「この仕事、面白い」と初めて思った瞬間を覚えているか——そう聞くと、ほとんどのディレクターが具体的なエピソードを話してくれる。
その瞬間は人によって違うが、共通しているのは「自分の言葉や行動が、何かを動かした」という経験だということだ。
ヒアリングで課題の核心を突いた瞬間
あるディレクターは、こう話す。
「クライアントと3回目のヒアリングをしていたとき、ふっと『あ、本当の問題ってここじゃないですか?』と聞いたんです。そうしたら相手が『…そうなんです、ずっとそれを言えなかったんですよ』って。その瞬間、あ、これが仕事か、と思いました」
表面の言葉の下にある本音を引き出した瞬間。その経験が「聞く仕事の面白さ」を教えてくれた。
設計したシステムが「使われている」と知った瞬間
「リリースから半年後に、クライアントの現場に行く機会があって。スタッフの方が自分たちが作ったシステムをさらっと使っているのを見たとき、なんか泣きそうになりました」
日常の中に溶け込んでいる。誰も「このシステムのおかげで」と意識せず、当たり前のように使っている——その「当たり前」になっていることが、最大の成功の証拠だ。
チームが「勝手に動いた」瞬間
「ある日、自分が指示していないのに、エンジニアがクライアントにとって良い判断を自分でしていた。プロジェクトの目的を理解して、自分で考えて動いていた。あのとき、ディレクターってこういう仕事か、とはじめてわかった気がしました」
チームが自分の言葉を超えて動く——それを生み出せたとき、ディレクターとしての仕事が一段深くなる。
その瞬間が来るまで
「面白い」と感じる瞬間は、最初から来るわけじゃない。
最初の半年は、正直しんどいことの方が多い。でも、諦めずに続けた先にその瞬間がある。
そしていったんその感覚を知ると、また次の「あの瞬間」を求めて仕事に向かえるようになる。それがディレクターという仕事を続ける燃料になる。
「面白い」はもらうものではなく、作るものだ。その作り方を、この仕事は教えてくれる。