初めまして、LAPRASで法務と兼任で、新入社員のオンボーディングサポーターをしている飯田(@iidasame)です。LAPRASが対面重視からフルリモートに舵を切ろうとしていた2020.4にジョインし、完全オンラインでオンボーディングを受けた1人目のメンバーです。
元々LAPRASは対面でのコミュニケーションを重視していたため、当時のオンボーディングプログラムはオフィスの会議室で行うことを想定して作ってあり、新入社員である私の最初の仕事は"自分が受けたオンボーディングで、オンラインに対応していないと感じた部分を、アップデートさせること"でした。
そこで今回は、フルリモートに合わせてオンボーディングをアップデートした結果、今どういった形でオンボーディングを行っているのかをご紹介させていただこうと思います。
新入社員オンボーディングの役割分担
なぜオンボーディングが重要なのか?
Googleの実験によると、フィードバックを積極的に受けた新入社員とそうでない新入社員の間では、早期の戦力化という点で差があり、頻繁なフィードバックは新入社員のより早い戦力化に貢献します。そのため、LAPRASでは新入社員がより早く戦力(1人で他の社員と同様の成果を出せる状態)となり、その人らしく働けるよう、気軽にフィードバックを受けられる環境作りの一環として、オンボーディングを重要視しています。
また、LAPRASはフルリモートの組織であり、オフィスで顔を合わせる場合とは異なったコミュニケーションや情報伝達を行っています。そのため、新入社員がリモートの就業環境にも早く適応できるよう、インプットが必要な情報を積極的に提供して行きたいと思っています。
加えて、新入社員が入ってきてから最初の90日間で適切な研修を行わなければ、その後の定着率にも影響するとするいう説もあり(出典:キャリアコンパス)、LAPRASでは入社してから3ヶ月間をオンボーディング期間として設定し、特に最初の1ヶ月は重点的にオンボーディングプログラムを受講してもらうスケジュールで取り組んでいます。
オンボーディングサークルの存在
LAPRASでは上記の通り、オンボーディングを重要事項として全社で取り組んでいるため、新入社員のオンボーディングを目的とした専用のサークル(弊社が採用しているホラクラシーという仕組み上の概念で、部署のようなもの)が存在します。
このサークルには専任メンバーがおらず、アサインは流動的です。そのため、必要に応じて役割が随時入れ替わり、実際の事業部のメンバーがCross Link(他の役割との兼任アサイン)として参加することで、今取り組んでいるプロジェクトや現場で起きている課題感が新入社員にも伝わりやすくなっています。
実際に私は法務Cross Linkとして法務オンボーディングを担当しているのですが、直近で法務でリスク判断をした事例や、過去のトラブル、今後の開発予定とリスクの見通し等を自分で直接新入社員に伝えることで、よりリアルな"現在位置"や"今後の課題"を伝えることができています。
また、この"新入社員オンボーディングサークル"では定期的にMTGを行い、メンバー毎のプログラムの進捗や内定者のフォロー状況、新入社員からのアンケートや提案を受けてのプログラムの改善について、メンバー間の認識合わせをしています。
重要な課題に向き合うために、専任のサークルを作ってそれぞれの責務を明らかにし、暗黙の期待を作らないようにシステム的に解決するのが、LAPRASらしい仕組みだと思っています。
サポーター/トレーナー/メンター それぞれの役割
LAPRASでは、新入社員にコアに関わるメンバーとして、サポーター/トレーナー/メンターの3つのロール(役割)があります。サポーター/メンターは、新入社員1人に対し、それぞれ1人ずつ、業務の近さや新入社員との相性を考慮してアサインされます。
新入社員トレーナー
新入社員トレーナーは,新入社員がチームに馴染み,パフォーマンスを発揮できるようにサポートする役割です。内定者の時からこまめに連絡を取り、新入社員のオンボーディング計画を立て、入社後は毎日1on1を行い、チームや組織全体に馴染んでパフォーマンスが発揮できるまで、支援をします。
新入社員に何かしらの問題が出てきた時には、必要に応じて他のメンバーも巻き込んで積極的に解決し、一番新入社員に対してコミットするのが新入社員トレーナーです。
新入社員メンター
