※この記事は、株式会社エブリーのオウンドメディア「every.thing」にて2019年12月24日に更新されたものです。(https://everything.every.tv/1224-2/)
濱田 有
DELISH KITCHENカンパニー メディア企画部 メディア企画グループ
国際学院高等学校で調理師の資格を取得し、東京農業大学 管理栄養士専攻を卒業。その後管理栄養士として就職。社員食堂、ファミリーレストラン、空港ラウンジ、カフェ、ホテル、有料老人ホームなど多様な食シーンに携わり、通常の食事からパーティーメニューなどの考案、調理を経験。2017年2月エブリー入社し、現在はDELISH KITCHENにて「簡単・時短のおかず」などその時のシーンや気持ちに寄り添ったアイディアとレシピの発信を目指し活動している。
▼DELISH KITCHEN フードスタイリスト一覧ページ
https://delishkitchen.tv/food-stylists/81?page=31
DELISH KITCHENの全レシピは、「食」のプロである管理栄養士などの資格を持ったスタッフの手で作られたものです。ユーザーの皆さまにも、お伝えしていくことでサービスの安心感や信頼性を高めていきたいという思いから、レシピ考案者の情報が公開されるようになりました。サービスのコアとも言えるレシピを支えている彼女たちの思いとはーー「DELISH KITCHEN フードスタイリストシリーズ」として紐解いていきます。
様々なシーンやタイミングで美味しい経験を積み重ねていきたい
ーどういったきっかけで管理栄養士を志すようになったんですか?
濱田:私が高校生のころ、祖父が胃がんを患っていて胃に優しいお粥など食べられるものが限定されていた時期がありました。必要な栄養を摂るために、1日5食にわけてちょっとずつ食べている姿を見て、生涯健康であり続けることの重要さを考えるようになったんです。そのためには、食事を美味しく作れるようになるだけでなく、栄養に関する知識もないといけないんだなと思い、そこから管理栄養士を目指せる大学に進学することを決めました。
ーなるほど、それで栄養士専攻の大学に進学したんですね。大学卒業後はどうされたんですか?
濱田:一回の食事での”美味しい”だけではなく、いろんなタイミングでの”美味しい”を、人生を通してずっと積み重ねていきたいという思いがあったので、様々なシーンでの「食」が見られるところを探して就職しました。
社員食堂やファミリーレストラン、ホテル、有料老人ホームなどあらゆる食シーンを見ていると、この人は“どういう人生を経てなぜこの料理が好きなのか”というようなことまで見えてくるんです。この経験のおかげで、その人にあった献立づくりということを考えるようになりました。
ーそこからなぜDELISH KITCHENへ?
濱田:社員食堂で働いていたとき、利用者の皆さんは一番お腹に溜まって、安くて、早く料理を提供してもらえそうな列に並びがちだということに気付きました。人間は大体の人が1日3回食事をしていて、例えば80歳まで生きるとしたらこの人たちはあと何回食事ができるのかなと、もっと自分の身体のことも考えて一食一食を大切にしてほしいなと感じていました。ですが、社員食堂に栄養教育のポスター等を貼ったところで、利用者の食に対する意識はすぐに変わっていかないだろうなと思ったんです。
どうすれば「食」に対して少しでも意識を傾けてくれるかなと考えた時に、当時ちょうどレシピ動画がSNSで流行りはじめていたので、「これだ!」とピンときました。空いた時間にぱっと見られるレシピ動画をきっかけに、「美味しそう」「これなら作れそう」と思ってもらえるのではないかなと。すぐにDELISH KITCHENに採用の応募をしてエブリーに入社しました。
レシピ動画で、料理は「楽しい」ものだと感じてもらいたい
ーエブリーに入社されて、DELISH KITCHENではどんな業務をされているんですか?
濱田:入社当時は、サービスが立ち上がって間もない時期でした。レシピ考案から撮影を行うだけでなく編集やナレーション入れ、そして投稿まで幅広い業務に関わることができて、貴重な経験だったなと思っています。その後は、レシピ考案の際の時節や食材などのキーワードの選定やチーム分けも整備されて、私はSNS向けのレシピを担当することになりました。また、キッチングッズの開発にも携わりました。
ーSNSのコンテンツは、アプリやWEBのコンテンツと違いはありますか?
濱田:そうですね、ポイントとしては視聴者の目的が違うと思っています。例えば、「冷蔵庫にある食材を使って、今日なんの料理を作ろう」と思ったユーザーさんはDELISH KITCHENのアプリやWEBを検索してレシピを探すと思います。DELISH KITCHENのユーザー層としては20〜50代と年齢層は幅広いですが主婦の方が多いので、親しみのあるスタイリングと食材で作るなど、普段の食卓に生かせる再現性の高い料理を重視して制作しています。
一方SNSの場合は、コア層が20〜30代くらいの人たちで「今日はなんの料理を作ろう」と思って探しているわけではなく、隙間時間に触っていたSNSのフィードに流れてきたレシピ動画を見てくれていると思います。なので、”美味しそう!””作ってみたい!”と思ってもらえるような、見栄えのいい料理を意識して制作しています。料理をやったことがない人にも「これなら作ってみようかな」と思うきっかけになってもらえたら嬉しいですね。そうやって少しずつDELISH KITCHENのファンを増やしていくことを目指しています。
また、プラットフォームによっても若干ユーザー層が異なりますので、料理動画を投稿するだけでなく、お料理Q&Aといったクイズを投稿するなど面白いと思ってもらえるような工夫をしています。まだまだDELISH KITCHENを知らない人もたくさんいると思うので、その人たちに、どうアプローチしていくのかというところはもっと考えていきたいですね。
ー濱田さんはキッチンツールの開発にも携わっていたとのことですが、どういった商品を開発されているのでしょうか?
