「飽き性だから、ひとつの仕事を続けられるか不安」という人が、ディレクターに向いていることがある。
受託開発のディレクターは、毎回違うプロジェクト、毎回違う業界、毎回違う課題と向き合う。「同じことの繰り返し」に飽きやすい人ほど、この仕事の変化を楽しめる。
毎回、新しいことを学ぶ
あるプロジェクトでは、冷凍食品メーカーの在庫管理を学んだ。賞味期限の管理がいかに複雑か、ロットごとの追跡がなぜ必要か——システムを設計するために、食品業界の基本を理解する必要があった。
次のプロジェクトでは、放課後等デイサービスの管理システムを担当した。福祉サービスの請求体系、加算の仕組み、支援計画の作り方——ここでは福祉行政の知識が必要になった。
そのまた次は、建設会社の現場報告アプリ。写真と位置情報の紐づけ、職人と現場監督のワークフロー、行政への提出書類——建設業界の現場リアルを学んだ。
どれも、最初は「なんでそうなってるの?」という疑問から始まる。その疑問を解消していく過程が、純粋に面白い。
知見は「使い回せる」
業界をまたいで積み重ねた知見は、意外なところで活きる。
「食品業界の在庫管理で学んだこの考え方、医薬品の管理にも使えるな」「福祉の請求システムで覚えたこの構造、保険業界にも似たパターンがある」——そういう横断的な発見が、新しいプロジェクトの提案を豊かにする。
ひとつの業界を深掘りする「縦の知見」と、複数の業界をまたぐ「横の知見」。その両方が積み重なったとき、ディレクターは「業界を超えた問題解決者」になれる。
「知っている人」になる喜び
知見が積み重なると、会話の質が変わる。
クライアントが「うちの業界は特殊で……」と言い始めたとき、「実は似た課題を別の業界で経験していて」と返せるようになる。その瞬間、クライアントの目が変わる。「この人は本当にわかってくれそうだ」という信頼感が生まれる。
信頼があれば、本音の課題を話してもらえる。本音がわかれば、本当に解決策を作れる。
知見は、信頼の源泉だ。
好奇心がある人ほど伸びる
ディレクターとして長く働いている人に共通しているのは、「知ることへの欲求」が強いことだ。
「なぜこの業界はこうなっているのか」「この業務フローはどこから来たのか」——仕事として聞いているつもりが、純粋に面白くなってしまう。
その好奇心が、プロジェクトを超えた価値を生む。「仕事だからやっている」ではなく「面白いからやっている」——そのモードに入れる人が、この仕事で長く輝く。