前回の記事で紹介したJ・Grip初の新卒社員M氏とT氏の先輩社員であるK氏。彼女は、J・Gripで主に映画PRの業務を担当している。彼女がJ・Gripに入社するに至った経緯と、日々の業務、そしてこれからの展望についてインタビューした。
J・Grip入社に至るまで
Q.J・Gripに入るまではどんな仕事をされていたのですか?
「大学を卒業して4年間、地方で住宅メーカーの営業をしていました。卒業した大学が東京だったので、仲間や土地が日に日に恋しくなり、東京で働きたい気持ちが強くなったことで退職しました。」
Q.プランニング部で現在の業務をするようになった経緯を教えてください。
「現在のプランニング部の先輩社員であるYさんに紹介されたことがきっかけです。というのも、Yさんは私が卒業した大学のサークルの先輩だったんです。東京に戻って仕事がしたい、という気持ちに加え、私は元来映画が好きで、“いつか映画のエンドロールに自分の名前を載せたい”という漠然とした夢がありました。その思いをYさんに打ち明けたところ、J・Gripを紹介してもらったんです。」
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実際にJ・Gripで働いているY氏から薦められたからこそ、J・Gripへの入社を決意したK氏。昨年の12月に入社したばかりだが、多忙を極める日々のPR業務に揉みに揉まれ、その腕を磨いている。
では、日々の映画PRの業務とは、実際にどんなことをしているのだろうか。
映画PRの業務内容
Q.試写会や取材で社外にいらっしゃることが多いイメージですが、終日社内にいるときはどんなタイムスケジュールなのでしょうか?
「出社したらまず、媒体からのメールを確認します。媒体とは、プランニング部でPRを請け負っている映画の、情報掲載の依頼先であるメディアのことです。メディアと言えば新聞、雑誌、テレビなど様々ありますが、ここでは主にウェブの記事メディアです。
次に、取材の刈り込み状況を確認します。刈り込みとは、映画に関する取材に来てくれるプレスがどれほど集まったか、重要なメディアは参加してくれるのかといった確認です。
他には、ウェブ媒体向けのリリース作成や、映画のSNS投稿内容を考えたりしています。
大まかな流れはこのような感じですが、PR業務は毎日することが更新されていくので、ルーティンのようで、そうではありません。例えば、一度に複数の作品を担当する場合、作品によって業務の順番が変わることは日常茶飯事です。
どの業務においても言えることだと思いますが、PR業務は特に、臨機応変かつ素早い対応が必要とされるなと感じています。」
Q.過去最多で、一度に何作品を担当しましたか?
「7~8作品くらいですね」
Q.かなり多い気がするのですが、大変ですか?
「確かに大変ですが、急ピッチで進めなければならない作品や、余裕をもって内容を詰めていける作品など、作品ごとにスピード感が違うことがほとんどですので、部内でチームプレーが出来ていることが重要だなと実感しているところです。」
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落ち着いた雰囲気のK氏だが、映画を語る際に垣間見える情熱が、彼女のPR業務に対する気合を感じさせる。
そして、去る5月28日には、今まさにPRを担当している作品のイベントが開催された。
Q.イベントでの業務内容を教えてください。
「今回行われたイベントは、試写会の一種です。一般のお客様とマスコミ各社を招き、作品を鑑賞後、キャストが登壇されて、トークをするといった流れです。私たちは受付やマスコミ対応、取材の仕切りをします。また、このようなイベントはキャスト陣の一斉稼働を確保できる日でもあるので、取材も同日に行います。取材は、キャスト陣のスケジュールによって、イベントの前にするか後にするかが決まります。イベント前の場合早ければ朝から取材をしますし、後の場合はイベントの終了時間によって変動します。イベントが18時スタートなら、取材は21時ごろを回りますね。」
Q.取材とイベントの間が大きく空くこともあると思いますが、スケジュール管理はどうされていますか?
「おっしゃるとおり、イベント自体が夜でも取材が朝からですと、丸一日社外での仕事になります。空いた時間に仕事することは可能ですが、常にイベントの動きを見ている必要があるので、集中して一気に仕上げなければならないような作業は社内でできるように、業務管理を心がけています。
また、イベントと取材終了後には即、そのイベントの内容をまとめたオフィシャルレポートを仕上げて、素早く媒体へ展開しなければなりません。イベントは芸能人に会うことが出来てわくわくするだけでなく、同時にとても大変ですので、毎回気を引き締めて臨んでいます。」
Q.1作品の案件に携る時、映画公開までどれくらいイベントがありますか?
