料 CO2排出量比較
溶剤系塗料と水系塗料が持つ塗料系別 CO2排出量(単位:kgCO2/kg)
4. バイオペイント (武蔵塗料株式会社 開発技術部 玉木優作)
バイオペイントは、再生可能な植物由来の原材料を使用することで、石油資源の使用削減効果が期待される環境配慮商品です。当社は、化石資源依存からの脱却をめざし、植物由来原材料を活用しながら、石油由来商品と同等の性能を持つ高品質な商品開発に取り組んでいます。これにより、温室効果ガスであるCO2の排出抑制と持続可能な社会の実現に寄与するとともに、今後の規制強化や資源制約に対応した安定供給体制の確立もめざしています。
現在、当社の主力バイオペイントでは、塗膜成分中に占めるバイオマス度は約40%に達しており、一部商品はUSDA(米国農務省)の認証を取得しています。さらに、バイオマス度を高めた商品では約70%まで向上させることに成功しています。今後もバイオマス度100%の実現に向けて、引き続き検討と開発を進めていきます。
■バイオペイント取得認証一覧
環境保全への取り組み
〜 CO2排出量の削減 〜
塗料の製造においては、CO2の排出や廃棄物の発生など、環境への負荷が避けられない側面もあります。環境への影響を最小限にとどめるため、当社グループは「環境重視の商品創出」と並行して「環境保全」にも取り組んでいます。
“環境保全”でめざす目標(ゴール)
①2050年までにScope1とScope2のカーボンニュートラルをめざす
②2030年までにゼロエミッションを達成する
2024年度の活動報告
1. CO2排出量の算定
CO2排出量の算定方法については前年度との変更はありません。
■CO2排出量算定根拠
P.23に(上記)記載の考えに沿って、日本拠点における 2022年~ 2024年のCO2排出量を算定したところ、下図のようになりました。
■日本拠点におけるCO2排出量推移(Scope1〜Scope3)
日本拠点におけるCO2排出量は、2022年8,807t、2023年7,971t、2024年7,317tと減少し、2022年を基準値(100%) とした場合、2023年は90.5%、2024年は83.1%と着実に削減しています。製品別の単位(kg)当たりのCO2排出量は製品によって異なりますが、全製品の生産量に対する平均のCO2排出量は、2022年4.14kg‐CO2/kg、2023年3.63 kg‐CO2/kg、2024 年3.50 kg‐CO2/kg と減少しています。
また右図(下図)のようにCO2排出量の大部分はScope3 Category1 の原材料が占めていますが、当社グループが自責で管理できるScope2の電力もCO2排出量削減の重要な要素です。特に、2024年のCO2排出量の削減はこの電力使用量の削減効果と輸送の効率化策による Scope3 Category4.9の削減効果が大きいと考えられます。
■電力起因のCO2排出量(グループ合計)(Scope2)
当社グループはお客様のご要望に合わせて、拠点間で生産移管を行っていますので、電力使用量に関しては、各拠点の個別データよりグループ全体での把握が重要と考えています。2022年~2024年における当社グループ電力使用量に伴うCO2排出量の 推移は右図(下図)のようになりました。( 電力使用量の詳細については P.25をご参照ください)➡(■グループ電力使用量と生産量に対する原単位をご参照ください ) 当社グループ内で電力使用量がCO2排出量に大きく影響することの認識が高まり、その結果が2024年に反映したものと捉えています。
2. CO2吸収の取り組み
CO2排出量の削減の取り組みだけではなく当社グループはCO2を吸収するという視点からも活動を行っています。具体的には昨年の Musashi Paint Report 2024のP.39(環境保全への取り組み)に記載しました各拠点での植樹・植栽・整備活動に継続的に取り組んでいます。2024年のトピックとしては中山拠点で従業員の子どもたちも参加して植樹活動 「Plant Green Hope」 を実施し、60本の苗木を植えました。
環境保全への取り組み
〜 電力使用量の削減 〜
CO2排出量のうち、Scope2に該当する電力は自責で管理可能であり、かつ全従業員の日々の業務に関わる項目であることから、当社では全従業員が一丸となって電力使用量の削減に取り組んでいます。
2022年から2024年における当社グループ全体の電力使用量の推移、および生産量に対する電力使用量の原単位を下の表や図に示しています。
■グループ電力使用量と生産量に対する原単位
2023年は前年より生産量が減少したのにもかかわらず電力使用量が増加、2024年は生産量が増加したのにもかかわらず電力使用量は減少するといった相反する結果となりました。2024年に大きく改善した理由は、中期経営計画を見直し、全グループで生産量の増減にかかわらず電力使用量を前年より1% 減少させる*目標を設定し、活動したことによります。“ムリ・ ムダ・ムラ ”の基本3要素を全従業員が意識し、取り組んだ成果といえます。
カーボンニュートラルは大きな目標であり、アプローチ方法は様々ありますが、当社グループでは以下のステップを順に進めることで、2050年までにScope1および Scope2のカーボンニュートラルの達成をめざします。
①日々の業務活動において節電活動を行う
②機械や設備の更新時には、省エネルギー型の機器を導入する
③再生可能エネルギーの導入を図る
④カーボンクレジットの活用を図る
*日本の省エネ法では企業が設定したエネルギー原単位を年1%以上削減することが求められていますが、CO2 排出量が総量での評価となっていることから当社グループは、電力使用量も原単位ではなく、総量での取り組みとしています。
