「ディレクターって、具体的に何をしてるんですか?」
よく聞かれる。パソコンの前で何かをしているのはわかるが、コードを書いているわけでも、デザインを作っているわけでもない。では何をしているのか。
実際の1日を追ってみる。
午前:情報を整理して、チームを動かす準備をする
朝、最初にやることはメールとチャットの確認だ。
クライアントから昨晩届いたフィードバック、エンジニアからの技術的な質問、デザイナーからの確認依頼——それぞれに返答しながら、今日の優先順位を決める。
10時からチームのスタンドアップミーティング。15分程度。「昨日やったこと・今日やること・詰まっていること」を全員が共有する。ここでディレクターは「詰まっていること」を拾うことに集中する。詰まりを放置すると、後でまとめて返ってくる。
午前中の残り時間は、ドキュメント作業が多い。クライアントへの提案書、次の開発フェーズの仕様書、先週の議事録の清書——「書く仕事」は思ったより多い。
午後:クライアントと話し、チームと話す
午後はミーティングが増える。
週2〜3回はクライアントとの定例がある。進捗の報告、仕様の確認、次のフェーズの方向性のすり合わせ。ここで大事なのは、「報告する」ではなく「一緒に考える」場にすることだ。クライアントが迷っていること、気になっていることを引き出して、プロジェクトをより良い方向に動かすヒントにする。
ミーティング後は、そこで出た決定事項や変更点をチームに伝える。何がどう変わったのか、理由も含めて共有することで、エンジニアやデザイナーが「なぜこうなったのか」を理解しながら動ける。
夕方:翌日の準備と、細かい詰め作業
夕方は比較的静かな時間になる。
クライアントへの確認事項をまとめ、翌日のミーティングの議題を整理する。仕様の曖昧な部分を発見したら、今日中に確認を取る。明日に持ち越すと、エンジニアが朝から止まってしまう。
また、この時間にプロジェクト全体の進捗を見直す。スケジュールに対して今どこにいるか、リスクはあるか、リソースに問題はないか。毎日少しずつ確認することで、大きなズレを未然に防ぐ。
「決める仕事」が多い
1日を通じて気づくのは、「決める仕事」が多いことだ。
仕様の解釈が複数あるとき、どちらをとるか。スケジュールが押してきたとき、何を削るか。クライアントの追加要望を今受けるか、次フェーズに回すか。
これらの決断の多くは、「正解」がない。情報が不完全な中で、今ある材料で最善を選ぶ。それを積み重ねることが、プロジェクトを前に進めることだ。
「決断することが苦にならない人」が、ディレクターとして長く続く理由がここにある。