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ボジョレ・ヌーボーを扱わない── フィラディスが自信を持って勧めるワインとは何か

求めやすい価格で、最高のワインを届けるために。

フィラディスは1本数万円以上するワインだけでなく、数千円で楽しめる「クオリティーワイン」も輸入・販売しています。ただし、「人気があるから」「ラベルが格好いいから」といった理由で決めることはありません。

では、世界中に星の数ほどあるワインのなかから、どう日本に紹介すべき商品を選ぶのでしょうか。

手ごろな価格だけどハイクオリティ! そんなワインを日本にも広めたい

フィラディスの代表取締役社長・石田大八朗は、毎年世界中のワイナリーを訪問しています。今までに訪れたワイナリーは400軒超。社員のなかには、“ 彼以上に日本で世界中のワイナリーを巡っている人物を見たことがない ” という認識が広がっています。

そんな石田が日々精力的に探しているのが、価格1,000~3,000円の、それぞれの国々で地元の人が日常的に楽しんでいる「クオリティーワイン」です。彼はワイン修行のために海外を巡っていたとき、欧州各国のスーパーに並ぶワインを飲んで、そのクオリティの高さに瞠目しました。そして「日本人がもっと日常的にワインを楽しめるよう、このように手ごろな価格でおいしいワインを広めなければ」と考えたのです。

しかし、それは簡単な仕事ではありません。

石田 「ワイナリーにはそれぞれ、ワインづくりに対する考え方の違いがあります。それが優劣ではなく、それぞれの個性になっているんです。たとえばドイツやカリフォルニアの生産者は味のブレを少なくしようと努力します。一方でイタリアやフランスでは “ワインも農作物の延長線上にある ”という感覚が根強く、ワインの出来にブレがある生産者もいます」

なんと、中にはワインに虫が入っている場合さえあると言います。

石田 「とくに昔ながらのつくり方を大切にするワイナリーに多いですね。農家なんだから虫が入ることだってあるだろう、程度の感覚なんです。また、ワインは通常、澱を取り除くためフィルターを通しますが、ワイナリーによっては『独特の旨みも取り除かれてしまう』と、あえてフィルターを通さない場合があります。虫が入っても気にせず、フィルターを通さないということは、ワインの品質は当然……(笑)」

いくらおいしくても、方向性に共感できないワインは売らない

生産者のワインづくりに対するの考え方はそれぞれで、中には受け入れがたいものもあります。しかし、そういった小規模なワイナリーのなかに、驚くべきクオリティのワインをつくり出すところが存在するのです。

それらを探し当てることこそが、フィラディスの存在価値。キラリと光彩を放つワインを日本に紹介すべく、石田とともに1年中、数名のスタッフが欧州でクオリティーワインを探し続けています。

そんなフィラディスには、いくつかワイン選びのルールがあります。

石田 「輸入すると決める前に、必ずワイナリーを訪ねるのです。ワインとの出会いには様々なルートがあります。ワイナリーの方が日本に営業にいらしたり、展示会で出会ったり……。しかしどんな出会い方をしても、著名人のお墨付きがあっても、我々は必ずワイナリーを訪問します。そして畑の作業や醸造所を見せてもらい、彼らが目指しているワインづくりの方向性を詳しく聞かせてもらうのです」

石田はいくらおいしくても、その方向性に共感できない場合は輸入を控えると言います。たとえば、「なるべく安くつくれればいい」といった商品は、日本に輸入する価値が無いと考えているのです。

また、フィラディスでは言行一致しないワイナリーとの付き合いも控えています。

あるとき、石田はとある生産者からヒアリングの際に「ワインを大切に扱っている」と言われました。しかし、そのワイナリーはワインを醸造する工程で、ポンプを使ってワインを移動させていました。ポンプを使うとワインに若干ネガティブな影響を与えてしまうため、「大切に扱っている」とは言えません。このように、考え方にくい違いがあると、そのワインを自信を持って紹介することができません。

石田 「さらに、現地で即決しないとも決めています。生産者と話していると、どうしても『頑張ってるなぁ』という人情が湧いてきて、おいしく感じるバイアスがかかってしまうからです」加えてフィラディスでは、ワイナリーを訪問したら同じ産地のワインを極力飲み尽くし、そのなかで最上の一品を探し出しています」

しかし、厳しいのはここからです

石田 「我々は “ 現地で選んできた人間が輸入を最終決定しない ” 、というルールを持っています。様々な人間による、様々な角度からの評価に耐えたものだけを輸入すべきだと考えているからです」

