ローカルワークスでは「テクノロジーとアイデアで建設業をアップデートする」というミッションの下、「リフォマ」「ローカルワークスサーチ」など、建設業界の課題を解決するプロダクトを開発しています。
こういった建設関連のテクノロジーやプロダクトを「建設テック」「ConTech」などと呼ぶのですが、HRTechやFinTechに比べ、馴染みが薄いという方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで、今回から建設業界や建設テックについて簡単にご説明させていただきます。
今回のテーマは「最近、建設テックが盛り上がっている」です。盛り上がっている市場には次々と企業が参入しますし、優秀な人たちが集まりやすいものです。成長市場に興味のある方はぜひご覧ください!
「建設」の定義
最初に、「建設」の定義を簡単に説明させていただきます。「建築」との違いで捉えると分かりやすいでしょう。
- 建築……人間の居住・活動する建物(オフィスビルやマンションなど)を建てること
- 建設……構造物全般(鉄道・橋・ダムなども含む)を建てること
「建設」は、「建築」を含む広い概念となります。この「建設」(Construction)から派生して、「建設テック」「ConTech」という言葉が生まれました。
厳密にいえば「建築テック」なプロダクトも多いのですが、「建設テック」という言葉が一般的なので、以降は「建設テック」で統一します。
建設テックの企業やニュースが増えている
まず、こちらの図をご覧ください。2017年に弊社で作成した建設テックのカオスマップです。
情報が一部古くなっていますが、建設テックの企業がかなり多いことは感じていただけるのではないでしょうか。2022年現在では企業やプロダクトがさらに増えます。
また、「マッチング」「金融」「建材EC」「メディア」など、領域が多いことも分かります。一口に建設業界といっても様々な課題があり、各社取り組んでいる領域が異なるわけですね。
また、最近では建設テックの資金調達が増えています。(2020年のアンドパッドの40億円調達、2021年のフォトラクションの10.6億円調達など)。海外だと、2018年に建設テックが1億ドル超えの資金調達や10億ドル超えの買収事例が出るほど大きな盛り上がりを見せましたが、日本でもこういった大型事例が出てくると予想されます。
上の図は、Construction Diveという建設業界専門のメディアから引用した、建設テックに対するアメリカでの投資額の推移です(赤線だけ弊社で加筆)。2018年だけ異常な金額の投資があったので(※)数字が跳ねていますが、全体として、投資額が伸び続けていることが分かります。
(※)KaterraというシリーズDの会社が、一社で8.65億ドルを調達しました。
建設テックのイベントやカンファレンスも増えています。例えば、弊社含めた建設テック6社で2019年に共催した「建築TECHカンファレンスVol.1」がありますし、2021年には日経クロステック EXPO 2021や文藝春秋 建設×デジタルカンファレンスなど、メディア主催のカンファレンスもありました。
建設テックが盛り上がる要因は「市場規模」「レガシー産業」
さて、建設テックはなぜこんなに盛り上がっているのでしょうか?
要因の一つは「市場規模の大きさ」です。国土交通省の資料によると、2021年の国内建設投資は62兆6,500億円に上るそうです。これは情報通信・商業・不動産・医療に次いで5番目の規模ですから(総務省の資料)、かなり大きな規模であることが分かります。
他の要因として、「レガシー産業ゆえの伸び代」があるでしょう。
「3K」(きつい・汚い・危険)という言葉があるように、建設業界に対して悪いイメージを持たれる方が多いと思いますが、それ以外にも、紙やFAXを使うのは当たり前、労働環境が悪い、少子高齢化、多重下請け構造などなど、課題が山積しています。
それらを解決するために数年前から建設テックが進んでいたのですが、昨今のDXブームやコロナ禍によるデジタル化が、この傾向をより加速させました。こうした盛り上がりを象徴して「建築DX」という言葉も生まれ、2021年が「建築DX」元年だと一部のメディアでは論じられています。
プレイヤーがまだ少ない今こそ、建設業界に挑戦すべき!
建設テックの盛り上がりについて説明してきましたが、とはいえ、日本ではまだプレイヤーが少ない状況です。転職者の視点でいうと、異業種からの転職よりも建設業界出身者(=元々、建設業界に課題を感じていた人たち)のほうが多くを占めます。
企業の視点でいっても、最近名前を見かけるようになった企業やプロダクトはいくつかありますが、市場において突出したプレイヤーはまだ登場していません。これは、業界構造や商習慣に紐付く課題が多いのでプロダクト開発が難しい、マネタイズや集客も難しいなどの理由があります(例えば、中小の工務店はWebリテラシーが低いのでWebでの集客が難しいなど)。
そういった事情もあってか、まだ異業種から建設テックに挑戦する人が少ないのですが、逆にいえば、「成長市場の0→1を体験できる」「異業種から転職してくる人(=競争相手)が少ない今こそ、建設テックに挑戦するチャンス」ともいえます。
今回の記事で、「建設テックっておもしろそう」と感じていただければ幸いです。次回からは、ローカルワークスのプロダクトで建設業界のどんな課題を解決しているのか、ご説明させていただきます!