新入社員メンターは,新入社員が組織や業務に馴染む過程での、悩み事や困り事のメンタリングをする と役割です。リモートならではの不安、トレーナーだけではカバーしきれない悩み等に寄り添い、新入社員をトレーナーとは違った視点でサポートします。
特にフルリモートの状況では、「誰に質問して良いかわからない」「メンバーが忙しそうで話しかけづらい」等の理由で、新入社員が気づかない間に孤独感を抱えてしまうことがあります。そのような、業務に直結するか分からない悩みについては、トレーナーと別の役割の窓口を用意することで、新入社員が不安なく組織に馴染めるよう工夫しています。
オンボーディングサポーター
オンボーディングサポーターはトレーナー/メンター がうまく機能しているか、オンボーディングにおいて問題が発生していないかを検知し、対処する役割です。サポーターがトレーナー/メンターに事前講習を行い、新入社員の受け入れ体制を整えます。また、それぞれのオンボーディングプログラムの時期をトレーナーと話し合って決めたり、スケジュールを調整したり、新入社員とも定期的に面談を行い、オンボーディングがトラブルなく遂行されるように手を尽くします。
トレーナー/メンターは新入社員によってアサインが変わり、その新入社員のみにフォーカスして、3ヶ月毎に入れ替わって行くシステムです。一方、サポーターは基本的にはアサインを固定しているため、過去のオンボーディングのノウハウや将来に向けた改善案はサポーターが受け取り、次の新入社員のプログラムやトレーナー/メンターへの事前講習に生かされて行きます。
新入社員の役割
LAPRASでは、新入社員を迎える既存メンバーだけでなく、新入社員も一つのロール(役割)として定義されています。
新入社員は、自分から支援をリクエストすることと、自分が遭遇したプロセス上の不備を改善することを責務として求められます。試用期間が終了して新入社員のアサインが解除されるまで、オンボーディングについて新入社員から直接フィードバックを受けることで、新入社員オンボーディンサークルも常に進化し続けることができます。
役割を明確にすることで、新入社員、短期的に新入社員をサポートする担当、長期的に自社のオンボーディングを改善していく担当、それぞれがひずみ(理想と現実のギャップ)を出し合い、それがプログラムに反映される仕組みになっているのも、LAPRASらしい部分だと思います。
LAPRASで行われている新入社員オンボーディングの紹介
ここからは、具体的にLAPRASで現在行っている、プログラムの内容をご紹介したいと思います。プログラムはそれぞれ担当のロール(役割)にアサインされたメンバーが実施します。
オンボーディングイントロダクション
新入社員に対して、オンボーディングサポーターが、今後のスケジュールや予定しているオンボーディングの内容、サポートしてくれるメンバーと彼らの役割、新入社員の役割等について、初日に説明を行います。
作業環境オンボーディング
全員がオフィスで働いてた時期は、新入社員が入社して最初のイベントは入社式でした。しかし、オンラインでの入社式に変えた際に「入社式を行うためのビデオツールやチャットツールの環境設定と心の準備ができてから入社式に臨みたい」という新入社員の意見を反映し、まずはPCの作業環境を整える時間をとっています。
新入社員トレーナー1on1
新入社員と新入社員トレーナーでMTGをします。トレーナーが作成したオンボーディング計画を元に、期待値のすり合わせや目標の作成を行います。同時にこれから一番密接に関わるトレーナーと話すことで、入社式前に、心の準備をする時間でもあります。
プロダクトオンボーディング
実際にLAPRAS SCOUTの商談を受け、導入を決定し、スカウトメールを書く一連の流れを体験します。実際のセールスメンバーから30分間商談を受け、カスタマーサクセスのメンバーから利用方法の説明を受け、作成したスカウトメールに対して社内のエンジニアからフィードバックを受けます。また、新入社員も既存社員に対して商談やプロダクトに対するフィードバックを行います。
新入社員が自社プロダクトや顧客への理解を深めると同時に、既存社員のオペレーションやプロダクト改善にも役立つため、丸2日かけて集中的に行われます。また、LAPRAS SCOUTのプロダクトオンボーディング が終了したすぐ後に、LAPRASのプロダクトオンボーディングも行うことで、新入社員が企業ユーザーと個人ユーザーそれぞれの目線を獲得できるようにしています。
ホラクラシーオンボーディング
