机上の空論を捨て、現場へ。「顧客が本当に欲するもの」にたどり着くまでの、仮説と検証の軌跡
ビジネスにおける「誠実さ」とは何でしょうか。
私は、それを「顧客の真の課題(イシュー)に対し、誤魔化さずに最短距離で解決策を提示すること」だと考えています。
私たちメンテモが、なぜSS(サービスステーション)業界のDXにこれほどまでに注力し、急成長することができたのか。
その背景には、私自身が過去の失敗から学び、徹底して「現場」と向き合うようになった、思考の転換(ピボット)があります。
仮説検証の失敗と、そこからの学び
創業初期、私たちはいくつかのプロダクト開発に挑戦しました。 自分自身の原体験に基づき、「あったら便利だ」と思う飲食店予約アプリや、チャットアプリなどを開発しました。 これらは一時的にユーザーの注目を集めましたが、事業として持続的な価値を提供し続けるには至りませんでした。
当時の私に欠けていた視点。 それは、「それは本当に、対価を払ってでも解決したい“切実な課題”なのか?」という問いでした。
市場の熱量や、ユーザー数といった指標に注目し、事業の本質である「顧客への価値提供」を見失っていたのです。 「これ以上続けても、顧客にも社会にも本質的な価値は生まない」。そう合理的に判断し、私たちは早期にサービスをクローズし、体制を立て直す決断をしました。
「顧客のため」という思い込みの罠
再出発にあたり、私は自分のルーツである「自動車業界」に目を向けました。
母方の実家が板金業を営んでいたこともあり、一人のユーザーとして感じていた「整備工場を探すのが大変」という不便さを解消しようと考えたのです。
そうして生まれたのが、整備・修理のネット予約サービス「メンテモ」でした。
「これで業界は便利になるはずだ」 そう信じて疑いませんでしたが、現場の反応は私の予想とは異なりました。
実際に提携先の工場に予約が入った際、喜びの声が聞けるかと思いきや、返ってきたのは「現場の逼迫した状況」を訴える切実な声でした。
当時の整備業界は、集客よりも「人手不足」や「業務過多」こそが真の課題だったのです。 現場が求めているのは「新しいお客様を増やすこと」ではなく、「既存の業務を効率化し、利益率を高めること」でした。
現場(ラストワンマイル)を見ずに、東京のオフィスで「こうあるべきだ」と描いたDXは、現場にとってはただの「負担」になりかねない。 「顧客が本当に困っていることに、リソースを集中させなければ意味がない」 この経験が、私の経営哲学を決定づけました。
運命を変えた、SS業界との出会い
転機となったのは、あるSS(サービスステーション)運営企業様との出会いでした。
私はこれまでの反省を活かし、自社サービスを売り込むのではなく、まずは経営者様の課題を徹底的にヒアリングすることに徹しました。 すると、そこには私たちが力になれる「明確な課題」が山積していました。
「若月くん、Webでの発信や集客、デジタル周りのこと、相談に乗ってくれないか?」
SS業界は、ガソリン需要の変化に伴い、洗車やコーティングといった「油外収益」の向上や、業務効率化という大きな転換期にあります。 私が高校時代から培ってきたWeb制作やデジタルの知見 が、ここでは「喉から手が出るほど求められている解決策」だったのです。
実際に支援を行わせていただくと、お客様から「ここまでやってくれるのか」「本当に助かった」と、心からの感謝をいただきました。
「私たちの技術は、この業界のために使うべきだ」
私は迷うことなく決断しました。 会社の全リソースをSS業界の課題解決に集中させる。 中途半端な多角化はせず、まずはこの業界で、最も信頼されるパートナーになる。 組織を再編し、少精鋭のチームとして、SS業界への特化をスタートさせました。
「御用聞き」から「戦略パートナー」へ
当初は、お客様の「困りごと」を一つひとつ解決する、いわば「御用聞き」のような形からスタートしました。 しかし、泥臭く現場の課題に向き合い続けることで、私たちの中に独自の「業界知見」と「成功ノウハウ」が蓄積されていきました。
- どのような動画が、洗車の来店に繋がるのか。
- 現場スタッフが使いやすいシステムとは、どのようなUIか。
この積み重ねが、現在のメンテモの強みである「コンサルティングから実行までの一気通貫支援」の基盤となっています。 今では、単なる制作代行ではなく、経営戦略に踏み込んだ「事業成長のパートナー」として、多くの経営者様から信頼をいただけるようになりました。
営業職の皆様へ
メンテモの歴史は、「独りよがりなプロダクトアウト」から脱却し、「顧客起点の課題解決」へと進化してきた歴史です。
私たちは、決して器用な会社ではありません。 しかし、「顧客の本当の課題は何か?」を突き止めるためなら、過去のやり方を捨ててでも変化する「柔軟性」と「誠実さ」を持っています。
もし皆様が、 「売るためのトークテクニックではなく、顧客の事業を伸ばすための“本質的な提案”がしたい」 「変化を恐れず、現場の声を元に、常に最適な解を探求したい」 そうお考えなら、メンテモは最高の環境だと思います。
完成された商品をただ売るのではなく、顧客と共に業界の未来を創っていく。 そんな手触り感のある仕事を、一緒にしませんか。