1
/
5

医療と縁のないキャリアを歩んできた私が「在宅医療に特化したSaaS」の企業を経営している理由

はじめまして、クロスログの宮原です!
Wantedly初投稿のこの記事では、創業経緯についてお話しします。

ユーザーが喜ぶサービスを作りたい

――受託開発の経験の中で、システム開発の楽しさを知る

私は医師でもなければ、医療従事者としての勤務経験もありません。

大学卒業後、新卒で日本アイ・ビー・エムのグループ会社での金融系エンジニアを経て、当時の先輩が起業したdiffeasyというベンチャーにジョインしました。diffeasyでは受託システム開発が主事業であり、私は複数のプロジェクトをプロジェクトマネージャーとして担当しました。

ある時、「介護の記録と請求を同時に行えるオリジナルのシステムを構築したい」というご要望をお持ちのお客様を担当させていただく機会がありました。その際、ゼロからヒアリングを行い、必要な資料をひたすらに読み込み、さまざまな医療業界のルールを確認しました。お客様からご要望いただいた要件通りに開発を進めるだけではなく、「介護の現場で働く皆さまが使いやすいシステムになるにはどうしたらよいか」をとにかく突き詰めて考えました。

ただ言われたままにプロダクトを開発する、ということはせず、お客様からの要望を、自分で納得した形に昇華した上で 提案しながら進めたのを覚えています。

お客様とのヒアリングシーン

結果的にシステムは無事完成し、介護に従事する方の作業量を70%削減することに成功。加えて、作業ミスも大幅に減る など、想定よりもかなり良い結果を出すことができました。

自分が作ったシステムでお客様に喜んでもらう」ことの楽しさを強く感じたのはこのときです。

お客様との距離が近いベンチャー企業で働くことにより、お客様の声をダイレクトに感じることが出来たのも、自分にとって非常に大きな経験でした。
得意なシステム開発を通して、誰かに喜んで貰うって素晴らしいこと だなと、心の底から喜びが湧いてきました。

ちなみに、お客様から、「みんなで産んだシステムなので、子どものように可愛いんです!!」と言っていただき、共感しましたし、何よりエンジニア冥利に尽くお言葉で、今でも心に残っています。


ーーサービスは成長させる必要がある

もちろん、一度開発・納品をして終わりではなく、継続的に使い続けていくプロダクトであれば尚更、機能追加などを行ったうえで、サービスを成長させる必要があると思っています。医療や介護にまつわるプロダクトであれば、法改正に対応しなければならないのはもちろんのこと、新しいアイディアを反映したり、医療・介護現場の日々の業務の変化にプロダクトを適応させる必要があります。

ただし、受託開発は、お客様に社内で予算を取っていただき、その予算をもって開発を依頼する形式です。その場合、新たにお客様からご要望をいただいたり、受託先のエンジニアに新しいアイディアが浮かぶことがあるときでも、当然、元々の契約に追加の契約をせずに、勝手に開発することはできません。

自分の意志をすぐに形に出来ないこと へのもどかしさが

自社のサービスを成長させたい。

と感じるきっかけになりました。

在宅医療業界との出会い

ーー訪問調剤のプロジェクトが足がかりに

在宅で療養されている患者さまで、通院が困難な方に対し、薬剤師の方が薬歴管理や服薬指導を行う訪問調剤を展開している福岡の薬局さま向けに、「報告書システム」のプロジェクトを担当したのが、在宅医療業界との最初の出会いです。薬剤師の方が、処方した内容を関係各所に1件ずつFAXで報告していたのを、自動でFAX/メールを送れるよう、業務効率化したシステムでした。

このプロジェクトを皮切りに、在宅医療業界にて、訪問診療・訪問歯科を行うクリニックなどにサービス展開し、院内のIT支援に携わりはじめました。


ーーなぜスケジュール管理なのか?

私たちが提供しているサービスのCrossLog(クロスログ)は、訪問診療におけるスケジュール管理を効率化するサービスです。
お客様である訪問診療クリニック、訪問歯科医院から、訪問医療を行うにあたり、スケジュール作成に労力と時間を要しており、めちゃくちゃ大変! と複数件立て続けに相談があったことが、スケジュール管理に力を入れようと考えた1番のきっかけです。

医療機関では、紙とホワイトボードというアナログでのスケジュール管理が多く、その手法で数百名の患者さまを担当していることもあります。アナログ的な作業の弊害で、繰り返し同じことをしなければならない等、医療現場に不便が生じていました。
更にスケジュール作成では、デイサービスなどを利用される患者さまのご都合、移動効率を上げること、医師の方のご都合、月の診療回数、診療科など、考慮すべき要素が多く、かなり属人的な業務 になっていました。

前述の通り、当社は当時、クリニックのIT支援をしていたので、まず課題を解決できるサービスを探しましたが、残念ながら見つかりませんでした。
新たにシステムを作ろうにも、受託開発を行うためには、1つの医療機関では採算が取れません。

「私たちが知る身近なクリニックでほぼ共通に抱えている課題であるなら、全国のクリニックで共通の課題を抱えているのではないか。自社のサービスとして提供することで、たくさんの方々に喜んでいただけるのではないか。」

そう思い立った私は、市場調査を行いました。
訪問医療におけるサービスについて、世間では、今後伸びる領域であるとは認識されているが、当時そこまで大きな市場ではないことがわかりました。
開発の難易度が一定レベル高いことに加えて、医療業界がITという観点で新規参入しづらいということも、既存の訪問診療サービスがない理由になっていると感じています。実際、類似サービスを国内の大企業が提供していたのですが、採算が取れずに提供を終了した事例もありました。

