エンタメ視点で考察!人々がサウナに熱狂するワケとは① | 株式会社セガ エックスディー
※こちらの記事はセガ エックスディー公式noteより転載しています。サウナをテーマにしたテレビ・雑誌・ドラマまで誕生するほど、サウナブームが到来しています。皆さんの身近な友人や同僚も突然サウナに...
https://www.wantedly.com/companies/company_8487870/post_articles/527833
こんにちは。サウナ大好きセガ エックスディーの矢口です。
普段は企業や自治体の新規事業創出を事業開発の立場でご支援しています。
プライベートではサウナ開拓に飽き足らず、熱波師検定を受け「熱波師」になりました。
初めてのnoteを公開してから約1年。いまだにこちらのnoteを見て問い合わせをいただくこともあり、サウナの懐の深さを改めて感じています。
▼過去のnoteはこちら!
この1年間にも色んなサウナに行きましたが、昔に比べてサウナがブームからライフスタイルの1つとして着実に定着してきています。
一般社団法人 日本サウナ・温冷浴総合研究所の「日本におけるサウナ・温冷浴の実態調査」の推計によれば、2021年時点でサウナファンの数は1,570万人にものぼるそうです。
サウナの中毒性は強く、その楽しさ・良さに気づいてから、習慣化するまでのスピードは他に類を見ません。、サウナが一大ムーブメントから習慣として定着する為には、サウナの良さに気づき、ハマるキッカケをどの様に演出し、新規ファンをどの様に取り込んでいくかが、課題のように感じます。
またこれはサウナに限らずですが、お客さんに足を運んでいただきファンになってもらうためには「わざわざそこに足を運びたくなり、ついついまた行きたくなる」ような強い動機を作ることができなければなりません。
本記事では盛り上がりを続けるサウナシーンを題材に、ファンを作るための体験設計(UX設計)について、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
セガ エックスディーでは、UXを2つに分類しています。1つは「体験の最適化」としてのUX。2つ目は「体験の最大化」としてのUXです。
前者は、カーナビなど「目的地へ効率的に到着するために自動化される」といった体験をイメージしてほしいのですが、機能的で論理的にも説明できます。
基本的には、ユーザーのペインを解消する考え方です。ペインとはユーザーがサービスを利用しているときに生じるストレスや悩み、不幸せな状況を指します。
サウナであれば、行列ができているサウナ室、冷めたくない水風呂、少ないととのい椅子、不清潔な脱衣所等、悩みは上げればキリがありません。こういったペインをひとつひとつ解消していくアプローチが「体験の最適化」です。
体験をシンプルにして必要な機能のみに特化してソリッドにしていくべきでしょう。
サウナファンの間では、悩みやストレスを一切感じないサウナ施設を神サウナと評価することもあります。私自身も自然とこういったストレスを感じないサウナ施設を選んで足を運んでいるように思います。
SAUNA XX(サウナエックス)さんの場合だと、LINE連携ミニアプリで入退場管理を行うなど、煩わしい手続きは徹底して効率化を図っています。また混雑状況に応じて入場価格が変わるダイナミックプライシングを導入しているため、待ち時間0秒で絶対に混まないサウナを実現しています。
私も体験しましたが、セルフロウリュ※が可能なサウナ室、しっかり冷やされた水風呂、ととのいチェア完備、駅チカ1分などなど...、施設設備のスペックから導線に至るまでコンパクトでありながら、必要十分といった印象でした。
※ストーンにアロマ水をかけて蒸気を発生させるサウナ入浴法。自分の好きなタイミングで楽しむことができる。
ストレスが一切ありませんので、適度に人の気配もありながら、ちょうどよい人数にコントロールされている点は快適さを生む要因だと思います。
こういったユーザーのストレスがない状態で、快適に目的を達成できるサービスは「体験の最適化」の最たる例ではないでしょうか。
一方で後者の「体験の最大化」とは、例えば「バスの降車ボタン」をイメージしてほしいのですが、降車ボタンを押したいから子供がバスに乗りたい、という体験は非効率ですが子供と保護者にとってバスに乗る強い動機となります。
抽象的な言い方ですが、サービスやプロダクトが提供された時に感じる気持ちの振れ幅(ワクワク・ドキドキ等)を増幅させるということが、体験の最大化の代表的な考え方だと思います。
娯楽(エンタメ)領域では、気持ちの振れ幅のことを「ゆらぎ」と表現することもありますが、どうすれば一連の体験を繋いだ時に気持ちの振れ幅(ゆらぎ)を作ることができるのか?という考えから出発していきます。
特にゲーム領域では、ユーザーは気持ちの上下がないフラットな状態から遊び始めるので、気持ちの振れ幅を大きくするためにあえて痛みや悩みといったストレスをかけて、それを解決した喜びで落差を付けることでユーザーに気持ちよくなってもらうよう設計されています。
※前述のバスの降車ボタンは、降車時にしか押せないというストレスから、ボタンを押すと音が鳴って光るというフィードバックが即時に返される事で、解決した喜びが増幅される仕組み。
以上の考察をまとめると、このように分類することができます。
