ダイレクト出版の社員に向けて書いたレターを転載しています。
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To: ダイレクト出版のみんなへ
From: 小川忠洋
ぼくはよく米国出張に行くのだが、毎回、戻ってくると「日本って、やっぱりいいなぁ~」と思う。サービスは最高だし、メシは美味いし、街はキレイだし、いやぁ本当に良いところだなぁと。米国でウェイターの愛想の悪さなどを経験すると、余計にそう思う。普段、日本にいるとそれが当たり前なので、何とも感じないが、一度外に出ると、その良さ、その悪さ、その違いなどがハッキリする。
これはよく“事実に基づく判断”として、ぼくが「何と比較してそうなんだ?」という質問を相手に投げかけるのと似ている。というのも、人間は「比較」によってしかその価値が分からないからだ。
「あるプロモーションが上手くいった」というのは、「何と比べて良かったのか」という比較がなければ、その当人の感覚値でしかない。比較がなければ意味を成さないわけだ。
実は、これは、人間の認知の特性だったりする。人はどんなことでも「何かと比較」しないと、その価値が分からないという特性を持っているのだ。
たとえば、よくある実験だが、同じ仕事で年収600万円と年収400万円のオファーがあった場合、誰もが年収600万円のほうを取る。
ところが、それが、
A.年収が600万円だけど、同僚の年収は1,000万円
B.年収が400万円だけど、同僚の年収は300万円
こうなると、400万円のオファーを取る人が格段に増える。理由は分かるよね?
ちなみに「幸福感」も、結局は「比較」から大きな影響を受けている。
つまり、自分がいま幸せだと思えるのは、「誰」と比べるかによるということ。
どんなに成功しても、リッチになっても、それ以上の人と比較してたら、ずっと不幸なままである。一方で、どんなに普通の生活をしていても、それ以上に大変な人を見ていれば、「自分って恵まれてるな」なんて思ったりするもの。
ビジネスでも人生でもそうだが、大切なのは
「何と比較するか?」
「比較対象に何を選ぶか?」
だ。
それによって、自分の感じ方、考え方、さらには「志」まで全く変わってしまう。
(なので昔の人の伝記などを読むととても良い影響がある。)
自分は何を目指すのか?
何を残すのか?
大きなビジョンを持つには大きな比較対象が必要だ。