創業メンバーの一人である鈴木へのインタビューを実施しました!
ラグジュアリーホテル事業の立ち上げから現場に入り続け、品質を維持してきた当事者として、現場で起きているリアルと、その裏にある試行錯誤について話を聞いています。
目次
1. ラグジュアリーホテル立ち上げで直面した「落ちない汚れ」
2. 正解のない現場で、どう判断するのか
3. 5つの失敗と、最後に見つけた突破口
4. 「お金はいらないからやらせてほしい」と言った理由
5. 現場はなぜ属人化するのか
6. 再現できない仕事を、どうやって再現するか
1. ラグジュアリーホテル立ち上げで直面した「落ちない汚れ」
――立ち上げで印象に残っている出来事はありますか?
鈴木:
御影石の床の清掃ですね。
今回のホテルは、共用部に御影石が広く使われていて、面積でいうと1000平米近くありました。
見た目はすごく綺麗なんですが、竣工のタイミングでは、工事中についた汚れがそのまま残っていたんです。
原因ははっきりしませんでしたが、おそらく石材に残っていた離型剤が影響して、足跡や埃、土砂などの汚れが固着してしまっている状態でした。
このままではオープンできないと感じて、こちらから清掃を提案しました。
創業メンバーの鈴木。1995年から今までの30年間、現場の品質管理を牽引。
2. 正解のない現場で、どう判断するのか
――依頼ではなく、自分たちから提案されたんですね。
鈴木:
そうですね。ただ一番難しいのは、「それが本当に落ちるのかどうか分からない」という点でした。
現場の汚れは、原因が特定できないことがほとんどです。
だから、どの洗剤を使うべきかも、理屈だけでは決められない。
基本的には、汚れの性質に応じて、酸性・アルカリ性の洗剤を使い分けます。
ただ実際には、何が原因か分からない以上、試していくしかない。
さらに厄介なのは、素材との相性です。
汚れが落ちても、石を傷めてしまっては意味がない。
そのため、小さい範囲でテストを繰り返しながら、慎重に判断していきました。
3. 5つの失敗と、最後に見つけた突破口
――実際にどんなことを試されたんですか?
鈴木:
かなり試しました。
最初は、石材専用の弱アルカリ洗剤。
これは素材に優しいんですが、全く落ちなかった。
次に、強アルカリの剥離剤。
御影石は硬いのでいけると思ったんですが、これもダメ。
その次に、強酸性の水垢除去剤。
温浴施設のカルキも落とせるレベルのものですが、それでも取れない。
さらに、ガム落としのような接着剤系を溶かす洗剤も試しましたが、これもダメでした。
最後に、油汚れやワックスに強い別系統の洗剤も試しましたが、これも効果はありませんでした。
正直、かなり厳しかったです。
汚れが表面ではなく、染み込んでいるような感覚でした。
――そこまでやってダメだと、かなり焦りますよね。
鈴木:
そうですね。ほぼ諦めかけていました。
ただ最後に、社内のメンバーに相談したんです。
そこで出てきたのが、セラリムーバーでした。
本来はワックスなどを剥がすための薬剤なんですが、これを試してみたらどうかと。
正直、半信半疑でした。
でも使ってみたら、一発で落ちたんです!!
石材の特殊メンテナンスは最高難易度の施工。知識と経験に基づいた状況判断が必須。
4. 「お金はいらないからやらせてほしい」と言った理由
――解決したと思ったら、そのまま進められたんですか?
鈴木:
いえ、それが進まなかったんです。
コストの問題で、最終的にはゼネコン側で対応することになりました。
ただ、結果としてうまくいかず、オープンにも間に合わなかった。
その状態を見て、「このままではいけない」と思いました。
だから、「お金はいらないのでやらせてください」と伝えて、現場に入りました。
2人で1週間。最終的に全て仕上げました。
ホテルの方にもすごく喜んでいただいて、そこから信頼につながっていきました。
5. 現場はなぜ属人化するのか
――かなりインパクトのある現場ですね。
鈴木:
そうですね。ただ同時に思ったのは、これは再現できないな、ということでした。
どの洗剤を選ぶか。
どこまで攻めるか。
どこでやめるか。
全部、その場の判断です。
経験があるからできた部分も大きいと思います。
でも、それだと人が変われば結果も変わる。
そこに限界を感じました。
6. 再現できない仕事を、どうやって再現するか
――そこから今の取り組みに繋がっていくんですね。
鈴木:
そうですね。
今は、こういった判断や技術を分解して、再現できる形にしています。
どこを見るのか。
どう判断するのか。
どこまでやるのか。
それらを言語化して、基準として揃える。
個人の中にあったものを、現場全体に展開する。
そうすることで、誰がやっても同じ結果を出せる状態を作っています。
属人性に頼るのではなく、再現できる構造に置き換える。
簡単なことではありませんが、それでもやる価値があると感じています。
まだまだ手探りの部分も多いですが、だからこそ面白いとも思っています。
同じように現場に違和感を持っている方と、一緒に試行錯誤できたら嬉しいです。