・「サウナに興味がある人」×「体験の最適化」では、会員制サウナ、個室サウナ、都市型サウナ等のインフラとしてのサウナという方向への進化。
今後もより便利に快適にととのえるサウナが増え、習慣に定着する健康インフラとしての発展が期待できます。
・「サウナに興味がある人」×「体験の最適化」では、ラグジュアリーサウナ、都市部から見た地方サウナ(サ旅)、アウトドアサウナ、各種サウナ系催事など、エンタメとしてのサウナの方向への進化。
※そもそもサウナはリアルロケーションと紐付くサービスですので、移動という物理的なペインが発生する分、辺鄙(へんぴ)な場所にあるサウナの方が訪れた時の嬉しい気持ちは増幅するでしょう。
ここでお伝えしたいのは、体験設計において最適化or最大化といった二元論ではなく、方向性を見直したり深めたりすると活性化につながる可能性があるということです。
また、新しいサウナファンを取り込むという視点から見ると、この図の右下の余地はまだまだ進化の余地はあると考えます。
例えばアイデアの1つですが、サウナ利用前後で、ユーザーの気持ちの振れ幅を大きくし、サウナに夢中になってもらえる体験をデザインするならば、サウナ後の食体験にまで踏み込むことも一つではないでしょうか。
※「風呂上がりの冷たい生ビール」等多くの日本人が持つ、気持ちが高まる共通の食体験はもっと活用余地がありそうです。
サウナ後の食体験にまで踏み込んだ事例として、赤坂にある岩塩ブロックサウナ 金の亀の事例をご紹介したいと思います。
金の亀さんのホームページには、「生姜焼き定食専門店が本気で作ったサウナ施設です」と記載されています。3階建てのビル1Fに生姜焼き専門店を構え、2F・3Fにサウナ施設が併設された新しいサウナ施設です。
実際に私も体験したのですが、
・スカッと気持ちの良い生姜水出しロウリュが30分に1回行われるサウナ室
・生姜がギッシリと詰め込まれた布袋が漬けこまれたキンキンの水風呂
・インフィニティチェアやベッド、ハンモックがズラリと並ぶ本格的休憩スペース
と申し分ないサウナスペックに加え、階段を降りるとすぐ横が生姜焼き専門店となり、絶品生姜焼き(サ飯)をすぐに注文することができます。(ちなみに生姜焼き専門店は食べログの定食部門百名店に選出)
サウナ施設でも当然サ飯は食べられるので、当たり前のことのように聞こえますが、金の亀さんではサウナと生姜の組み合わせという圧倒的な違いを作りつつ、食の領域まで踏み込んで体験をデザインしているのです。
行動経済学に「ピーク・エンドの法則※」というバイアスがあります。人間の経験の評価は、全体平均ではなく感情のピーク(最高潮)と終了時の印象で決まるという法則です。
※2002年にノーベル経済学賞を受賞した心理学者・行動経済学者のダニエル・カーネマン(Daniel Kahneman)氏によって提唱された考えです。
ピークとエンドに記憶に残りやすい体験を提供することで、全体の印象をポジティブにでき、また一連の体験の中でネガティブな印象を与える場面があったとしても、ピークとエンドが適切であればポジティブな印象を与えやすいと言われています。
「ピーク・エンドの法則」の観点から、金の亀さんではサウナ後に自社の看板商品である生姜焼き(サ飯)に誘導して気持ちのピークにまで踏み込んでデザインされており、生姜焼き目的のお客さんもついついサウナの世界に足を踏み入れてしまい、いつの間にかファンになっているのです。
(私も、サウナ後の食事は普段の食事の2倍ぐらい美味しく感じられ、ガツンと生姜の効いた生姜焼きは強烈なインパクトで虜になりました)
ファンに支持されるサウナには、「体験の最適化」または「体験の最大化」を意識した仕掛けが組み込まれています。特に熱量の高いファンを生むためには、嬉しい/楽しいなどのポジティブな気持ちの振れ幅を一連の時間軸の中で増幅させる、「体験の最大化」の考え方が重要です。
これを意識することで、体験価値向上とともにサービスの差別化にもつながることでしょう。
今回はサウナシーンを少しマクロの視点から考察してみました。進化を続けるサウナの魅力をこれからも発信していきます。次回もお楽しみに!
ここまで読んでいただきありがとうございました!
セガ エックスディーは、事業拡大に伴い、絶賛採用強化中です。
ゲーム・エンタテインメント業界で培ったノウハウをビジネスに応用してみたい方、
ゲーム業界出身に限らずエンタテインメントを社会実装する意義に共感される方、
新しい市場でキャリアを創られたい方などなど、エントリーをお待ちしてます。
また、選考前に社員と話してみたい方も大歓迎です!
面談の前により会社のことを知りたい方に向けて、
情報をまとめた記事を用意しましたので、ぜひご覧ください!
▼セガ エックスディーに興味を持ってくださった皆さんへ
ゲーミフィケーションについて知りたい方はこちらのページもオススメです!
▼国内外で広がりをみせる「ゲーミフィケーション」とは
日々の情報発信はTwitterでも行っています!
ご興味あったらぜひ覗いてみてください。
SEGA XD|セガ エックスディー公式 @SEGAXD_PR
セガ エックスディー@採用担当 @sxd_recruit
代表取締役社長 執行役員 CEO 谷英高 @tanix83
代表取締役 執行役員 COO 伊藤真人 @xtainment