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第三章『とにかくファンを増やせる企業・チームを目指したい。』不動産建築業界を変える組織構造・IT業界に学ぶマーケティング

ホラクラシー型組織

三輪:クジラは従来のヒエラルキー型組織から、ホラクラシー型組織にシフトチェンジしたっていう話ですよね?

矢野:そう。これは社内でも耳タコやね。従来の日本企業はいわゆる「ピラミッド」と呼ばれるヒエラルキー組織。さらに、不動産・建築業界は業界そのものが下請け企業に外注する仕組みなので、大きなピラミッド構造になっている。

従来のヒエラルキー型組織

矢野:これは階層(階級)をつくることで責任の所在をはっきりさせる意図があるよね。様々なリレーションにおいて相互での認識の違いとか出てくると、仕事も止まるし「誰が悪い?」みたいな話になる。だから階層(階級)があると非常にシンプル。

宮澤:役職という人事制度と、仕事でのオペレーションやリレーションの機能部分を併せた組織形態ですよね。

矢野:まぁ、日本に限らず「階級社会」っていうのは歴史上よく見られた傾向でもあるので、自然と形になったんだろうけどね。でもこれによって、組織の縦割りも進んだ。

宮澤:今いろんな大手企業が部署間でのコミュニケーションに力入れてますよね。

矢野:そう。部署間での「越境行為」を良しとしないのもヒエラルキー型組織の特徴。なので、おのずと責任者クラスに権力が集中しやすいし、いろんな情報もすごく閉鎖的になっていく。そして、組織の維持・管理となると、いかに組織内でエラーがないか?を探すようになる。組織のパフォーマンスや人の配置が常に「正常・完璧」になるように意識してる。

矢野:一方でホラクラシー型組織には「正常・完璧」という概念が無い。つまり、いつも「異常」

宮澤:「組織形態に正解がないのが当たり前」っていうところが重要ですよね。

矢野:そうやね。ホラクラシー型組織であれば、役職などに関係なくプロジェクト単位でチームを組成・解散していくのでとてもフレキシブル。外部変化に対応するための組織変化もスムーズ。何より一番は目的ごとに手段を変える思考にならなくてはならない。組織上層部が「正解」を決めてそれを追求するヒエラルキー型組織と違って、ホラクラシー型組織では課題解決のために「最適」を追い求める思考と行動になりやすい。

三輪:インターンシップ中もいろんなチームに参加して、いろんな人と仕事しましたね。

松田:たくさんの人と関わるのが普通になって、初対面の人とかいたら「新しいインターンの人?社外の人?新入社員?」みたいな感じでしたね。笑

矢野:特に、ホラクラシー型組織だと個性を尊重できるっていうのが一番かな。ヒエラルキー型組織だと、どうしてもオールラウンダーが主役になりがち。若手の育成でも個人のパフォーマンスにあわせてマネジメントスキルとかも求めるし。

宮澤:よくある「売上だけ上げてても、昇格できないよ」みたいな話ですよね。

矢野:これは組織を金太郎アメみたいにしちゃうし、隠れた才能を持つメンバーを見落としてしまう。ユーザーが画一的な商品やサービスに満足できず、オンリーワンを求め続ける時代に、画一的な組織を目指してちゃいけない。

宮澤:特にクジラのユーザーやファンはオンリーワン思考が強い傾向があるからなおさらヒエラルキー型組織だとニーズに柔軟に対応できないよね。

矢野:個性を尊重し、自由度の高い組織じゃないとクリエイティブなことは絶対できない。だからホラクラシー型組織としてクジラはもっと成長していく必要がある。でも業界でこういったチャレンジをしてるところはほとんどないよね。

三輪:だからよく「他の業界では〜」っていう話がでるんですね!

宮澤:矢野さんは特にIT業界でのトレンドとかを参考にしてるよ。

IT業界に学ぶ

コンテンツマーケティング

矢野:「とにかくファンを増やせる企業・チームを目指したい」って宮澤くんに相談して、クジラのコンテンツマーケティングが始まったよね。

宮澤:夜中のセブンイレブンでしたね。笑


https://innova-jp.com/content-marketing/

矢野:俺自身すごくこだわりがあって、時間がかかってもいいからコンテンツ制作を社内でやりたかった。しかも専門のスタッフではなく営業・設計・施工管理のみんなで少しずつ。

宮澤:僕はものすごく反対しましたけどね。

矢野:不動産業界も建築業界も発信することに無頓着すぎひん?スタッフブログ書いてる会社か、全部を外部委託してる会社しか見たことないし。自分たちがプロとして誇りに思ってることをしっかり発信できる素養が絶対必要だと思って、社内でコンテンツ制作することにしたわけ。