さらには、みんなが「おいしい」と言っても輸入しない場合があると言います。ワインにはブドウが育まれる土地それぞれの特徴を示す「テロワール」という概念があり、優れたワインにはこのテロワールが、必ず味わいに表現されています。そのため、いくら「おいしい」と感じても「テロワールの表現に乏しいワインは日本の皆さんに紹介すべきではない」と石田たちは考えているのです。

石田 「厳しいですよ(笑)。 100ワイナリーリストアップして、最終的に輸入が決まるのは 1~ 2ワイナリーです。結局 1本も輸入しないこともあります。社内試飲では私が選んできたワインも平気で否決され、『え、これがダメなの?』とがっかりすることもしばしばです」

こうしてフィラディスは一流のソムリエ、さらには消費者の皆さんの目利きになって、世界各国から選び抜かれたクオリティーワインを輸入しています。

そして、これらのワインは通信販売でも購入することができます。

フィラディスでは “ 選びやすさ ” を考慮した「Firadis WINE CLUB30」という、絶対の自信を持っておすすめできる銘柄30本だけに厳選したショップを運営しています。30本のワインリストは、主要な産地や品種など、ワインの基本的特徴をすべて押さえたもの。さらに、味わいやコクの違いが一目でわかるチャートを掲載しているので、購入する際に感覚的に選ぶことができます。

また、それぞれのワインにはベストマリアージュの料理レシピも公開しています。ワインのプロフェッショナル集団であるフィラディスが選び抜いているからこそ「ワイン選びの難しい部分はお任せください」「お客様は安心してお試しください」というスタンスがとれるのです。

※マリアージュ・・・フランス語で「結婚」のこと。もともとふたつで別々だった存在があたかもひとつの存在のように調和した状態になることを言う。

石田 「こうして我々は、ワインの “ 敷居の高さ ” を極力なくそうと考えているのです」

価格は1,000円から3,000円までというリーズナブルな設定。さらにはワインに関する説明も極力短くしていると言います。すべては「ご自宅で日常的にワインを味わっていただくため」という想いからのことなのです。

石田はワインの面白さを、 “ 人間とよく似ている ” ところだと言います。

石田 「クオリティーワイン選びで最も大切なのは土地です。いい土地がなければ、いいブドウはできません。しかしそのブドウをどう育て、どんなワインをつくるかは、人で決まるのです。人が素晴らしいと、同様にそのワインは輝きます」

例として石田は、ドメーヌ サン・プレフェール(Domaine Saint Prefert)という、2002年に元銀行家の女性、イザベル・フェランドによって復興されたワイナリーのワインを挙げます。石田は彼女のワイナリーを訪れたときのことを、今も鮮明に覚えています。

石田 「彼女の目はくまで覆われていました。理由を聞くと『ワインの状態が気になって、夜中も 1時間半ごとに起きて確認している』と言うんです。 しかしその数年後……彼女のワインは世界的なワイン評価誌で 100点を付けられ、いまや『将来、伝説になる』とまで賛美されています」

鬼気迫るほどの努力が、ワインに独特の上品さを与えている。石田は楽しそうに「陰の努力はオーラとなって現れる……それは人間と似ていませんか?」と語ります。

石田 「人が出る、というより、ワインからはつくり手の魂そのものの香りや味わいが感じられるのです。我々が必ず生産者を訪ねるのは、そのオーラのようなものを感じ取りに行っているのかもしれません」

最後に、石田のおすすめを聞くと、彼は「とても1本には絞れませんが」と苦笑して、こう話を継ぎました。

石田 「人が出る、という意味で感動したのは、ピエール・ボワッソン( Pierre Boisson)という若者が造るワインです。彼は『いちばん大事なのはブドウ自体のクオリティー。ブドウの栽培に手を尽くせば、ワインづくりに手を掛ける必要はない』という信念を持っていて、畑仕事をとても重視しています」

その信念に一致して、石田がピエールのもとを訪ねるとき、彼は常に畑に出ていると言います。日中、ワイナリーで見かけることはめったに無いそうです。

石田 「人柄は簡単に言えば “いいヤツ ”で、かつ熱心です。そしてワインからも、とても彼らしい味がするんですよ。誰が飲んでもおいしいと言えるバランスがあって。熱心だからこそ、手をかけてつくったブドウのポテンシャルが完璧に生かされています」


このワインも「最高にお買い得」と絶賛され、世界のワインマーケットから大きな関心が寄せられているそうです。しかしフィラディスは彼がまだ注目を浴びていない時期から付き合いを始めているため、お客様が求めやすい価格で「Firadis WINE CLUB30」で販売しています。


※各写真はコロナ禍以前に撮影した写真も使用しています。

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