SESやインフラ運用の世界では、案件に参画する前に「技術面談」があります。ところが、そこで実際に何を聞かれるのかという情報は、ほとんど表に出てきません。
ミラスタでは、面談に同行したメンバーが当日中に記録を残すルールを運用しています。残すのは、話の流れ、技術的な質問と回答、相手の反応、次のアクション。今回はその記録から見えてきたことを、顧客や個人が特定されない粒度でお話しします。
なぜ記録を残しているのか
技術面談の準備は、多くの現場で個人戦になっています。先輩がどんな質問を受け、どう答えて、どこでつまずいたのか。その経験は本人の頭の中にだけ残り、次に面談へ向かう人には引き継がれません。
市場データや社員インタビューは世の中にたくさんありますが、「面談の中身」そのものはブラックボックスのままです。いちばん知りたい情報が、いちばん共有されていない。
記録を横断して見えた、実際に聞かれること
経験の「境界」を確認する質問
いちばん多いのがこれです。ただし聞かれているのは「やったことがあるか」ではありません。「どこまでやったか」です。
あるサーバ作業の経験を問われて「シャットダウンのみで、他は経験がありません」と答えた記録があります。障害対応の切り分けについて「現状確認までは自分で行い、そこから先は上長に対応いただいていました」と答えた記録もあります。
境界を曖昧にしないほうが、面談は前に進みます。
手順書を書いたことがあるか
これは記録を横断して初めて見えた傾向でした。複数の面談で繰り返し聞かれています。
「新しい手順書の作成や修正をしたことがあるか」「手順書の記載と違う事象が起きたときどう対応したか」。運用の現場では、手順書を読める人より、書ける人・直せる人が求められているということだと思います。
足りない部分を、どう補うつもりか
「構築の経験が浅いことを、どう補うか」を問われた記録があります。
経験が浅いこと自体は減点になっていません。意欲だけを語るのではなく、何をどう学んで埋めるかをセットで話せるかどうかが分かれ目になっています。
将来像
「どんなエンジニアになりたいか」は、記録の中で何度も出てきます。
「運用や構築だけでなく、要件定義や運用設計といった上流まで任せられるようになりたい」と答えた記録がありました。自分の言葉で道筋を語れると、面談の空気が変わります。
経歴の一貫性
「それぞれの案件を離れた理由を教えてください」という質問もあります。面談する側が経歴書を読み込んでいて、話の一貫性を見ているケースです。
技術以外のこと
「複数のリーダーがいる現場だが、いろいろな人と報連相できるか」「シフトが4種類あるが、朝や夜中が苦手ではないか」。
ある面談では、こう言われた記録が残っています。「技術はいりません。マナー、ルール、臨機応変さが必要な現場ですが、対応可能ですか」。
実際、直近の記録を数えると、技術的な質問がまったく出なかった面談も少なくありません。技術以外のところを見られている、ということです。
記録の運用で決めていること
ひとつは、事実と解釈を分けて書くことです。「口数が少なかった」は事実、「興味が薄かったのかもしれない」は解釈。混ぜないだけで、次に読む人の判断材料の質が変わります。
もうひとつは、記録を無断で公開しないことです。個人や顧客が特定される形では扱いません。この記事も、複数の記録から質問の型だけを抜き出して、特定できない粒度に落としています。
次の面談を控えている方へ
3つだけ挙げます。
ひとつ、「どこまでやったか」の境界を、自分の言葉にしておくこと。ふたつ、経験が浅い領域は、隠すのではなく「どう補うか」とセットで話すこと。みっつ、運用の先にどんなキャリアを描いているかを、一度書き出しておくこと。
記録を読み返す限り、この3つを準備できている人は、面談で大きく崩れていません。
そして、こうした準備を個人の努力だけに任せるのか、組織として支える仕組みがあるのか。それは会社を選ぶときのひとつの観点になると思います。
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