採用初心者の人事担当が、『中途採用の定石』(今啓亮, 2023)をバイブルに、一冊丸ごと実践していく採用ストーリー。今回は、「4つの観点で自社の魅力を言語化しよう」その③です。
採用活動を成功させるには、会社に魅力を感じてもらうことが肝要。偏りなく自社の魅力を引き出せるよう、4つの観点から、FRDジャパンの魅力とは何なのか、考えていくワークの3つ目の観点は「業務内容と待遇の魅力」です。
どんな業務をしているの?
もちろん募集しているポジションによって業務内容は変わりますが、会社として目指している「海に依存しない閉鎖循環式陸上養殖の産業化とグローバルな食のサステイナビリティへの貢献」にかかわる仕事であることに違いはありません。その目指す姿に対して、2018年から2023年までは、実証実験段階でしたが、2023年からは商業化に向けて大きく動き出しているフェーズになります。わかりやすく、養殖部とエンジニアリング部の仕事を少しピックアップしてお伝えしましょう。
養殖部では、ファーミングプランを立て、その計画通りに魚を生育することが大切な業務。体重測定や魚の状態、死魚の数、水質分析など、あらゆる角度から、うまくいっているならばその理由は何か、何か問題があればその理由は何かを明らかにしていきます。常に富津にできる次のプラントのことを考え、いつまでに何をどんな状態にしておけばよいのか、自分たちの今の仕事は、次のプラントに置き換えるとどうあるべきかを常に頭において仕事をしています。
何が原因かわからない魚の不調があるときは、様々な仮説を立てて対策を一つずつ実行し、効果があればそれを次の世代に生かすことができるようにノウハウとして蓄積していきます。社外のデータアナリストや、研究者の方と意見交換をする機会から新しい目線が見つかることもありますし、データ分析をする中で、問題に対する相関関係のあるデータを発見できることも。そんな時は一歩前に進んだ・・!と会社全体にポジティブな空気が生まれます。
そんな日々の仕事すべてを総動員した結果が「サーモン」で、そこに一番近くから関わることができるのが養殖部のメンバーになります。その分、プレッシャーももちろんありますが、うまくいったときの喜びは格別です。
エンジニアリング部は、目下「富津プラントを計画通りに作る」ことに全集中。ただ作ればいいわけではありません。サーモンの予定出荷数量をしっかりと育て上げることができるプラントを、予定通りのスケジュールで、予定通りの予算で建てなくてはなりません。
海外からの調達機器の数々、土木工事・建屋の工事・機器の据え付け・配管・水道・電気工事など、数十社との契約がすべて契約通りに進んでいるか、工事の日程がずれ込んでいないか、調達機器の輸送はうまくいっているか、輸入貨物は瑕疵なく到着したか、海外で製作した機器は図面通りに仕上がっているか、、、それらを10名ほどのメンバーで滞りなくマネジメントしていきます。海調達機器に不具合がないか確認に海外出張に飛ぶメンバーもいれば、海外にある陸上養殖設備のオペレーションを学びにいくメンバーもいます。
それぞれのメンバーが自分の持ち場の仕事をプロフェッショナルにこなしていくことはもちろん、それらが複雑に連携しあって初めてうまくいくこのプロジェクト。こちらも、うまくいったときの達成感は言葉にはしきれないものがあると思います。まだ会社の規模も小さく、このプロジェクトに魅力を感じて入ってきたメンバーばかりなので、やりたい仕事に関われていることが働くうえでの大きなモチベーションになっています。
そしてもちろん、それらを支えるのは経理業務であったり、私のようにこれから働く人を採用したり働く人の環境を整えたりする管理部の業務だったり、できた魚を「売り切る」という欠かせない存在である営業部の仕事であったり。ここについても、今急拡大のフェーズにあるので、システムの選定・人事制度の導入・長期採用計画の策定・広報マーケティングなど、一から新しい仕組みづくりをするチャンスは豊富にあります。
気になる待遇は?
2018年から実証実験を開始してから約5年。実証実験中は、大幅な社員数の増加はありませんでしたが、2023年に富津プラントの建設が決まったことで、プラント建設の知見があるエンジニアやプロジェクトマネジメントができる社員の採用が急ピッチで進みました。そんな背景から、会社で一から育てていくというよりも、今会社が必要としているスキルがある人を採用するという側面が強く、2024年には現在の総社員数の1/3にあたる11名の社員が入社しました。
新卒採用の数は多くなく、キャリア採用の社員が大多数を占めてきたため、会社が目指すビジョンと社員それぞれのキャリアアップの足並みがそろうような人事制度が整っていませんでした。ですが、一気に大きくなっていく組織を社員みんなでしっかりと成長させていくには、社内で共通の評価軸と基準に基づいた評価がなされ、待遇に結びつく制度が必要だという考えから、2024年10月に人事評価制度を改定しました。
大手企業によく見られるような年功序列の考え方ではなく、本人が発揮した貢献度や行動によって1年間の評価が実施され、等級に反映されます。年始には、事業計画に基づいて定められた所属部署の目標の中から、自分がその年に取り組みたいこと・取り組むべきことを目標として定め、上長と目線合わせをしっかりと行います。月に1度の1 on 1を通して、進捗状況の確認や軌道修正を行い、個人が力を発揮することで組織としての大きな目標を達成していきます。
また、働き方に関しても、どうしても現場にいなければならない人はいますが、子育て世代が多く在籍していることもあり、保育園のお迎えの時間にあわせて働く時間を調整したり、都合によってリモートワークを取り入れたりと、チーム内での情報共有のもと、臨機応変な働き方をしています。
いかがでしょうか。
少し、FRDジャパンの業務内容がイメージできるようになったでしょうか?人事制度面では、まだまだ改定の余地がたくさんある段階で、すべてが整っていて社員の満足度が120%!というわけにはいかないのが現状で、そこも人事の担当領域となってきます。どの部署に関しても、お膳立てされた環境とはいえませんが、FRDジャパンの事業の将来性を感じ、共に切り拓いていきたい!と思ってくださる方には、とても良い環境だと思います。(私はそういう思いで入社しました。)
同じ思いの方と出会えることを、楽しみにしています!