ジャカルタの街を歩いていると、やたらと目に入るコンビニがあります。「Indo Maret(インドマート)」です。
セブン-イレブンやファミリーマートに慣れた感覚で入ると、品揃えも雰囲気もどこか違います。
気になって調べてみると、このIndomaretが単なるコンビニチェーンではないことがわかってきました。

Indo maret 外観

Indo maret 内観
Indomaretは「サリム・グループ」の一部でした
Indomaretを運営しているのは、インドネシア最大級の財閥「サリム・グループ(Salim Group)」です。
全国に2万2,000店以上を展開するインドネシア最大のコンビニチェーンですが、グループ全体を眺めると、コンビニはほんの一部に過ぎません。
サリム・グループの傘下には、世界的に有名なインスタント麺Indomie(インドミー)を手がけるIndofood、コンビニのIndomaret、そして自動車関連のIndomobil Groupなどが含まれており、食品・小売・農業など幅広い事業を展開しています。

Indo Mieのナシゴレン
今では日本といえば、、で出てくる「ポケモン」のインドネシアにおけるマスターライセンシー(総代理店・ライセンス管理会社)も、財閥系企業です。
具体的には、AKG Entertainment が、The Pokémon Company のインドネシアにおけるマスターライセンシーであり、インドネシア語版のポケモンカードゲームの公式ディストリビューターも務めています。
財閥はどうやって生まれたのか
サリム・グループの歴史を辿ると、インドネシアの近現代史と深く絡み合っていることがわかります。
創業者のスドノ・サリムは中国福建省出身で、1938年にインドネシアへ移住しました。
第二次大戦中にインドネシア軍へ物資を供給することで財を成し、後に第2代大統領となったスハルトと懇意となります。
そこから国家事業における幅広い分野での輸入独占権を獲得し、インドネシアの「開発経済」を二人三脚で推進してきました。
権力者との関係を軸に事業を広げ、一代で巨大なグループを築く。
この構図は、インドネシアの財閥に共通するパターンでもあります。
インドネシアは「財閥の国」
インドネシアの経済は巨大財閥によって大きく動かされており、日本が企業ネットワーク型であるのに対し、インドネシアは創業家が強い支配力を持つ「家族経営型」が主流で、政治との結びつきの中で発展してきました。
コンビニや銀行、通信、ショッピングモールなど、日常生活の多くが財閥グループに支えられています。
サリム・グループのほかにも、トヨタ・ホンダの現地販売を担うAstra International(アストラ)、紙パルプや通信を手がけるSinar Mas Group(シナールマス)、たばこから銀行まで展開するDjarum Group(ジャルム)など、業界をまたいで存在感を持つグループがいくつもあります。
街で乗る車も、入るショッピングモールも、使う銀行も——気づけばどこかの財閥と繋がっていることが多いのが、ジャカルタの日常です。

Salim Group系が運営する Grand Indonesia
日本との思いがけないつながり
調べていて少し驚いたのは、これらの財閥と日本企業の結びつきの深さでした。
サリム・グループはミスタードーナツ事業、アンデルセン、日清オイリオなど多くの日系企業と食品および小売り事業で合弁・提携しています。
インドネシアで「日本っぽいな」と感じるお店やサービスの裏側に、現地財閥との提携があるケースは珍しくないようです。
「どこが作ってるんだろう」と思う習慣ができました
ジャカルタで生活していると、ふとしたタイミングで「これはどこのグループだろう」と考えるようになりました。
コンビニ、モール、病院、銀行……。表に見えているブランドの後ろに、巨大な財閥の構造が広がっていることを意識するだけで、この街の見え方が少し変わります。
次回は、実際に街で感じる交通・インフラ事情について書いていきたいと思います。