■「DataArmor®︎」開発の背景と秘密計算について
近年、デジタル・トランスフォーメーション、ビッグデータ解析やAI活用のニーズが急速に高まるにあたり、クラウド等へのデータ集積が進んでいます。また、それらのデータを流通させる仕組みとして情報銀行の認定がスタートし、国家レベルでは官民データ活用推進基本計画の策定が進められるなど、データ利活用社会に向けた取り組みは今後多岐にわたることが予想されます。
一方で、データ活用の広がりに伴い顕在化する大きな課題の一つがデータセキュリティです。従来の暗号化技術では、暗号化による保護範囲が「通信時」「保管時」のみであり、活用時(データ処理時)には常に復号を必要とするため、「活用時」の保護ができませんでした。そのため、データ活用を目的に機密データやAIのクラウド管理、他組織とのデータ共有などを行う場合、セキュリティポリシーやプライバシーの理由から、データやAIの活用方法を制限せざるをえない現状がありました。
EAGLYSは「あらゆるデータを安全に活用できる社会の実現へ」という事業理念のもと、創業当初より秘密計算に関する研究開発を進めてきました。その成果は、 未来2019、ICT SPRING EUROPEを含む国内・海外の代表的なイベントにおいて最優秀賞を受賞するなど、第三者からグローバルに高い評価を得ています。永らく秘密計算にとって実用化のハードルとなっていた計算速度の問題を独自技術によって解決したことで、業界に先駆けて製品化に成功しました。
秘密計算は、データを暗号化したまま復号することなく任意のデータ処理ができる新しい暗号技術の総称で、セキュリティと利便性のトレードオフという従来の常識から脱却し、データ利活用社会における重要インフラ技術として大変注目をされています。ゼロトラスト時代のデータセキュリティには、ネットワーク等の境界に依存したセキュリティ対策ではなく、「データそのもの」を守るアプローチが求められ、それを実現する基盤技術が秘密計算です。
■導入事例
EAGLYSは、オーベラス・ジャパン株式会社の5億円超の不動産物件を対象とした匿名可能な会員制プラットフォーム「the Real Estate Matching System」(以下「the REMS」)の物件管理に技術協力を行っています。the REMSでは、登録者の指定した物件詳細情報が暗号化されて保管されるため、プラットフォームを運営するオーベラス・ジャパン株式会社も詳細を知ることができず、同業他社も含めthe REMSでの極秘情報を利用した不動産投資の検討が可能となっています。
■EAGLYS(イーグリス)株式会社
「安全・信頼あるデータの流通・処理基盤の提供を通して、 企業のデータ活用を促進する」ことを目的に、秘密計算技術を活用したセキュアコンピューティング・プラットフォーム「DataArmor®(データアーマー)」の研究開発、および金融・製造・医療・マーケティングといった領域で用いられるプライバシーデータや機密情報のデータ解析・AI技術の研究開発を事業として行なっています。秘密計算とは、データを暗号化したまま復号することなく(生データに戻すことなく)処理できる技術であり、DataArmor®は本技術を活用し、暗号化状態でのデータ集積からデータ解析(統計解析、機械学習・ディープラーニング等のAI処理)まで可能にした自社開発製品・ソリューションです。