「解決すべき課題があるのに、世の中に解決できるサービスがない」
「市場が大きくないため大企業が失敗している」

こういうニッチな領域こそ、小さなベンチャー企業が戦ってシェアを取れる可能性がある。
それが「自社のサービスを成長させたい。」という想いとも一致していました。

CrossLogのサービス開発

当時、福岡の訪問診療、訪問歯科クリニックなど、複数の医療機関にヒアリング行い、その仮設を基に訪問診療の課題を解決するための提案をしたところ、 福岡県産業・科学技術振興財団 の開発補助金が採択されたことで、本格的に「CrossLog」 の開発をスタートしました。

CrossLogというサービス名称は当時一緒に開発をしていたメンバーが名付けましたが、医療・スケジュールに近いワードの組み合わせで造語を作る という発想であり、「ドクター」や「メディカル」など、市場に現存するサービスによく使われている言葉は積極的に使いたくはなかったため、今の名前に落ち着きました。
私としては業界内のサービスに類似の名前がないことで、サービスが世の中に浸透しているかどうかがわかりやすくて、とても好きな名前です。

当時は、毎週医療現場に現地訪問をしてヒアリングを行いました。
最初からSaaSとしてサービス提供をする前提での設計とするため、1つのクリニックの要望や課題に意識が引っ張られないように、最適解を探し、バランスを考えながら開発しました。
β版の開発に3ヶ月、更に試行運用を3ヶ月行い、合計6ヶ月で正式ローンチをするというスピード感でサービス提供を開始しました。

医療機関へのヒアリング

ありがたいことに、サービスローンチのプレスリリースを出した直後から絶え間なくお問い合わせが継続していて、間違いなく世の中にニーズがあるサービスなのだと確信しました。
しかし、問い合わせはいただいても、クリニック側でPMFが出来てないことがあり、制約まで至らない時期もありました。

諦めずにヒアリングを行い、開発・カイゼンを続けて、ローンチ後、約3ヶ月ほどで初めての有償契約をいただくことができました。このことは本当に鮮明に覚えています。売上ができることで更に自信に繋がりました。
※実は最初のお客様は京都のお客様でした。本社のある福岡のお客様でなく驚きでしたが、それだけ全国にニーズがあり、当社のことを知っていただけ、契約にまで至ったことに大変感謝しています。

独立&クロスログ創業

ーーリスクなんて無いと考えて独立

CrossLogは当初、diffeasyというベンチャー企業の1つの自社サービスでしたが、2020年に大きな転機が訪れます。diffeasyが、株式会社ふくおかフィナンシャルグループ傘下のiBankマーケティング株式会社にM&Aする話が進んだことがきっかけです。

M&Aの目的にCrossLogは含まれていなかったのですが、自分が力を入れて開発したサービスで、これからも著しく成長する可能性を感じていたため、このままで終わらせるのはあり得ない!と考えて、「私にCrossLogを買わせて貰えませんか?」と申し出ました。

結果的に自分が作ったサービスの権利を自分で買う ということになり、調達や借り入れなどを駆使して何とか期日内に資金を集めて、事業譲渡という形で譲り受けました。資金集めは決して楽ではなかったですが、それだけの価値がCrossLogにはあると考えていましたし、等価交換の発想であるため、リスクは無いと判断して独立しました。

これが「クロスログ株式会社」としてのスタートです。

私自身1つのことを続けることは得意な方であり、今後の人生の ライフワーク として、この業界に貢献しよう。そう決めた瞬間でした。

◆iBankマーケティング㈱における㈱diffeasyの全株式取得について
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000149.000029076.html

◆資金調達および、在宅医療専用スケジュール管理ソフト「CrossLog」の事業譲受を実施。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000073292.html

M&A後の取締役メンバーでの記念写真


ーー医療業界の経験者じゃないから出来ること

CrossLogは今は「スケジュール管理」がメインですが、ここを中心として電子カルテ以外のバックオフィス業務の効率化を1つずつ図っていきたいと考えています。

「医療業界は他の業界と比べて、10年ほどIT化が遅れている」と言われています。

もちろんAI診断など、最新技術をフル活用して進んでいる領域もありますが、一方で地方や病院以外の個人クリニックではIT化が進んでいないのも事実であり、例えば患者さんや関係各所への主の連絡手段が 電話・FAX となっているのが現状です。

私のエンジニアとしての医療業界以外での開発経験を活かしながら、他の世の中の良いサービスを在宅医療業界にも適用することで、解決できる課題は山程ある と思っています。
医師や医療従事者の経験がない私だからこそ、医療の現場経験に依存しすぎないことがメリットとなり、サービスを成長させることができると信じています。

今後、ニーズが高まる在宅医療の領域で「在宅医療を当たり前に」するためITの分野で貢献していきます。

まだまだ少数精鋭の企業であるが故、代表である私が担っている業務領域がとても広い状況です!
サービスの開発・提供を通して社会貢献をして行きたい方、とにかく少しでもご興味がある方、ぜひざっくばらんに会話しましょう!

Invitation from クロスログ株式会社
If this story triggered your interest, have a chat with the team?
クロスログ株式会社's job postings
9 Likes
9 Likes

Weekly ranking

Show other rankings
Like Tomoyoshi Miyahara's Story
Let Tomoyoshi Miyahara's company know you're interested in their content