UI/UX

松田:UI/UXについても何度も研修してますよね。

宮澤:UI(ユーザーインターフェース)とUX(ユーザーエクスペリエンス)ですね。

矢野:UI/UXってあんまり不動産・建築業界では使わないんだけど、うちでは積極的に使うよね。ユーザーにとって最適な体験(課題解決)のために、我々はサービスとユーザーの接点をどう設計するか?っていうことやねんけど、なんせ建築業界では「普通◯◯です」って言う人が多い。

宮澤:法令遵守が大前提の業種だけにそういうシーンが増えやすいですよね。

矢野:もちろん法令遵守や一般論も大切にすべきやねんけど、多くはユーザーの課題解決を本気で考えていないケースが多い印象。

ベンチャー界隈が見えて来た

SEKAI HOTELのオープン

矢野:こういったことを組織に取り入れながらSEKAI HOTELのオープンを迎えたので、自分の中のインプット・アウトプットが一気に進んで見える景色も変わった。強烈なヴィジョンを打ち出すことでとにかくファンを募る。そのファンが社員・取引先・投資家・顧客などいろんな立場でSEKAI HOTELを一緒に作ってくれた。

資金調達や広報、採用に対しての向き合い方も本当に良くなった。常に「イノベーションを起こすには」っていう視点で妥協のない判断をするようになったしね。

宮澤:矢野さんや会社を取り巻く人や環境も一気にベンチャー感出てきましたよね。

松田:メディアの露出もめちゃくちゃ増えましたよね!

リクルートってやっぱりすごい

矢野:イノベーションを起こすってことを意識し続けて毎日を過ごすようになったときにふとリクルートについてもっと知りたくなった。ちょうどそんなときに「構想力」っていう本が発売されて。

宮澤:あの本、本当にすごいですよね。経営者の中でも共通の話題になってます。

矢野:数年前にナレッジマネジメントとかを調べようと思ったときに、リクルートの「ナレッジマネジメント」ていう本を読んだんやけど、その時も「一般の社員がここまでのレベルで仕事するのか!」ってびっくりした。そこから数年経って自分もいろいろと経験したときにもう一度リクルートを調べたいって思った。

「不」の解決

矢野:リクルートは世の中にある不平等、不便、不安を解決することのに注力している。これすごいことよね。まずは必要性を探ってから実現性を考えるっていうすごく素敵な思考。リクルートは「どのくらいの売上規模を狙えるか?」もすごく重要視してるけど、クジラではひとまず「不の解決」を取り入れようって思った。

宮澤:「みんながやりたがらないことをやる」っていうのが矢野さんの口癖ですよね。

矢野:以前経営者の友達に喫茶店で「もっと現実的なビジネスやって稼ぎなよ」って言われて、喧嘩になったなぁ(笑)「誰もがびっくりするようなことやり遂げることを目的とせずに、現実的に稼ぐことを目標とするならなんでベンチャーの経営者やってるん?ハイリスクすぎひん?」って言ってしまって。

宮澤:それ友達無くすやつや(笑)

リボンモデル

矢野:そんな話は置いといて、リクルートには「リボンモデル」っていうのもある。


https://recruit-holdings.co.jp/who/reports/2018/vcp-mission.html

リクルートのサービスがカスタマーとクライアント(企業)を結ぶリボンの結び目になるっていう考え方。これはSEKAI HOTELの仕組みにも共通するところだったので、テンション上がったなー。

宮澤:SEKAI HOTELは観光地などの一等地では無い地域にソフト・ハード両方を提供できる「ホテル」という手段をもって新しいコミュニティを形成する。地域住民×観光客×SEKAI HOTELの三者で作るこのコミュニティでその町のORDINARY(日常)を体験してもらえる。



矢野:地域住民と観光客っていきなり直接コミュニケーション取るにはハードルが高いよね。でも間にSEKAI HOTELが入ることで一気にハードルが下がる。SEKAI HOTELがきっかけとなって、地域の人が一緒に観光客を迎える体制になり、観光客はその地域のディープなところにSEKAI HOTELを通じて飛び込んでいける。

矢野:つまりSEKAI HOTELはコミュニティをつくり、ORDINARYを届けることで地域の空き家問題や衰退といった“不安”を解決し、観光客が地域のディープな部分に飛び込んでいく時の障壁という“不便”を解決しているってこと。

イノベーションを目指す社風

三輪:こういった「不の解決」っていう思考を全員が持ってるってリクルート恐ろしいですね。

宮澤:基本的にイノベーション思考の人材採用を心がけているらしいからね。

矢野:リクルートって知れば知るほどバケモノやな!(笑)

でもここでもう一つ気づいて欲しいのは、SEKAI HOTELという「不の解決」は“不動産・建築業の会社が取り組んだから生まれた事例”であるってこと。

松田:「不動産・建築が変われば社会が良くなる」っていう話ですね!


>>>>第4章に続く

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