電力削減に向けた取り組み事例
作業標準の作成( 重慶拠点 )
中国では大気汚染が問題となっており、有機溶剤 (VOC) の大気放出については適切な処理が要求されています。このため、重慶拠点などは写真のVOC処理装置を導入していますが、これには多くの電力を消費します。重慶拠点ではこれら多量に電力を消費する設備や機械に作業標準を設定し、管理しています。この活動が功を奏し、重慶拠点では2024年は前年よりも生産量が240%増加したのにもかかわらず、電力使用 量は逆に前年比95.5%と減少する結果となりました。
政府の要請対応( 蘇州拠点 )
蘇州拠点では中国政府の要請に基づき、「グリーンプロダクション」 活動を展開し、政府の監査に合格しました。主な活動は6項目ありましたが、その中で電力使用に関するテーマとして①高エネルギー消費モーターの交換、②実験室空調システムの改善、③原材料投入機の自動化改造 を行っています。
特に②、③の活動は42.3万元( 約 875万円 )の投資で年間67,200kWhの電力削減の効果をもたらせました。 「グリーンプロダクション」 は、産業ではグリーンファクトリーのエネルギー関連の要件を満たすために、工場に再エネなどのクリーンエネルギーや効率的なエネルギー管理システムの導入を求めているものであり、今回の対策は効率的なエネルギー使用の視点で行っています。今後も継続してグリーンな生産活動に取り組んでいきます。
省エネ機器の入れ替え( 日本拠点 )
日本拠点では、機械や設備を随時省エネ機器へと更新するなどのハード面と、ムダをなくす取り組みといったソフト面の両面から、省エネルギー活動を推進しています。2024年は品 質管理棟全フロアの空調設備( エアコン )、品質管理関係のコンプレッサー、品質管理棟1Fのチラーなどの設備をより省エネタイプに更新しました。
また各部署で監視員を選任して、定期パトロールによるエアコンや照明などの消し忘れ確認、設定した条件の順守確認な どムダの排除に努めました。この活動は 2025年も引き継がれ、エアコンについては新たにタイマー設定を行うなどの強化に努めています。
環境保全への取り組み
〜 廃棄物排出量の削減 〜
電力使用量の削減と合わせ、当社グループの環境保全活動において廃棄物排出量の削減は大きなテーマとして活動しています。
■日本拠点の分類別廃棄物量の推移
日本拠点では以前よりこのテーマに取り組んでおり、廃棄物を17項目に分類して、分類ごとに適切な業者を選定して処理を依頼しています。またこれと並行して分類時の検討も行い、再利用することで総排出量の削減に努めています。この効果により日本拠点ではこの3年間は毎年廃棄物の排出総量が2022年:63t、2023年:38t、2024年:34t と低下しています。
■廃棄物排出量推移
2025年より当社グループの全拠点が参加するCSR推進委員会が発足し、グループ間の情報共有が行いやすくなりましたので、各拠点の廃棄物排出の実態を調査しました。この結果、拠点が存在する国によって廃棄物の回収や処理方法が異なり、日本のように細かく分類して廃棄物を排出している拠点はありませんでした。このため日本に比べて廃棄物の排出量に差が出ています。このような課題が見つかりましたので、まずはグルー プ全体が同じ視点で廃棄物排出量の管理ができるようにCSR推進委員会にて「廃棄物の定義」設定から進めていきます。
廃棄物排出量の削減に向けて
廃塗料の削減に向けて
当社グループの塗料は、一般消費者向けではなく、主にBtoB (企業間取引)で提供され、用途や顧客ニーズに応じて設計された製品が中心です。お客様によって意匠性や機能が異なりますので、塗料製品の種類も多岐にわたります。お客様の要求に合格した品質保証期限内の製品でもお客様の仕様が異なれば廃棄せざるを得なくなります。さらに塗料製造時には製造ロスを考慮して生産を行いますので、余った分は在庫となります。これらが廃塗料発生の理由です。当社グループでは、パーパスである 「色と機能で世界を豊かに」から、この廃塗料をいかに有効に活用するかについて検討し、取り組んでいます。その活動事例を紹介します。
①公園や保育園の遊具の再塗装( 日本拠点 )
地域社会貢献の記事と重なりますが、工場がある入間市と協議して公園や保育園の遊具の再塗装を行いました。
②工場周りの再塗装( 中山拠点 )
廃塗料を用いて、工場のフェンスや壁、オフィスの改修工事を実施しました。これにより53㎏の廃塗料の削減につながりました。
廃棄副資材の再利用について
原材料の入荷や製品の出荷に木製のパレットが使用されます。特に有機溶剤を扱う場所では静電気発生対策からも木製パレットは有効です。ただし、耐久性に乏しいため頻繁に廃棄しなければなりません。また、液状の原材料は金属製のドラム缶や石油缶に入れて搬入され、使用後は金属廃棄物として処 理されます。これらは貴重な資源でありますので、単なる廃棄ではなく付加価値をつけた再生に取り組みました。
①金属製ドラム缶と木製パレットから家具へ ( 日本拠点 )
金属製ドラム缶と木製パレットを組み合わせ、写真のようにテーブルとイスを制作しました。これに廃塗料を塗装することでインテリア家具として生まれ変わりました。この家具は2024年の11月に開催されました池袋の “livingloop スペシャルマーケット ” に展示し、多くの方が興味を示されました。
②木製パレットから本棚 ( 重慶拠点 )
重慶拠点では木製パレットを分解して本棚を作成し、廃塗料を塗装して写真のような形に仕上げました。 当社グループは廃棄物削減活動を通じて、「色と機能で世界を豊かに」というパーパスに基づき、他のCSR活動と連携した取り組みを今後も進めていきます。
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