「真似る力」が私の原点だった
—— はじめに自己紹介をお願いします。
東春香です。奈良県に住んでいて、現在は2人の子どもを育てながら在宅ワークで働いています。
私はこれまで、保育士や販売職などを経験し、今は動画編集やデザイン業務を中心とした在宅の仕事をしています。働き方も環境もガラッと変わりましたが、その中でも「自分らしい生き方・働き方ってなんだろう?」と考え続けてきました。
子育て中でも、社会の一員としてきちんと働き、自分の存在を活かしていきたい。そんな想いを胸に、日々目の前の仕事と向き合っています。
—— 子ども時代や学生時代は、どんな人だったんですか?
今振り返ると、小さい頃から「何かを真似する」ことがとても得意だったと思います。たとえば、小学校から中学まで9年間続けていたECC(英会話教室)では、先生の発音をそのままコピーするのが得意で、スピーチコンテストでも成果を出せていました。実際、初めて出場した大会でグランプリをいただけたことは、今でも記憶に残っています。
—— 聞いてすぐ真似できるのは、すごい力ですね。
ありがとうございます。発音だけでなく、字を書くこと、絵を描くこと、ピアノの指使いなど、「見て、聞いて、感じて、そのまま再現する」ことが自然にできるんです。
とくに楽譜が読めないままピアノを弾けたり、動画で見た着付けをすぐに自分で再現できたり──自分でも不思議ですが、感覚で覚えて体に落とし込むのが得意なんだと思います。
—— それはまさに“感覚的な理解と再現性”ですね。
はい。自分では「何も特別なことではない」と思っていたんですが、周囲の人に言われて初めて「これは強みなのかもしれない」と気づきました。今の仕事でも、その力が活きている部分は多いと思います。
自分らしい働き方を探して
—— 就職してからは、どんなお仕事を?
保育士として働いたのが最初です。子どもが大好きだったので、子どもたちと過ごす時間は本当に楽しくて、やりがいも大きかったです。ただ、一方で「もっと他にもできることがあるんじゃないか?」という気持ちも芽生えてきました。
その後、販売職なども経験しましたが、結婚・出産を経て、働き方を見直すタイミングがやってきました。子どもが体調を崩したとき、どうしても休まなければいけない。でも、職場に迷惑をかける…そんな葛藤の中で、もっと柔軟な働き方ができないか?と模索し始めました。
—— 今の働き方にたどり着いたきっかけは?
「家にいながら働ける仕事」を探す中で、動画編集やHP制作などの仕事に出会いました。最初は分からないことだらけで、パソコンに詳しくなかった私にできるのか…と不安もありましたが、持ち前の“真似る力”がここでも活きました。
感覚が通じない──初めての挫折
—— 今の仕事で、苦労したことはありますか?
実は、この仕事に就いて初めて「感覚が通じない壁」にぶつかりました。保育士時代やドコモ時代は、業務の流れを見て感覚で覚えて効率化するのが得意で、1年目でも周囲より早く仕事をこなせていたんです。
でも今の仕事は、「見て覚える」だけでは通用しない場面が多くて、スキルやロジックが求められる。初めて「自分のやり方が通じない」と感じ、正直つらかったです。
—— そこから、どうやって前向きに切り替えたんですか?
きっかけの一つは「ツールの活用」でした。たとえばChatGPTを使うことで、「誰にも聞けない」と悩んでいたところを突破できたり、自分のスキルとデジタルツールが結びついて「あ、これならできるかも」と思えたりして。
そしてもう一つは、職場の人たちの存在です。落ち込んでいた私を、無理に責めることなく、自然にサポートしてくれた。だから、自分を見失わずにいられたんです。
影で支える役割としての「私」
—— 今は会社の中で、どんな役割を担っていると感じていますか?
「前に立つ人たちを後ろから支える」という立ち位置だと思っています。たとえば、「いばジョブ」でも営業や企画を前で引っ張るのは他のメンバー。私はその後ろで、必要な作業や手が足りないところを拾っていく。自分の強みは、人のやり方を見て学び、それを再現・補完できるところにあると感じています。
子育ても、仕事も、どちらもあきらめたくない
—— 今後の目標について教えてください。
「子どもがいるから」「お母さんだから」といった理由で、社会から一歩引かれるような風潮に、私は違和感を持っています。母親でも、女性でも、ちゃんと自分の力で社会とつながっていたい。
家庭も大切にしながら、仕事も全力でできる──そんなバランスのとれた働き方を、自分なりに実現したいと思っています。
—— ご自身の経験を、誰かのきっかけにしたいという想いもあるとか。
はい。私、50社以上落ちた末に今の仕事にたどり着いたんです。だからこそ、同じように悩んでいるお母さんたちに、「私もできたよ」と伝えたい。
すでに友人の何人かは、私の話を聞いて職業訓練校に通い始めました。そんな風に、身近な人たちの選択肢を広げるきっかけになれたら、すごくうれしいです。
東春香さんの歩みは、「真似る」という才能を軸に、自分らしい働き方を切り拓いてきた挑戦の連続でした。
家庭と仕事の両立、そして「お母さんでもできる」と胸を張れるキャリアを模索し続ける姿は、同じように迷う人たちの背中をそっと押してくれるはずです。
あなたの中にある“できるかも”を信じて。
それが、次の一歩を踏み出す力になるのかもしれません。