何もないところに、プロジェクトが生まれる。
最初はぼんやりとした「課題感」しかない。「業務が非効率だ」「情報が散らばっている」「現場が混乱している」——そういう言葉の集まりだ。それをヒアリングして、整理して、「では、こういうシステムを作りましょう」という提案に変えていく。
その過程が、好きだ。
「課題」はそのままでは解決できない
クライアントが最初に持ってくる課題は、たいていふわっとしている。
「うちの管理システムを刷新したい」と言われても、何をどう刷新するのかはまだわからない。「もっと使いやすくしたい」は、誰にとって、どういう操作が、なぜ使いにくいのかが抜けている。
ディレクターの仕事はまず、この「ふわっとした課題」を解像度高くすることだ。
何回もヒアリングして、現場を観察して、「本当に困っているのはここだ」という核心を見つける。その瞬間、霧が晴れるように課題の輪郭がはっきりする。
ゼロイチの地図を描く
課題が明確になったら、次は「どう解決するか」の地図を描く。
どんな機能が必要か。どういう順番で作るか。どのタイミングで誰に確認を取るか。予算と期間のバランスをどう取るか。
これは正解がない作業だ。同じ課題でも、解決策は何通りもある。クライアントの規模、予算、社内のITリテラシー、スケジュールの制約——それらを考慮しながら、「このクライアントにとって最善の形」を選んでいく。
その判断の連続が、プロジェクトの設計だ。
動き始めたプロジェクトが持つ「熱」
提案が通り、プロジェクトがキックオフする瞬間がある。
エンジニアとデザイナーがチームに加わり、週次ミーティングが始まり、最初のプロトタイプができる——その「動き始め」の熱量は独特だ。
「これが形になっていく」という感覚。自分がゼロから設計した地図の上を、チームが動いている。それが実感できるのは、立ち上げを担ったディレクターだけだ。
「次もお願いしたい」という言葉
プロジェクトが終わったとき、クライアントから「次もお願いしたい」と言われることがある。
それは単なる受注の話ではない。「あなたたちと一緒に考えることで、自分たちが気づいていなかった課題が見えた」「このプロセス自体に価値があった」という評価だ。
立ち上げから関わり、形にして、届けて、また次の課題を一緒に探す——そのサイクルが回り始めたとき、ディレクターの仕事は「受託」を超えた何かになっている。