「取材、完成披露、公開初日舞台あいさつなどが主なイベントです。公開後でも「大ヒット御礼舞台挨拶」といったイベントが開催されることもあります。また、作品によってもオリジナルイベントが開催されることもあります。」
Q.オリジナルイベントとはなんでしょうか?
「例えば、ホラー系の映画が10月に公開される場合、旬の芸人さんやタレントさんをキャスティングしてハロウィンにちなんだイベントを開催したりします。キャスティングもJ・Gripで行うことが多いですね。人気のタレントさんはスケジュール競争が激しいので、キャスティングは、一分一秒の戦いです。」
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前回の記事でT氏が答えていたように、媒体への掲載交渉も一分一秒の戦いである。このようにスピード感が重視されるPRにおいて、K氏はどんなことにやりがいを感じているのだろうか。
Q.どんなことに一番のやりがいを感じますか?
「PRという業務だからこそ気づけた作品の魅力や、伝えたい見どころがたくさんあることです。この仕事をしていなかったら見過ごしていただろうな、という作品に出逢えたりするのは、仕事の醍醐味の一つですね。それに加え、きれいな女優さんやカッコイイ俳優さんなど、芸能人の方を間近で見られることは、単純にすごくテンションが上がります。正直な話、これも大きなやりがいのひとつですね。」
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意外にミーハーな一面を見せたK氏。筆者はまごうことなくミーハーなので、正直とてもうらやましい限りである。
今後について
Q.現在の業務における目標はありますか?また、今後携わりたいと思う業務はありますか?
「現在の業務において大きな目標は、映画のPR案件を自分の力で契約してくることです。そのための日々の目標としては、初歩的なミスやタスク漏れを防ぐこと、そして、新人社員をしっかりハンドリングできるようになることです。」
Q.最後に、M氏とT氏に対して、一言ずつ激励の言葉をお願いします。
「M君は主に広告や制作のコンサルティングをしているので、一緒に仕事をすることは多くはないのですが…。新入社員なのに全然フレッシュじゃないけど、その分とても頼りがいがあると思います。一緒に頑張りましょう。」
「T君は、まだまだ初めてのことばかり、分からないことばかりだと思うけれど、一生懸命さは伝わっています。私も精いっぱい頑張るので、共にやっていこう!今度飲みに行こうね。」
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K氏は「J・Gripの前に社会人経験を積んでいたから」というだけでなく、非常に落ち着いていて頼りがいのある人物であるため、入社してまだ半年しか経っていないことを忘れそうになる。入社したからには社歴に関わらずプロ意識を持つことは当然ではあるが、早くも後輩を持つことになったK氏は、「先輩社員としての自覚とスキル」もこれからの目標として掲げているようである。
クールな雰囲気とは裏腹に、熱き向上心を持つK氏。
彼女自身が映画配給会社から契約を取り付ける「プランニング部の看板」の一人として羽ばたく日も、そう遠くはないだろう。
~fin~
番外編
筆者も映画好きであるため、今回の取材の最後には、番外編としてK氏と映画について語り合った。
Q.案件に関わらず、一番好きな映画は何ですか?
K氏「ジョセフ・ゴードンが好きなので彼の映画は基本的に全部好きです。一番は「500日のサマー」です」
Q.子犬のような目がたまらないですよね。500日のサマーはどんな映画ですか?
「小悪魔的なかわいい女の子に翻弄され続ける男の子の話です(笑)」
Q.あ~好きです
「何も考えずにぼ~っと見てられるジャンルが好きなんです。」
Q.分かります、私も一番好きなのはメグ・ライアンのロマコメです。
「そうそう、結局はね~。考えさせられる系とかアカデミー系ももちろん好きだけど、一番ではない」
Q.そうなんですよね。一番はやっぱり、さらっとみられてニヤニヤできるのがいいんですよね~
「あとね、ジョセフ以外だとね・・・」
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K氏も筆者も映画は多く見る方である。だが一番すきなのは、何も考えずにみられる、娯楽としての作品なのだ。
この会話が取材の本題よりもテンポよくそして長く続いたことは、ここだけの秘密である。