【メンバー紹介 Vol.11】 K3歴30年の女性エンジニア_K3は「大人な子供」たちが疎結合でつながる不思議な集まり(インタビュー)
今回はソフトウェア開発事業部DTP開発グループ(自社IPR領域)でEDIAN(※)の開発に30年携わってきたエンジニアのshiki(仮名)さんへのインタビューをお届けします。
ーー※EDIAN(エディアン)ーー
出版・新聞業界向け電子編集組版システムで、現在唯一の国産DTPソフト。自動処理・高速処理・大量ページ処理・表組み・多彩な組版ルールに特色を持ち、20年以上にわたって「美しい日本語組版」を実現するDTPソフトとして、業界で高い評価を得ている。
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shikiさんにK3のこと、お仕事のこと、自身のことなどなど、色々お伺いしました。
※個人情報保護のために仮名表示をしています。
<メンバープロフィール>
仮称/shiki
入社年/1996年
所属/ソフトウェア開発事業部DTP開発グループ(自社IPR領域)
コメント/
ふと気づくと30年近くK3で過ごしていました。DTPソフトの開発ひとすじです。言語はC/C++で、関連する外部ツールでC#やXSLTを使ったこともあります。
昔はUnix上でemacsを使ってコーディングし、gdbでデバッグしていました。障害の管理も手書きの紙ベース。そこからWindows上でVisualStudioを使い、独自のWebベースの障害管理システムを使うように変わりました。そして今ではソース管理をGitで行い、障害はRedmineのチケットで管理しています。同じソフトの開発をしていても、環境の進化に合わせて知識や技術のアップデートが必要になるのは、大変ではあるけれど面白いところです。現在担当している機能は主にレイアウトされた記事のエクスポート周りですね。記事をシステム外で再利用するために欠かせない機能です。
最近の趣味は卓球で、すっかり大きくなった子供(大学一年生)との対戦を楽しんでいます。
<表記> I:Interviewer、 S:shiki
K3との出会いは、ちょっと変わった面接から
I:まず、K3に入られた経緯を教えてください。
S:大学を中退し就職活動をしていたときに、大学の恩師から紹介されて面接を受けに行きました。当時、面接はスーツを着た面接官2~3名とやり取りをするとイメージしていたのですが、K3はラフな格好をした方が10名弱も出てきたので驚きました。
I:10人の面接官!それは驚きますね!昔のK3は今よりさらに「常識」や「普通」と距離があったようですが、面接官が多すぎて威圧感が出るとか、さすがに気にして欲しかったですね(笑)。今はもうちょっと常識的になっていて、基本的に面接官は2、3名です。ラフな格好は相変わらずですが。
その面接ではどんなやりとりがありましたか?
S:詳しくは覚えていないのですが、「何ができるの?」と聞かれたので、「できるとはどういう意味ですか?何の方面のどんなことを指していますか?」と聞き返して何とか答えようと食い下がった記憶があります。大学は情報系の学部ではありましたが、スキルや知識は未熟だった自覚はあるので、よく受かったなと思いました。
I:その質問も昔のK3色が濃いですね(笑)。面接官は、そうして質問(問題)を分解して理解しようとする姿勢にK3との相性の良さを感じたんでしょうね。だいぶ常識がついたので今はそんな剛速球は投げませんが、でもその辺りの価値基準は実は変わっていませんよね。
参加後のK3はどうでしたか?
S:社内の雰囲気は、朝出社すると隣のブースで技術的な論戦を交わしている一方で、のんびりと雑誌や漫画を読みながらコーヒーを飲んでいる人がいたりして、自由というか大らかでしたね。
I:それもK3らしいですね。
比較されない文化と、育つのを待つチーム
I:業務にはすぐに慣れましたか?
S:当時はかっちりした研修カリキュラムなどはなかったのですが、配属されたチームのメンバーが色々と工夫して指導してくれたお陰で何とか少しずつ仕事を覚えることができました。
ですが、最初はタッチタイピングが少しできる…というレベルだったので(謙遜)、最初は「一年後でも今と変わらなかったらどうしよう」と不安が大きかったですね。一年目の終わりには担当機能を貰えましたが、二年目になっても「あまり成長してないかも。あと二年経っても同じ調子だったら、追い出されるんじゃないか」と思ってましたね。ただ三年目くらいになって、自分が書いた資料を客観的に見られるようになり、そして仕様検討で任された箇所の差戻しの回数が少なくなったと気が付いたときに「少しは役に立てるようになったかな」と思えた気がします。
I:不安が大きかったとの事ですが、嫌になったりはしなかったですか?
