デジタル戦略支援事業部 第5(人材開発)グループ
2021年10月27日に「~人が組織を強くする~」をコアとしてDX人材育成に課題を持つ皆様を対象としたセミナーを開催いたしました。 本稿では、そのセミナーの講演内容をセミナーレポートの形でご案内させていただきます。
当日は、DXを掛け声に終わらせるのではなく、実ビジネスを成功に導くために必要な知見をお持ちの外部講演者をお招きした講演と当社の人材育成の事例が紹介されました。 はじめに、一橋大学経営管理研究科でDX人材を活かすための組織についての研究を重ねておられる神岡太郎教授より「データ×スキル×ストーリー DXに向けた企業姿勢の醸成」と題した講演をいただきました。 続いて、住友生命保険相互会社 理事 デジタルオフィサーの岸和良様より、同社DX型健康増進保険商品である「住友生命Vitality」の商品開発に取り組まれるなかでDX人材に必要な能力や育成方法について実業務の中で取り組まれた実体験のご講演をいただきました。 最後に、当社デジタル戦略支援事業部において人材育成に関するサービスの企画提供を行っている星智恵より、当社の人材育成の注力ポイントについての事例を中心として紹介がありました。
以下、セミナーレポートをご参考いただき、皆様のDX人材育成に関わる課題解決の一助となれば幸いです。
神岡教授からは大きく分けて、以下の項目に関してご講演いただきました。 1.DXとは人材・組織のトランスフォーメーション 2.企業が求める人材の変化 3.スキルとマインドセット 「トランスフォーメーションは非連続的に進むため、ビジネスが次の段階に進むとき、それまで有効だったビジネスや組織や人材が役に立たなくなるといった事が起こります。そして、DXの時代にはそれがさらに短期間で起こります。新しいビジネス、サービス、製品、価値を提供するには人材や組織のトランスフォーメーションが不可欠となり、そういったトランスフォーメーションを起こすことで初めて競争力に結び付くと言えます。DXとは人/組織のトランスフォーメーションでもあり企業そのものの変革を伴わなければ実現しないのです。」(神岡教授) 次に、企業が求める人材の変化についてご説明いただきました。旧来的なITでは上位のビジネス・組織戦略に忠実に従ってITを設計する人材が求められていましたが、新時代のDX人材にはビジネスにおける価値創造を提案できる人材が求められるようになりました。 また、DXにあたって企業のマインドセットが注目されています。ハードスキル、ソフトスキルに加え、マインドセットがそろうことがDX人材に求められるとのこと。スキルという視野だけで人材を見るのではなく、タスク、人材、組織文化、組織デザインを連動させて考えなければ効果が出ないとご説明いただきました。 下記の神岡教授へのインタビューもあわせてご覧ください。 一橋大学神岡教授インタビュー 第1回:企業が人を活かしてDXを進めるために 一橋大学神岡教授インタビュー 第2回:企業が組織としてDXを進めるために
岸様のご講演では、以下の項目についてご講演頂きました。 1.消費者変化と企業変化とDX 2.DXの成功公式と勘所 3.データを駆使したDX人材の見極め方 4.DX人材育成~ビジネス力重視の育て方~ 5.DX人材育成~実務にどう活きたか~ 保険業界においても消費者行動が変わり、企業が変わらないと生き残れないという危機感を持ってこられた岸様。DX、デジタルビジネス人材にはデータリテラシー、デジタルリテラシー、ビジネスリテラシーが必要と感じ、プロジェクトを進める際には ・ビジネス人材にはデータとデジタルの知識・スキルを付与 ・システム人材にはデータと最新デジタル、ビジネスの知識・スキルを付与 することで、特にビジネスリテラシーに力を入れながらビジネスとシステムを一緒に考えられる体制を作っていきました。 また、ここでは、岸様の作られたDX事例の分類(デジタル集客系、デジタル商材系、リアルビジネス+デジタル、リアルビジネス)とそれぞれで使われるビジネス用語の分類の紹介もあり、目指す姿によって使う用語も研究すべき事例も異なるという話もありました。 岸様がDXを進めてきた中で導かれたDXの成功方式は、何をやるかが明確で、経営層がやりきる意欲があり、組織がしっかりして、人材の能力が高いことでした。中でも何をやるかが重要で、B2Cの場合、お客様の体験価値、差別化、価格優位、ビジネスが成功するかをチェックしてより明確に絞り込んでいくことが必要となってきます。
また、人材の能力を高めるのに意識改革や教育は必須であったため、まずはDX人材の見極めとしてイノベーティブ人材診断、人間力診断、DX検定で計数化し、さらに意識変革研修を実施してDXに向く人材を適宜DXプロジェクトにアサインしました。 研修ではワークショップを通じてビジネス、イノベーティブへの関心度を測り、さらにアセスメントを受けた社員の能力開発状況を継続的にトラッキングすることで、潜在的な能力を確認されているとのこと。 このようなDX人材育成の取り組みにより、結果的に様々なDXプロジェクトの推進につながっただけでなく、育成された人材は日ごろからビジネスを考える癖がつき、新しい情報を求めるようになったそうです。ビジネスを学んでマインドセットできた人材を重要なDXプロジェクトにアサインし、そこで成果を出すことで結果的に個人評価に反映される形になっているとのことでした。
最後に当社デジタル戦略支援事業部 星智恵より、同社の考えるDX人材像を元にDXを実ビジネスにつなげるために必要な『DXビジネスクリエイター』の役割と育成のポイントとして、育成プログラムの中に「アウトプット」を意識したカリキュラムを組むことの重要性について事例を交えて紹介がありました。
企業・組織DX人材育成にあたり、E-learning採用などが盛んである中で、学習で得たインプットされた知識を実践で使えるようにするためには、アウトプットすることで成長の次工程を意識することが重要です。
1.新卒社員だってアウトプットします!
製造系ソフトウェア会社の新卒社員研修 全新卒社員を対象に配属予定や専攻等の学習背景を問わずデータ活用知識とビジネス課題解決のアプローチを学び、演習課題ではチームで試行錯誤してデータ分析による課題解決を行いプレゼンテーションで発表しました。
2.中堅技術者はビジネス課題にチャレンジします!
商社系情報システム会社の中堅技術者研修 DX技術とビジネスをつなぐ人材として中堅の次世代リーダー候補メンバがデータ活用スキルとサービスデザインに関する知識を学習し、自ら考えた課題に対するDXを用いた解決策を考えだしました。
3.プロジェクト型の学びでアウトプットします!
事業部門、データ活用部門等様々な対象組織で採用いただいているカスタムPBL研修育成目標や学習済知識、組織の持つ課題をお伺いしたうえで、Project Based Learningの手法を用いて、豆蔵のデータサイエンティストやデータエンジニアが伴走型でゴールを目指します。プロジェクトを模した研修スタイルとなるため、実プロジェクトへの取り組みをスムーズに行うための育成プログラムとして採用されています。
是非、今回の3つの講演、セミナーレポートをお読みいただきました感想やご意見などもアウトプットしていただけると幸いです。
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