みなさんおはようございますこんにちはこんばんは!🌞🌜本日もHEROZのストーリーへお越しいただきありがとうございます!
HEROZ株式会社で採用担当の「サンペイアヤノ」です。
さて、今回はHEROZのスーパーAIエンジニア「山口祐さん」にお話をお伺いしました!
山口さんと言えば、2月17日(水)に開催した第1回HEROZエンジニアトークイベント「将棋AIにおける深層強化学習の最新動向をHEROZトップエンジニアが語る」に川島馨さんと一緒に登壇!
HEROZ CTO井口さんがモデレーターを務め、ご参加いただいたエンジニアさんたちにも大いに盛り上がっていただけるイベントが開催できました!
((イベントの模様は近日公開予定です!😉💪お楽しみに~!))
皆様にお届けしたい内容があふれていますので今回のインタビューは2部構成の超大作!今回は前編をお届け!山口さんがプログラマーの道を選んだきっかけとは果たして・・・?
―それでは山口さん、まずはHEROZでの担当業務について教えていただけますか?
(山口さん)はい、私は現在AIエンジニアとして働いています。担当している分野としては金融業界ですね。金融業界を対象としたBtoB領域の開発案件に携わっていて、具体的にはアルゴリズムの開発だったり、深層学習モデルの設計・学習、それらを使った予測システム開発・運用を担当しています。
☖山口祐さん
2020年8月HEROZ入社。
HEROZ入社前は産業技術総合研究所や米NISTで光計測の研究に従事。2018年からフリーランスの機械学習エンジニアとして独立し、囲碁AI・金融・医療・材料などの分野で深層学習関連の研究開発を携わる。世界囲碁AI選手権3位/第2回世界AI囲碁オープン準優勝/第28回世界コンピューター将棋選手権準優勝と数々のAI関連大会で好成績を残している。
現在は主に金融業界を対象にAIエンジニアとして時系列予測などの深層学習モデルに関連した研究開発中。
▼スーパーAIエンジニア対談はこちら!
(山口さん)実際にこれから入社される方も個々人のバックグラウンドで担当領域は変わってくるかと思いますが、私はフリーランスのエンジニアを2年やっていて、その時に受けていた案件が多種多様でした。建築関係・医療関係・金融関係など・・・いろんな案件を手掛けてきたので、どんな案件でも貢献できるんじゃないかなと思ってHEROZには入社しましたね。
―そうなんですね!入社の経緯はまた後ほど聞かせてください!
#生い立ち。
―山口さん、さっそくなんですけど生い立ちからお伺いしたくて(興味津々)・・・幼少期から聞いてもいいですか?
(山口さん)幼少期かぁ、あまり話したことないけれど・・・小さい頃は実はあまりコンピューターには興味なかったんです(笑)
―ええ!!(インタビュー早々に衝撃、その①)
(山口さん)割と本をよく読む子どもでした。その中でもサイエンス系の本を好んで読んでいた記憶があります。特に、今でもバイブル的に持っているのはファラデーという人が書いた『ロウソクの科学』という一冊で、それを小学生の時に読みました。内容はファラデーが子ども向けに授業した内容を書籍化したという科学の名著です。
ノーベル賞を受賞した吉野彰さんの原点としても有名な1冊です
(山口さん)ロウソクの炎がどういう仕組みであの形なのか?風がないときにどう変化するか?など、非常に興味深い自然現象について書いてあって、それを読んでこれはすごいなと素直に思って。小学生の時はサイエンティストになりたいという憧れがありました。
ロウソクの燃焼反応って化学反応なんですけど、結局大学に入って化学を専攻することになりました。大学~大学院といろいろ研究しているうちに研究自体が面白くなって、大学院卒業後にはつくばにある産業技術総合研究所に入所しました。小さいときに漠然と面白いと思っていたものが、その延長で大学院も卒業して、その次のキャリアに繋がっていきましたね。
―小学校の時から憧れていたものが自分の中での揺るがないもの、目標になって、その後のキャリアまでも作っていったんですね。
(山口さん)小さいときに持っていた目標が大きくなった時の選択肢に影響を及ぼすことって結構あると思いますね。研究所に入ってからは光を使った技術の研究をしていたのですが、例えばその中でも「炎」を対象にしたレーザー計測など研究していました。自分自身でも小さいときに影響を与えたものが巡り巡って自分の研究になっていたことは、すごく興味深い経験だと思っています。
#プログラマーを意識したのは「機械音痴だった友人」がきっかけ。
―それで・・・エンジニアへのきっかけってどこにあったんですか?
