「“民泊と働く”のリアル」第3話 ~「泊まりたくなる」をつくる仕事~
(PREMIER HOST 開発チーム:河野奈津子 edit & text :LEMON SOUR, Inc.)
「また来たいな、この宿」
そんな印象は、偶然ではありません。空間の設計と、細部への工夫の積み重ねによって生まれています。
営業チームから渡された物件を、宿としてオープンできる状態まで整え、ゲストが迷わず、心地よく滞在できる空間へと仕上げる。
その役割を担っているのが、PREMIER HOSTの開発チームです。
今回お話を聞いたのは、その一員である河野さん。
入社してまだ3ヶ月。それでも彼女は、宿づくりの面白さを、すでに掴み始めています。
開発チームの仕事とは
運営許可申請、消防設備の導入、必要に応じたリフォーム、インテリアコーディネイトや家具家電の設置、ガイド作成等々───
開発チームの仕事は、単に“泊まれる状態”をつくることではありません。
限られた予算と期間の中で、「ここに泊まりたい」と思ってもらえる状態まで仕上げること。
そのために、行政書士やインテリアコーディネーター、工事業者、行政など、
多くの関係者と連携しながら、一つの宿を形にします。
その中心で全体をコントロールし「泊まりたい」を形作ることこそが、開発チームの役割です。
ゲストを想像し、迷わない滞在をつくる
「現地調査では、まず物件の状態を細かく確認します。そのあと写真を撮って、ハウスガイドを作るんです」
ハウスガイドとは、アクセス方法や部屋の使い方、設備の説明などをまとめた滞在ガイドのこと。写真を添えることで、ゲストが情報を直感的に理解できるようにしています。
「ゲストが迷わず使えるかどうかを想像しながら作っています。実際に泊まる人の視点で考えることが大事ですね」
開発チームの仕事は、設備を整えるだけではありません。
“どう使われるか”までを想像し、滞在体験を設計していく仕事でもあります。
センスが、宿の価値を決める
実は河野さん、以前は美術の先生でした。
「写真を撮るときは、見やすくて、綺麗に見えるように意識しています」
どんな家具を置くか。
どんな家電を選ぶか。
どんな写真を使うか。
どう見せれば「泊まりたい」と思ってもらえるか。
そうした選択の積み重ねが、宿の印象を大きく左右します。
開発チームの仕事には、進行管理だけでなく、空間の魅力を引き出す“センス”も求められるのです。
“正解のない仕事”をつくり上げる
「物件ごとに状況が全部違います。間取りはもちろん、オーナーさんの目的やエリアも違いますし、関わる協力会社さんも異なります」
一つとして同じ条件の案件はありません。だからこそ、この仕事には決まった正解がない。
限られた条件の中で、どこに価値を生むかを考え、組み立てていくスタッフの力量が試されます。
パートナー(協力会社)を巻き込みながら、一つの宿をつくり上げていくプロセスは、まさに“オートクチュール”。
その判断ひとつが、宿の魅力を左右していきます。
積み重ねが、宿の完成度を高めていく
開発の現場では、イレギュラーも少なくありません。
図面のミス、工事の遅れ、備品の不足。
それでも、経験を次に活かすために河野さんはこまめに記録することを大事にしていると言います。
「まだ経験は少ないですが、どうすれば先回りできるかは考えるようになりました」
一つ一つ整理し、積み重ねていく。
もっとこうしたほうが協力会社がスムーズに動きやすくなる、このタイミングで連絡することで連絡の齟齬がなくなる───
その地道なプロセスが、確実に次の質を高めていきます。
「泊まりたくなる」は、こうして生まれる
「一つ一つ整理していく作業が、結構好きなんです」
そう話す河野さん。開発チームの仕事は、決して派手ではありません。しかし、ゲストの動きを想像し、細部を整え、魅力を引き出し、積み重ねていく。
そのすべてが重なったとき、はじめて「泊まりたくなる」という感情が生まれるのです。
目に見えない工夫の積み重ねの先にある、宿の価値。
それをつくり出しているのが、開発チームの仕事なのです。