S:もともと諦めの悪さとか粘り強さはありました。学生時代はテニスをやっていたのですが、素振りを真面目に工夫しながらやり続けられるタイプでした。それに加えて、比較対象がいないというか、誰かと比べられなかったのは大きいように思います。
I:比較対象がいないというのはよく分かる気がします。K3のみなさんは直線的な比較がしにくいですよね(婉曲表現)。
S:はい。私のチームでも、技術力は高いけど、取引先とのコミュニケーションには消極的だったり、いつ出社するか分からなかったり(笑)。なので、自分は焦ってはいましたが、周囲からは誰かと比べられたり、追い立てられたりするようなことはなく、「いつになったら何とかなるのかなー、でも一応ちょっとずつは何とかなっているかなー」と見守っていただいていたという認識です。「育てる」というより「育つのを待つ」という感じだったように思います。
I:確かにK3では比較するとか競争するという文化は薄いですよね。目標とする人はいても、競争相手は自分しかいないと思っている人が多いように思います。
少し話題が変わりますが、shikiさんはK3で少数派の女性エンジニアということで、その観点でもお話を伺いたいです。性別による業務上での扱いの違いがないのは言うまでもないですが、女性目線での働きやすさや感じていることを伺っても良いですか。
S:正直なところ、おかしを貰った時のリアクション以外で、K3に男女差はないと思っています(笑)。性別とか学歴とか職歴とかはK3では誰もほぼ気にしていなくて、大切なのはエンジニアとして「何ができるのか、強いのか」という能力面だけのように思います。なので、男性だからとか女性だからとかで分類されることはなかったです。
また、昔の私の指導担当で今も同じチームで働いている女性がいるのですが、その先輩から受けた影響も大きかったです。その方は、嫌なことは嫌と言いながら、いつも本当に楽しそうに、ゴリゴリとコードを書いている方です。定年を超えてずいぶん経つ今でも、分からないことはとことん調べたり、自分の担当範囲外の機能のソースコードでも気になる点があれば追っかけたり。本当にすごいなと思います。
I:かっこいい先輩社員という感じでしょうか。
S:はい、ご本人は「指導とかなんか大変そうだし苦手(にがてー)」という感じだったようなのですが、いまだに行動で引っ張ってもらっています。入社以来のメンターというか師匠というか。
I:女性エンジニアという括りもちょっとアレですが、ロールモデルになる方がいらしたのですね。
育児とキャリアの両立を支える柔軟性
I:shiki さんは出産・育児も経験されていますが、仕事と育児の両立という観点ではどうでしたか?
S:子育てをしながらフルで働けているのは、K3の柔軟な勤務制度があったからです。特に子供が小さい頃は出社・退社時間の調整ができた点はとても助かりました。ラッシュも避けられるので体力的にも全然違いましたね。少し逸れますが、そもそもフレックスではなかったら子育て関係なく通勤が辛すぎて挫折していたかも…(笑)。
とはいえ子供が小さい頃は、自主的な勉強や自分の業務範囲外の部分の深堀などはなかなかできませんでした。これは育児中の方はあるあるだと思いますが。そして子供の病気が大変でしたね。赤ちゃんの頃に入院したり、アトピーで通院が必要だったり、高校生になってもいろいろと病気したりで。
I:看病でのお休みなどの間、周囲の方の反応はいかがでしたか?
S:基本的に家庭優先でというスタンスでサポートしてくれました。「この日にリリースあるけど状況はどう?」と聞いてくれて、それを踏まえて業務の振り分けも調整してくれて。入院などで急遽不在にした時もあったのですが、簡単な引継ぎメモだけでどうにか対応してもらったこともありました。
そういう時のチームの方々の反応からは、器の大きさとか余裕を感じました。
「大人な子ども」たちがつくる職場文化
S:少し話がずれるかもしれませんが、K3の人たちは「大人な子ども」という感じです。あくまでイメージですが、大人なのに心もせまいし、周りのいやがるようなことを嬉々として言ったりするのが「子どもな大人」です。「大人な子ども」はその対極で、子供の心のままに大人の常識を身につけた人かな。「わがままを言っています」といいながら自身の考えや希望をしっかり主張し、同時に他者への配慮ができるような人です。K3には「大人な子ども」な方が多い印象ですね。これは結構世の中的には不思議みたいで、息子の友達のお父さんやお母さんからは「難しいことやってそうだけど、何か余裕あるよね。」と言われます。
I:「大人な子ども」…わかります。
S:ですよね。メンバー同士の距離感も独特というか、良い意味での「疎結合」です。ゆるくつながっている感じですね。
I:「疎結合」…それもわかります!今日お話を伺って、K3では定年を超えてもなおゴリゴリとコードを書いているエンジニアが多い理由がさらにクリアになった気がします。
まだまだ聞きたいことはあるのですが、今回はこの辺で。貴重なお話ありがとうございました!