濱田:DELISH KITCHENでは、2018年からオリジナルキッチンツールの販売を開始し、全国のスーパーなどの小売店やネットショップでご購入いただけるようになっています。
私は来年発売予定のキッチンツールの開発を型起こしから担当しました。普段のレシピを作るのと同じように、誰でも使えて、失敗しない料理のお手伝いができるようにという思いで開発に取り組みました。使ってみて立て付けが悪かったり、使いづらかったりしてはDELISH KITCHENの信頼を無くしかねないので、プレッシャーを感じる時もありました。ですがフードスタイリストのメンバーに実際に使ってもらって感想を聞いたり、開発会社の方ともたくさん打ち合わせを重ね、皆様に満足いただける商品ができたと思います。
ーキッチングッズの開発でもDELISH KITCHENのユーザーとその利用シーンを第一に考えることが大事なのですね。濱田さんはどんなお料理を作ることが多いですか?
濱田:普段お料理をしない方でも手軽に作れるようなレシピを心がけているので、私のレシピをきっかけに料理をしてくださる方が1人でもいたらいいなと思っています。安くて手に入りやすい豆腐やもやしなどの食材でトライしやすく、かつ健康的でバラエティ豊富にできる料理を多く提案しています。
「フライパン一つでできる」とか、「火を使わない」レシピもよく開発します。電子レンジを使うと作業工程と時間をグッと短縮できますし、簡単な手順ででき、洗い物も少なくなるのでおすすめです。手軽に作れるレシピが多いんですが、手抜きには見えないように心がけています。
ーその中でも再生回数が多かったレシピはなんですか?
「ワンパンでお手軽! ミートチーズドリア風」は再生数が多かったですね。ドリアはお子様から大人まで人気な料理ですが、基本的な作り方だとピラフを作るために生米をフライパンで炊いたりホワイトソースを作ったり、オーブンも必要でとても手間のかかる料理です。このレシピではそういった手間のかかる工程を省き、オーブンも使わずフライパン一つでできるようにしました。洗い物も少なく作れるところがポイントです!主食でありながら主菜にもなるため、簡単にお家で作れて嬉しいとコメントも多くいただいた人気レシピです。
>その他、おすすめレシピはこちらのページから
一人ひとりに馴染みやすい料理を提案し、成功体験を積んでもらいたい
ーDELISH KITCHENのフードスタイリストは、どんな仕事だと思いますか?そのために行っていることなどあれば教えてください
濱田:DELISH KITCHENには幅広い層のユーザーさんがいらっしゃいます。皆さん一人ひとりの「食」シーンに寄り添った料理や、つくった料理をさらに周りの人におすすめしたくなるような工夫をして発信することがDELISH KITCHENのフードスタイリストの役目だと思います。
私個人としては、自分よがりでなく、ユーザーの利用シーンを具体的にイメージしてレシピを作れるかを大事にしています。その人の生活に馴染みやすいレシピでありながら、同時に「ちょっとチャレンジしてみようかな」と思えるようなものを考えられる人でありたいですね。
そのためには想像力も大切ですが、周りの人の意見も積極的に取り入れるようにしています。趣味でやっているオーケストラの練習では、老若男女問わず一度に様々な人に会えるので、「昨日は何食べた?」「料理する時は何が面倒くさい?」など料理に関するヒアリングをよくしています。みんな職種もバラバラなので、色々な意見が聞けて面白いんですよ。そこで聞いた、食に関する悩みや意見がレシピ考案にとても役に立っています。
ー今後、どんなことにチャレンジしていきたいですか?
濱田:現代では、両親が共働きで帰りが遅い家庭も多く、一人で孤独に食事をしている子や、ご飯の代わりにお菓子を食べてしまい成長に必要な栄養が十分に摂れていない子が増えていると聞きます。個人的には、そういう子どもたちへ向けた「子ども食堂」などにも携われたらいいなと思っています。小さい頃に食べた料理の記憶って大人になっても残っていますよね。手作りであたたかい食事と、たくさんの人に囲まれて食事ができる空間作りをお手伝いしていきたいです。
DELISH KITCHENでは、料理をしたことがない人に楽しんでもらえるようなレシピをもっともっと提案をしていきたいです。私たちが配信するレシピで「美味しく作れた」という成功体験を積んでもらい、将来的にも料理を継続していただけたらと思います。そのためには、レシピ動画として配信するだけでなく、イベントや料理教室など直接料理を伝える場もつくっていけたらいいですね。
人生で食事を取れる回数は限られているもの。その時一瞬の幸せだけでなく一生幸せになってもらえるような「食」を提案していきたいと思います。