弊社の組織を理解するのに不可欠な、ホラクラシーの仕組みや実際の活用方法について説明を受け、実践します。LAPRASではホラクラシーへの適応がパフォーマンスを左右することがありますが、ホラクラシーは、「ひずみ」や「暗黙の期待」等の独特な概念や「Lead Link」「Facilitator」等独自の役職名が出てくるため、慣れるまでに時間を要します。
そのため、より早く適応できるよう、理論編と実践編に分けて複数回オンボーディング を行います。特に実践編では、ホラクラシーの一番の特徴である「ひずみ(理想と現実の解離)」を実際に集め、改善する提案を行うことで、実際に組織がアップデートされる過程を経験し、ホラクラシーの良さと難しさを体験します。
法務オンボーディング
実際の法務担当者から、自社に関係する法律や規制、業務上の注意点等の説明があります。個人情報を扱うプロダクトが多いため、各個人の法令遵守の意識が重要となってくるので、入社時に時間をとって丁寧に説明しています。
HRオンボーディング
HR担当者から自社の評価制度、福利厚生、採用について説明があります。選考を受ける側から、今度は先行する側として自社採用にも参加してもらえるよう、事前にカジュアル面談のやり方やちょっとしたコツを採用のプロから伝えています。
ミッション・バリューオンボーディング
フルリモートで働く際には、社内の"雰囲気"や"大事にしているカルチャー"が伝わりづらくなる傾向にあります。そのため、LAPRASのミッション/バリューについて、代表の島田から新入社員に直接、説明をしています。
LAPRASの歴史
リモートになると雑談が減ることもあり、「過去の内輪ネタ」で既存メンバーが盛り上がっている一方で、社歴の浅いメンバーが置いてけぼりになり、疎外感を感じることがあります。そこで「歴史の生き証人」ロールとして、共同創業者メンバーから今までのLAPRASの歴史を紹介することで、社歴の差による情報量格差を埋め、少しでも共通言語が増やせるようにしています。
オンボーディングプログラム以外の工夫
このように LAPRASではオンボーディングプログラムの充実を図っていますが、オンボーディングプログラムだけではカバーできない範囲もあるので、それ以外にも色々と工夫を重ねています。
WELCOME BOX
フルリモート勤務の場合はPCを郵送するので、同時に社内の「ウェルカム感」も伝えたい!と思って、内定メンバーにWELCOME BOXを送っています。箱の中身は入社してからのお楽しみですが、デザイナーチームの尽力もあり、受け取ったメンバーから「入社が楽しみになった」「テンションが上がった」というフィードバックをもらっています。
チーム別の新入社員支援プログラム
各チーム独自でキャッチアップが必要な情報については、全体のオンボーディングプログラムとは別に、各チームでキャッチアップのためのプログラムを用意しています。新入社員トレーナーを中心として各チームで事前に計画を作り、業務に必要な前提知識や具体的な業務手順等を新入社員がキャッチアップできるよう、チーム全体で継続的に支援します。
全員との1on1
フルリモートの状況下だと、業務で関わらない人と話す機会がなくなり、新入社員/既存メンバーに関わらず人との距離感を感じてしまうことがあります。そのため、LAPRASでは入社して2週目から1日1人ずつ、社員全員と1on1を実施しています。
社内に全員のプロフィールドキュメントがあるので、その内容を見ながら自己紹介をしたり、ホラクラシー組織図を見ながらお互いの仕事について話したりする中で、メンバー同時が仲間意識を持ち、心理的な距離感が縮まるよう工夫しています。
オンライン入社式
入社日の午前中に、メンバー全員総出でオンライン入社式を行います。入社式では、歓迎Movie、トレーナーから新入社員の紹介、メンバーからの挨拶、お祝いのドラ等で新入社員を大歓迎します。
おわりに
ここで紹介した内容以外にも、LAPRASの新入社員オンボーディングは日々アップデートされています。
アップデートを続けられる理由としては、ホラクラシーにより、明確な役割分担/流動的なアサインが可能となることで、役割ごとに感じたひずみ(現実と理想のギャップ)を見逃さずに改善に繋げる仕組みができていることが大きいと思っています。
今後も新入社員が加わるごとに新たなひずみが出てきて、そのひずみを元にさらに組織もオンボーディングプログラムもアップデートされていく。そのような好循環を続けられるよう、サポーターとしても仕組み作りを活用しつつ、仕組みで解決できない小さな意見もしっかり拾って、今後も改善を続けて行きたいと思います。