(山口さん)さっきお話したようにコンピューターには本当に興味なくて、大学・大学院に進学してもそれは変わらずでした。大学の時にサークルの友人が急に「俺は明日からプログラミングで生きていく!」って宣言しまして。その当時は今みたいにプログラミングの人気もそんなになく、情報系学部も人気は高くありませんでした。
そんな中で「プログラミングで生きていく」と宣言していてそういう生き方もあるのかな、と考えるきっかけになりましたね。その友人、「山本一成」って言うんですけど。当時の一成さんってプログラムどころかパソコン操作もおぼつかないくらいだったんです。
―ええええ!!!!(衝撃、その②)
(山口さん)一成さん、結構頑張ってプログラム書いていて、プログラミングって頑張れば書けるようになるんだな、というのは頭の中にありましたね。(笑)
えっとー・・・このお方がパソコン操作おぼつかないとは・・・
#サイエンティストからプログラマーへ転身するほどの大きな衝撃とは。
(山口さん)そんなエピソードはあるんですが・・・結局学生時代はコンピューターは触らずに過ごして、研究者になってもまだコンピューターには一切触らずでした。さきほど「炎」の話をしましたが、レーザーや測定器を使ったり実際に手を動かして、実験する日々でした。
じゃあなんでプログラミングを始めたか?というと、2016年に「AlphaGo」という囲碁プログラムが出てきて、それが非常にセンセーショナルな出来事で人間より強いと話題になりました。当時は深層学習・AIがこれから盛り上がるかも?くらい感じでしたが、その流行を決定づけた大きなイベントだったんですよね。
―なるほど。(川島さんの将棋AIも「AlphaGo」だったな・・・AlphaGoってすごいんだな・・・)
(山口さん)その「AlphaGo」が科学雑誌の『NATURE』で発表されて、表紙を飾ったんです。『NATURE』は日本時間の早朝に更新されるんですが、朝6時くらいに同僚から「Googleがすごいことをやったらしい!」とメールが来て、ほんとかよ?と思ってすぐ読みました。本当にすごいなと思って、その日は分野は違えど、その論文を読み耽って仕事を満足にしなかった記憶があります(笑)
それくらい衝撃でした。そこからプログラミングに対して「こうしたら面白いんじゃないか?」という興味と、論文の内容も平易に書かれていたので自分でもできるのでは?という興味の2つがきっかけではじめました。
―結構大人になってからプログラミングを始められたんですね!
(山口さん)そうですね、27~28歳くらいで始めました。HEROZのエンジニアだったら1番遅いスタートかも。最近はソフトウエアエンジニアだと早い人だと中学生・高校生くらいでプログラムをある程度触ったことのある方が多いと思いますが、そういった意味で言うと例外的に遅いタイプかもしれないですね。社会人になってからプログラミングを始めた方でも、研究を重ねれば結果が出せるといういい例かもしれません。
―素晴らしいです!「AlphaGo」って改めてそんなにすごいんですね・・・!
(山口さん)かなりすごいことですね。週1回しかイシューが出ないので、年間でも50回。そもそも、『NATURE』に論文が掲載されるだけでもすごいことなんです、私が研究者だった頃は『NATURE』に掲載される論文は1本で15本分と言われるほどで・・・すべての科学分野のトップレベルの成果が載る雑誌で表紙を飾るというのはさらにトップの成果を出しているということの証でした。
現代科学のコンピューターサイエンスが一流の科学雑誌でトップの成果として認められるのはそれまでそう多くなかったんです。そんな中で『NATURE』という昔から脈々と続く「自然科学」がメインで載っている雑誌に、「AlphaGo」がすべてのサイエンストピックの中で一番になったことは深層学習をさらに盛り上げるきっかけになり、その後のAIブームをけん引する出来事だったと思います。
#やりたいことに「遅い」も何もない。成果を作ったのは過去の経験から。
―では、ここから実験の日々から離れプログラマーを志したお話もお伺いできればと。
(山口さん)その「AlphaGo」がきっかけで囲碁AIプログラムを書き始めたわけなんですけど、論文を読みながらディープラーニングの勉強を始めてみたものの、当然分からないわけじゃないですか・・・何とか形になったのが1年後くらいでした。そこから囲碁AIのいろいろな大会に出るようになりました。ディープラーニングの領域では主に中国で世界大会が開催されていてそこに出場していましたね。
どんどん好成績出せるようになって、自分の技術力にもある程度の水準であるという自信がつきました。取り組んでいるうちにプログラミング・エンジニアリングも楽しくなってきて、もちろん研究所での研究も面白かったんですけど、素朴にコンピュータ分野に新しく取り組んでみるのも面白そうだなと思って挑戦する決意をしました。
―そこからフリーランスのエンジニアに?
(山口さん)はい。7年所属していた研究所を退所し、2018年からフリーランスエンジニアとして活動をし始めました。エンジニアよりも研究者としてのキャリアの方がまだまだ長いです。エンジニアとしてもっとキャリアを積んでいきたいという気持ちです。
―フリーランス時代はどのように活動していたんですか?
(山口さん)自らいろんな人に会いに行って営業もしていましたよ。それ以外ではご紹介していただいたり、ツイッター経由だったり、ホームページへのお問い合わせだったり・・・依頼を受けて開発をしていました。個人活動なのでそんなに大規模な開発には多くなかったですが、それでも月に何件か並行して開発していました。
―2018年には囲碁AIの世界大会で準優勝など、素晴らしい成績を納められていますよね!
(山口さん)その当時はまだ今ほどボードゲームAIのディープラーニングの手法は確立されてなくて、どのチームも手探り状態だったんですよね。私はプログラミング技術は高くなかったんですけど、その手探り状態だったボードゲームAIの開発に実験科学としての手法(仮説を立てて実験を行い、結果の検証・改善をするというサイクルをひたすら繰り返すのが基本。)を持ち込んで応用していました。
私、学生時代から実験ノートを手書きすることを好んで続けていて、それは今でも続いているんですけど・・・
―手書きで!?
(山口さん)そう、手書きで(笑)。エンジニアさんはテキスト・キーボードでメモをするイメージありますよね。手書きのいいこともいくつかあって、あとですぐ読み返せたり、ちょっとしたこともメモしやすいので実験結果は紙に残していました。そういった科学実験的で、ある意味アナログな手法を持ち込んで試行錯誤した結果、他の企業のソフトウエアにも対抗できたのではないかと今では思いますね。
世界大会準優勝のメダルとトロフィー。
囲碁AI発表の衝撃に圧倒され、ゼロからプログラミングを始めて1年でなんとか形に。そして早々に大会出場。そしてそして世界大会で準優勝を成し遂げた山口さん。
後編ではサイエンティストからプログラマーの道を選択した山口さんのその後についてお話聞いちゃいます!すぐお届けしますよ!どうぞお楽しみに!
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